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ついにフィアット500までEV化! 買うならいまの「ガソリンチンク」の選び方

かわいいコンパクトカーとして日本でも売れまくった3代目500

日本では2008年から販売しているロングセラー

「フィアット500e」が登場したことにより、ついにお馴染みの「チンクエチェント」も電気自動車(EV)になってしまった。フィアットの公式ホームページには、まだガソリンエンジン仕様の「500」と「500C」も載っているが、イタリア本国ではすでに500/500Cの「ツインエア」、「1.2」ともに生産終了となっているそうだ。

 ということで、今後、「やっぱり愛らしいスタイリングと低燃費が両立しているガソリンエンジンの3代目500が楽しいよね、欲しいよね」と思って買うとなると、自動的にユーズドカーをチョイスすることになる。その際の参考となるように、ヒストリーとモデル概要を説明しておこう。

エンジンは3種類、ミッションは2種類ある

 3代目フィアット500(チンクエチェント)は、2代目(通称「ヌォーヴァ・チンクエチェント」)の発表からちょうど50年後にあたる2007年に登場した。イタリア人にとって「500/チンクエチェント」というクルマは、生活と密着したとても親しみ深い存在で、2代目500の愛らしいスタイルをモチーフとしてデザインされた3代目も、熱烈歓迎で迎え入れられた。

 とにかくカタチがよかったこともあり、日本においても500のバックボーン&ヒストリーを知らずとも惚れ込む人が続出。2008年の日本発売開始直後から、瞬く間に大ヒットモデルとなった。日本市場に最初に導入されたのは、直列4気筒エンジンの「500 1.2 8V」(最高出力69ps)と「500 1.4 16V」(最高出力100ps)で、2011年に排気量875ccの直列2気筒ターボユニット(最高出力85ps)を積む「ツインエア」エンジン搭載モデルが追加設定された。

 トランスミッションは、シングルクラッチAMTの5速「デュアロジック」と5速MTの2種で、デュアロジックが主流となった。デュアロジックのベースとなっているのはマニュアルトランスミッションだが、マニュアル車との違いはクラッチ操作が不要なことと自動変速モードを備えていることで、AT限定免許でも運転できる。そのため、女性や輸入車ビギナーはデュアロジック、自動車趣味人は「たま~に売られたMTモデル」をチョイスする傾向が強かった。

限定カラーや「アバルト」版などバリエーションは膨大

 乗った感じは、「1.2」版は余裕はないが不自由なく走れるだけの動力性能がある。「1.4」版は1.2より確実にパワーがあるが、漫然運転で乗ると眠い印象があるのでエンジンを高回転域まで回して使ったほうがいい。そして「ツインエア」版は、1.4Lエンジンよりも圧倒的に速いような気がする、というものだ。ちなみに、これはデュアロジック仕様に乗った際に抱いた感想で、5速MTの場合、ツインエアエンジン搭載モデルが一番オモシロイということになるだろう。

 通常モデルに加え、これまでに110を超える限定車が登場しているといわれており(数が多すぎて全貌不明!)、さらにカラーバリエーションの豊富さも魅力のひとつだ。また、3代目500をベースとした派生モデルの「アバルト500」も登場し、その後、「595ツーリズモ」および「595コンペティツィオーネ」や、「695ビポスト」、「695トリブート・フェラーリ」、「695エディツィオーネ・マセラティ」などもラインアップされた。

中古車はタマ数豊富で価格は20万~300万円までピンキリ

 現在、ユーズドカー市場では、1.2版、1.4版とも最安値は20万円程度だが、その一方で限定車の人気モデルは300万円前後で売られている。デュアロジックは、ユニット内部のオイル漏れが原因で故障することがあるので、ユーズドカーを購入する際は必ず試乗し、うまく変速しなかったり、ギヤが抜けたりしないかを確認したい。

 最後にオイルくさい話も記しておくと、デュアロジック・ユニット内部のオイル漏れ箇所は複数あり、カム(セレクト)ソレノイドのカプラー部分にミッションオイルが滲む、セレクトセンサーの下部切り欠き部分にデュアロジックオイルが滲む、クラッチプッシュロッドのダストブーツ付近からデュアロジックオイルが滲む、といった不具合が確認されている。これらは外から見ても分からないことなので、購入前に試乗し、デュアロジックの状態を確かめることが必要なのであった。

 2008年から日本で販売されているロングセラーモデルなので、これが3代目500のベストバイと断言することは不可能だが、個人的には牧歌的な1.2版の5速MTが白眉だ。

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