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「箱入り娘化」はクルマを傷める! 大枚叩いてレストアした旧車の本当の扱い方

レストアイメージ

日本の自動車メーカーもレストアを始めている

 マツダのNAロードスターレストアサービスや、ホンダのNSXリフレッシュプランをはじめ、かつての名車を数百万かけてフルレストアする例が増えてきている。それだけ愛情と手間暇やコストをかけてレストアすると、なんだかもったいなくなって乗らなくなり箱入り娘に……というのは、かえってクルマを傷めて調子を崩す原因になるので要注意だ。

クルマは動かさないといろいろなものが傷む

 クルマというのは動かすことを前提に設計されているので、長期間動かさないのはコンディションを悪くするだけ。「回していないエンジンは重くなる」と言われているとおり、クルマの寿命を伸ばして長生きさせたかったら、定期的にある程度の距離は乗ってあげるのがポイント。

 クルマを止めっぱなしにしておくと、まずタイヤに一箇所だけ潰れ癖がついて、フラットスポットができたような感じになってしまう。同じく、ハブベアリングなども負荷が一箇所にだけかかって痛みやすくなる。

 マウントやベルトなどのゴム類は、硬化しやすくなるし、マフラー内にたまった水分は錆の原因に。エンジン内部のオイルはほとんどオイルパンに落ちてしまい、壁面やほかの摺動部の油膜はかなり薄い状態になってしまうし、エンジンを回さなかったとしても、オイルはどんどん酸化していく。

 バッテリーは自然放電で弱くなり、ガソリンも長期間放置すると「腐る」(酸化、揮発成分の消失、不純物の混入などによる品質低下)と言われているので、半年以内に使い切るのが基本。またブレーキローターはサビサビになるし、サイドブレーキが固着することも! 室内だって、クルマに乗る機会が少ない人は、湿気がたまってカビや錆の原因となり、雑菌が繁殖し悪臭の元になることも。ホコリもたまるので、定期的な換気はマストだ。

 そしてエアコンも冷媒ガスのなかに潤滑用のオイルが封入されているので、エアコンも定期的にスイッチを入れてあげないと、コンプレッサーの焼き付きや配管のゴムシールの密閉度の低下にもつながる……。

 というわけで、せっかく大金をかけてレストアしたクルマだからこそ、コンスタントにたくさん乗って健康増進につなげたい。

週に1度近所だけを走るのでは少々物足りない

「乗らなくても、週に1回はエンジンをかけているから」という人もいるかもしれない。エンジンすら回さない人よりマシかもしれないが、それではまだまだ不十分である。

 短距離走行の繰り返し(8km以内/1回)や、低速走行が多い場合(目安:30km/h以下)、アイドリング状態が多いのも、クルマに優しくない運転=シビアコンディション扱いになってしまう。雨の日に走れとは言わないので、天気のいい日はしばらく窓を開けて換気をしつつ、1回30分以上、できれば渋滞を避けて2~3時間は走ってやると、クルマはかなり元気になる(バッテリーも十分充電される)。

 毎日こき使われているタクシーが、年間10万kmぐらい走っているのに故障知らずで快調なのは、止まっている時間より走っている時間の方が長いからである。レストアしてまで乗り続けたい大事な愛車であれば、ガレージにしまっておくより楽しく走り回った方が、オーナーもクルマも幸せなはずだ。その代わり、走らせるときは毎回暖気走行(暖機運転ではない)をしっかりやって、タイヤの空気圧は1カ月に1度は点検調整をしよう。

 各種オイルやクーラント、フルードの類いは、メーカーの指定サイクルでしっかり交換すること。フィルター類もケチケチせずに早めに交換を。タイヤも山が残っていたとしても、4年も使ったら新品に……。

 これだけ心がけていれば、愛車は元気で長生き、お達者ならぬ「お達車」になれることを保証しよう。クルマの場合、乗っても乗らなくても、毎年高い税金、保険を払うことになるので、乗らなければ損というもの。愛すべきクルマだからこそ「いい歳のとり方」ができるような付き合い方を考えてあげよう。

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