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ハコスカに「敵の心臓」ロータリーをぶち込んだ! 禁断の改造を施された600馬力の怪物とは

ハコスカにロータリーを搭載したデモカーの外観

「敵対視していた日産とマツダを仲良くさせよう」がテーマ

 日本最大級のクラシックカーイベントであるノスタルジック2デイズ。なかでも来場者から熱い視線を集めていたのが、往年のBOSOZOKUスタイルを今風にアレンジして伝える「B.R.E JAPAN」のハコスカ(3代目スカイライン)だ。「1970年代に敵対視していた日産とマツダを仲良くさせよう」をテーマに、ボンネット下にマツダの代名詞ロータリーエンジンをドッキングするという、まさに掟破りともいえる魔改造車なのだ。

目標はアメリカ最高峰のヒルクライムレース「パイクスピーク」への参戦

「1970年代に敵対視していた日産とマツダを仲良くさせようって何のこと?」という人に簡単に説明したい。1964年の第2回日本グランプリでわずか1周ながらポルシェ904を抜き去り、一躍時のクルマとなったのがスカイラインGT(2代目S50型)だ。

 その後を受け継いたスカイラインGT-R(3代目C10型)が、長らく日本のツーリングカーレースを牽引していたのだが、対抗馬として1970年に登場したのが当時、新興勢力であったマツダロータリー。日産、マツダ両ワークスがお互いのプライドをかけたレースの勝敗は、1972年にサバンナGT(RX-3)が登場したことでマツダに軍配が上がる。日産ワークスを撤退に追い込むことでその戦いは終焉となるのだが、約3年間はライバルとして敵対視していた。

 B.R.E JAPANはワークスフェンダーまとったハコスカのボディに、ロータリーエンジンを載せて1台のクルマとして一致団結させる=仲良くさせるという思いがこめられているわけだ。

 ただ、このプロジェクトは単に面白おかしい、目立つクルマを作るのが目的ではない。「これまで誰もやっていないことにチャレンジしたい」という思いから、アメリカ最高峰のヒルクライムレースであるパイクスピークに参戦することが最終目標に掲げている。

パイプフレームに600psオーバーのロータリーをドッキングしたガチ仕様

 そのため、ボディはボディ補強を加えた上で、ロールケージで補強。フロントに至ってはパイプフレーム化(足まわりはワンオフ設計、リヤのパイプフレーム化は検討中)するなどかなり本格派だ。エンジンもロータリーの最高峰といえる4ローターのNAで600psオーバーという代物である。

 オーストラリアで精度の高いエキセントリックシャフトを製作し、ステアリングシャフトが邪魔で効率の良いエキマニが作れないという理由により左ハンドル化するなど、パワーを引き出すために妥協は一切ない。

 そのビッグパワーを受け止めるのはトランスミッションがFC3S改、デフはドリフト競技ではおなじみの強化仕様のクイックチェンジ(ファイナルギヤの変更が容易なのもメリットあり)を採用。これをワンオフのプロペラシャフトでドッキングして成立させるなど、改造範囲は遊びの領域を遥かに超えたガチなレーシング仕様なのだ。

 そのプロセスは完成したあと、2022年はテストとプロモーションを兼ねて日本のドリフト競技に参戦を予定。その後アメリカにへと輸送し、2023年のヒルクライムレースに挑むというロードを描く。「日本の馬鹿がここまで行ったよ、というぶっ飛んだ物語作りたい」という、成りあがり精神で挑むハコスカ×ロータリープロジェクト。彼の地で本場BOSOZOKU魂をぜひ見せつけてほしいものだ。

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