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直列かV型か! 同じ排気量&気筒数でも大きく違う2大エンジン配列の特徴とは

エンジンのイメージ

直列とV型はそれぞれ魅力がある!

 クルマのエンジンにはガソリンやディーゼルといった燃料の違い、レシプロとロータリーのような容積変化の違いだけじゃなく、直列やV型などシリンダー配列による違いまでが存在する。

 過去にはZ31型フェアレディZのように同じモデルながら、直6とV6それぞれのエンジンが搭載された車種もあった。いずれにもメリットがあり優劣を決めるのは非常に困難だが、チューニングを前提に双方の魅力や楽しさを考えてみたい。

直列エンジンはシンプルさやスムースな回転が魅力

 まずは世界的にもスタンダードといえる直列エンジン。文字どおりシリンダーを直列に並べており、シンプルな構造と構成部品が少ないため、比較的コストをかけずに製作できるのが利点。ただし気筒数が増えれば増えるほど長くなるのは必然で、極端に排気量の大きいエンジンには不向きといわれている。以前こそ奇数はバランスが取りにくいとされ、4気筒や6気筒が直列エンジンの主流だったが、近年では3気筒や5気筒も決して珍しくはない。

 ではチューニングにおける利点は何だろう。V型に比べ有利なのはパーツが少ないことによる軽さで、またV型のようにシリンダーが左右に分かれておらず、排気系の取りまわしもシンプルかつ軽くできるのだ。有名どころは4気筒なら4A-GE/3S-GE/B16&18/SR20/4G63、6気筒ではRB26DETT/1&2JZを筆頭に名機と称されるエンジンが多い。

 直4は当然ながら直6よりもさらにパーツが少なく、チューニングやオーバーホールのパーツ代も安いため、コストパフォーマンスの面ではベストといえるはず。いっぽう直6は振動が少なくスムースに回ることで知られ、ストレスを感じない吹き上がりや雑味のないサウンドは、古今東西を問わず多くのファンを魅了してやまない。

V型はクルマ全体の運動性能も高められる

 もうひとつのV型はシリンダーを左右に交互、つまりV字に配置したエンジンのことを指す。直列より全長を短くできるため気筒数の多いエンジンに適しており、決してメジャーではないがV6の倍であるV12なんて例も存在する。

 ちなみにエンジンはクルマで最大の重量物なので、全長が短ければ重心を車体の中央に寄せやすく、運動性能の面でも大きな武器といっていい。なお近年ではボディ前部をクラッシャブルゾーン化する設計の考え方も影響しているのか、大排気量の割にコンパクト(とくに全長)なV型エンジンを採用する傾向が強いようだ。

 しかしながらシリンダーを分けて配列したことは、メリットでもありデメリットにもなっている。理由は左右の両方にカムシャフトなどのパーツが必要で、パーツ点数が多くチューニングや修理のコストが上がり、重量も増えれば排気系の取りまわしも複雑になること。

 そして全長が短い代わりに横幅は直列より広く、補機類のレイアウトによっては整備性も悪い。よく知られるV型エンジンはアメ車のV8やフェラーリのV12、そして国産ならR35GT-RのVR38DETTあたり。V型は大排気量に適したレイアウトだけに、車両価格が高めなのは仕方のないところだ。

 直列にしろV型にしろ国産の名の知れたエンジンであれば、チューニングのパーツがなくて困ることはないと思われる。それぞれのメリットやフィーリングの違いを把握したうえで、自分の好みや予算に合うエンジンを見つけて楽しんでほしい。

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