サイトアイコン AUTO MESSE WEB(オートメッセウェブ)

コロナショックで困った飲食店主が起死回生の策! ミニベースの「恐らく世界最小」キッチンカーが都内各所に出没中

愛車の「ミニ・トラベラー」を移動販売車にカスタム

 いまの東京を代表するランドマーク、スカイツリーのお膝元「東京ソラマチ」で、ひときわ目をひく1台の移動販売車に出会った。このかわいらしいクルマは1966年製の「モーリス・ミニ・マイナー・トラベラー」。1959年にデビューしたイギリス車「ミニ」(現在のBMW製「ニューミニ」に対して「クラシックミニ」とも呼ばれている)の派生モデルとして、1960年に誕生したエステートタイプで、いまとなっては希少なクルマである。

60年代イギリスのファッションとパブが本業

 そんなミニミニ移動販売車のかたわらで、独特のオーラを放つサイケデリックな装いで立っていた人物が、オーナーの阿部訓諭さんだ。お話をうかがってみると、1966年から1968年にかけてのイギリスの「スウィンギンロンドン」といわれる時代に特化したメンズファッションを中心とした、ファッションブランド「イプクレス・モッド・ファイル(Ipcress Mod File)」を主宰していて、その当時の雰囲気を再現したパブ「イプクレス・ラウンジ(Ipcress Lounge)」も営んでいるのだそうだ。

 つまりイギリスのカルチャーを心底愛してお仕事にもしているわけで、ファッションへのこだわりも、「ミニ」というクルマのチョイスにも、なるほど納得してしまう。

憧れのクルマを手に入れた直後にコロナ禍が到来

 阿部さんが墨田区向島で営んでいる「イプクレス・ラウンジ」は、1920~30年代の英国アンティークと、1960年代頃までに流行したサイケデリックなインテリアに取り囲まれたヴィクトリアンパブだ。本場さながらのフィッシュ&チップスに、英国エールやジン、100種類以上の創作モヒートが楽しめるとあって人気を博していたのだが、2020年、多くの飲食店と同様に、コロナショックに襲われる。

 営業時間の短縮、席数の制限といった大打撃を受けるなか、苦肉の策として阿部さんが思いついたのが、愛車である「モーリス・ミニ・マイナー・トラベラー」を移動販売車にすることだった。

参考までにオースチン版の「ミニ・カントリーマン」、バッジとグリル以外は共通

 学生時代からの念願がようやく叶い、ちょうど2020年に「ミニ・トラベラー」を手に入れた矢先に到来したコロナショック。しかもこのミニがまた、納車後しばらくしてからマシントラブルが発生して修理費もかさみ、車両の維持だけでも大変という状況になってしまったのだ。

リヤ部分のウッドフレームと観音開きのリヤハッチが特徴

移動販売のスタート資金はクラウドファンディング

 だが阿部さんは持ち前のポジティブな性格もあり、「せっかく手に入れた希少車をこのまま手放すなら、いっそのことやるしかない!」と、ミニ・トラベラーを「自走式ロンドンパブ」に改修してキッチンカーとして営業しようと計画した。

 そのための資金の不足分をクラウドファンディングで募ってみたところ、熱意が多くのサイケファン(?)に伝ったのだろう、スタートしてからわずか2日で目標金額を上まわることができたという。

 そして得意のDIYで移動販売車として仕立て、都内一円で飲食営業許可を取得。2020年9月から、晴れてキッチンカーとして各地で営業できることになったのだった。

狭さも楽しみながら自走式パブで活躍中

 こうして完成した「世界最小の移動販売車」の車内には、ビアサーバーや冷蔵庫などなど、パブの設備をパズルのようにミッシリ詰めこんで配置している。もちろん立ち上がることもできずに頭はつっかえ、あぐらをかいた足はしびれ……。「滑稽でユーモラスでしょ!」と、そうした状況も楽しんでいる阿部さんだった。

 東京都内のほか、千葉の営業許可も申請しているそうなので、「トラベラー号」の出現スポットが気になる方は、「イプクレス」のインスタグラム(@ ipcress_tokyo)で情報をチェック。本場さながらの英国パブをアウトドアで味わってみてはいかがだろう。

■イプクレス公式インスタグラム
https://www.instagram.com/ipcress_tokyo/

モバイルバージョンを終了