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禁断の作業にみえるがじつはDIYもOK! クルマのブレーキパッド交換の正しい手順とは

ブレーキパッドの交換

正しい知識とスキルで作業したいDIYによるブレーキパッド交換

 ブレーキパッドくらい自分で交換できるようになっておくと、サーキット走行の前に専用パッドへ交換することができるし、サーキットを走り込みすぎてパッドがツルツルになってしまったときも、現場で普段使い用の低ダストパッドに交換することができれば、安心して家路につくことができる。ただし、一歩間違えれば危険をともなう作業であることを認識しておきたい。

愛車なら整備士資格がなくてもDIY作業はOK

 自動車の分解整備を仕事として行うにはまず自動車整備士の資格と、認証を受けた工場で行う必要がある。しかし自分の愛車に限って言えばDIY交換することは可能だ。ただし、友人を含めた他人のクルマのパーツ交換作業の対価としてお金を受け取ることはNGだし、金銭の授受が無くても愛車以外のクルマを整備するのはNGとなる。もちろんマイカーであっても、一歩間違えれば整備不良で事故を起こせば自分だけじゃなく周囲のクルマなどを巻き込む可能性もあるだけに、それ相応のスキルや経験値を持ち合わせていないならDIYでの作業はしないほうが賢明だ。

正しい知識とスキルがあればパッド交換は難しくはないが……

 もちろん、自分で作業ができたら便利ということもあるだろう。その筆頭格がブレーキパッドの交換というワケである。交換作業自体はツボを押さえてしまえば難しくはなく、キャリパーを丸ごと外さなくても交換作業はできるため、パッド交換だけなら分解整備には当たらない。その意味では緊急事態に備えてパッド交換を習得しておくのは、決してマイナスになることはないはずだ。

 その方法はと言うと、まずジャッキアップしてリジッドラックで支えてからタイヤを外すことから始める。その後、片押しキャリパーなら上下2本のボルトを緩めて片方のボルトを外す(片方は緩めるだけ)。あとは残したボルトを支点にしてキャリパーを回転させるように持ち上げれば(または下げる)、パッドを取り外すことができる。

新品パッドを戻すにはピストン戻しツールが必要

 次にパッドを取り付けるワケだが、その前に重要な作業がある。それが飛び出したピストンを戻さなければならないこと。パッドを交換するときは基本的に摩耗しているから交換するので、新品パッドや次に装着するパッドは装着していたパッドより厚みがあるため、そのままでは入らないのだ。

 このとき必要になるのがピストン戻しツール。3000円程度で購入できる専用ツールで、プライヤーやペンチで押し戻す人もいるが、真っ直ぐに押し戻さないとピストンとシールが傷ついてしまうことがあるので、やはり専用ツールの使用をオススメたい。

 また、リヤのキャリパーだとピストンを戻すときに回転させながら戻さないといけないことがある。これもラチェットに取り付ける専用ツールがあり、1000円ほどなので購入するのがオススメだ。ペンチでも回しながらピストンを戻せるが、硬くてペンチが滑ってケガをしてしまい、手が血まみれになることがあるので要注意だ。

オーバートルクは厳禁! 規定トルクでナットを締めること

 パッドを取り付ける時はキャリパーと接触する部分、ピストンが押す部分に薄くグリスを塗る人もいるが、塗らない人もいる。塗る理由は異音の防止だが、塗りすぎるとグリスにホコリやダストが絡んでヘドロのようになってしまうので塗らない人は多い。異音の発生に関してはサーキットオンリーなら塗らないのもあり。ちなみに塗るときは高温に強いブレーキ用グリスにすること!

 キャリパーを戻したらあとはナットを締めるだけ。ただし規定トルクで締めること。「緩んではいけないのでギューギュー締めた」という人もたまにいるがこれは絶対にNG。オーバートルクで走行中にボルトが折れたら、ブレーキは正しく利かなくなり大惨事になりかねない。しっかりと整備書に記載されたトルクで締めることが必要不可欠だ。

タンクからブレーキフルードが漏れないように注意したい

 さらに気を付けたいのはパッドを交換をしたら1カ所ごとに(前後すべて交換なら4カ所)、運転席からブレーキペダルを何度も踏み込むこと。これは押し戻したピストンを出すためで、これをやらずにどんどん次のキャリパーのピストンを戻していくと、エンジンルームのタンクからブレーキフルードが漏れて、エンジンルームがフルードまみれになってしまう。このフルードは塗装を痛める性質があるので、もしこぼしたら十分に水で流す必要があるため、できるだけ溢さないようにしたい。

 また、パッド交換時はあらかじめフルードタンクからフルードを抜こうとする人もいるが、これは大間違い。4輪のパッドを新品にしたときにフルードタンクのフルのラインに合わせてフルードが入っているのが正解なので、パッドが減ればその分フルードタンクの水位は下がる。しかし、次に新品パッドを入れればふたたびフルのラインに戻らなければならないのだ。

【まとめ】正しい整備のスキルと知識があって初めてDIYできる

 プロの自動車整備士にとってブレーキパッド交換は簡単な作業の部類に入る。ただし、正しい知識と確かなスキル、そして作業に必要な工具を持ち合わせていた場合であり、素人が簡単に手を出すと痛い目に遭うことがある。当記事ではブレーキパッド交換の作業方法を紹介したが、DIY作業を推奨するものではなく、もし、DIYでパッド交換に挑戦してみたいのであれば、有資格者の友人などに教えてもらいながら、正しい工具を使用して行うようにしたい。決してDIYがNGというワケでじゃなく作業するのであれば、ブレーキパッドの交換と言えども、クドいようだが正しい知識と整備のスキルを備えてえからチャレンジしてほしい。

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