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ドアの広さや床の低さだけじゃダメ! 「ヒール段差」という高齢者の使いやすさを決定づける指標とは?

ユニバーサルデザインを持つ高齢者フレンドリーカーを紹介

 あくまで、健常な自身が運転し、高齢で足腰が弱ってきた両親をクルマの後席に乗せるというシチュエーションにおいて、どんなクルマが最適で高齢の両親を連れて移動し、ドライブを楽しませてあげられるのだろうか。

 答えは簡単。リヤドアは開口部の大きい、玄関ドアをくぐるように真っすぐ乗り降りできるスライドドアが理想だ。しかも、ステップやフロアができるだけ低く、そして段差のないことが重要な要件となる。つまり、ミニバンやプチバンということになる。では、具体的にどんなミニバンやプチバンが、足腰の弱った高齢者に優しいかと言えば、1ステップフロアを持つクルマということになる。

 例えばトヨタ・ノア&ヴォクシーはスライドドア部分のステップ地上高380mmで、いわゆる段差のない掃き出しフロアだから、ワンステップで後席に乗り込むことになる。センターピラーには子どもでも握りやすい縦型かつ細めの(下部分)アシストグリップが備わり、握力のない高齢者でも握りやすい配慮がある。もし、地上380mmのステップでも足を出すのが大変……というなら、3万3000円のオプションで、地上200mmの高さから乗り込めるユニバーサルステップも用意されているから完璧だ。

 ステップ高の低さという点では、両側スライドドアを備えたプチバンのスズキ・ソリオが365mm、同じくプチバンのトヨタ・ルーミー&ダイハツ・トールも366mmと低い。

 軽自動車にも両側スライドドアを備えたスーパーハイト系やハイト系があり、なかでもスズキ・ワゴンRスマイル、同スペーシアのステップ地上高はなんと345mmとごく低い。ホンダN−BOX、日産ルークスも360mmとかなり低く、いずれも背高ボディとワンステップフロアによって、高齢者も乗り降りしやすいスライドドア車と言えるだろう。

フロアからシート座面の高さが重要

 だが、実際に高齢者の身になって、そうしたスライドドア車に乗り降りしてみると、スライドドアや低いワンステップフロアだけが乗り降りのしやすのポイントになるわけではないことに気づく。実際、筆者の高齢の母親が以前に言っていたのは、乗り込んでからの座りやすさ、立ち上がりやすさもまた、高齢者にとって欠かせない要素ということだった。

 どういうことか。簡単に言えば、後席の位置である。フロアに対して座面が高めであるほうが、乗り込んだときの腰の移動量が少なくて済み、座りやすい。また、降車する際に、シートから立ち上がる場面でも、シート座面がフロアに対して高めであるほうが、立ち上がりやすい……ということだ。

 例えば、健常者でもローソファに座り、ローソファから立ち上がるのは、けっこう大変だ。逆に、ダイニングの椅子のように、フロアに対して座面が高い位置にあれば、座りやすくて立ち上がりやすい。それと同じ理屈である。フロアからシート座面までの高さを専門用語でヒール段差と呼ぶのだが、その高さはミニバン、プチバンでもまちまち。ざっくり言えば、そのヒール段差が340mm以上あれば、比較的座りやすく、立ち上がりやすいシートということになる。

 代表的なミニバン、プチバンの2列目席(後席)ヒール段差は、ノア&ヴォクシーが370mmとかなり優秀。新型ステップワゴン340mm、ソリオ355mmもかなりいい。スーパーハイト系軽自動車ではルークスが380mmとかなり高く、タント360mm、N−BOX 355mm、スペーシア360mm(ワゴンRスマイル350mm)となり、どれも合格と言っていいだろう。

 スライドドア部分のステップ地上高、ヒール段差の高さなどから総合的に判断すれば、Mクラスボックス型ミニバンでは新型ノア&ヴォクシー(ユニバーサルステップのOP含む)、プチバンではソリオ、スーパーハイト系軽自動車ではルークスが、足腰が弱った高齢者を乗降させるのにお薦めの、ユニバーサルデザインを持つ高齢者フレンドリーカーということになるはずだ。

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