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運転が未熟な若者こそ旧車に乗れ! 安全運転が身につく意外な効果とは

カルマンギアの走り

旧車の運転技術が若者の運転技術を向上させる一手になる

 昨今のクルマは安全運転支援システムが充実しているが、不幸なことに高齢ドライバーによる深刻な結果を招く運転操作のミスのみならず、運転のイロハがまだ身に付いていない若年ドライバーの交通事故もたくさん起きている。若年ドライバーによる交通事故の要因は複数あると思うが、昨今のクルマはアクセルペダルを踏むだけでグングン加速して、アッという間に時速100km/hにまで到達してしまう。

 そのとき、実際にはすごいスピードが出ているのに速度感が希薄なので、まったく怖さを感じさせないことが一因ではないか? と考えている。筆者が1998年から愛用しているアルファロメオGT1600ジュニアの場合、時速70km/hぐらいで走っていても「こりゃ〜、やべぇ~モノに乗っているぞ。ぶつかったらアウトだな」感があり、必然的にムチャな運転をしなくなる。より目線が低いスーパーセブン系のスポーツカーはスピード感がハンパなく、レーシングスクリーン仕様だと飛び石の破壊力を身を以て知ることになるので、いつでもどこでも慎重な運転になるのだ。

交通事故を減らす運転支援システムが若者の運転を未熟にしている!?

 あり得ない喩えだが『初心者マークを表示しないといけない期間は全員スーパーセブンに乗るべし!』というヘンテコな法律があったらどうだろうか。結果クルマの危険性と運転のイロハを誰もが知ることになり、セーフティドライブが浸透すると思うが、2シーターオープンスポーツは実用性が無さ過ぎて、このアイデアは机上の空論。では、どうしたらいいだろうか? と考えた結果、運転の初心者だからこそ旧車に乗るべきだと思い、旧車で運転のイロハを若いころに学ぶ、メリットについて考察してみる。

 先進の安全運転支援システムはもちろん、パワーステアリングやABS(アンチロックブレーキシステム)などの運転サポート機能を備えていない旧車は、すべての運転操作を人力で行う必要がある。そのため『走る、曲がる、止まる』という、クルマの基本的な動きをドライバーの正確な操作によって実現させなければならない。つまり、運転のイロハを習得することができるわけである。

 さらに追記しておくと、トランスミッションがマニュアルだとシフトチェンジのタイミングを考えないといけないし、愛車がパワーウインドウではなく手動で窓を開ける場合、駐車場の出入り口でレギュレターハンドルをグルグル回すことになる。そう、旧車はスムースに走らせるため、やらなくてはいけないことがとにかく多いのだ。

趣味のクルマとしてあえて旧車を手に入れて運転技術を磨きたい

 当然のことながら、前方を見つつ、バックミラーやサイドミラーも駆使して周囲のクルマの動きに注意しながら、ステアリングホイール、アクセル、ブレーキ、クラッチ、レギュレターハンドル、ウインカーおよび各種ライトのスイッチなどを操作することになる。そのため筆者は、アルファロメオGT1600ジュニアをドライブするときに、時折、手足が4本ぐらいずつあればもっと運転がラクになるのに……と思ったりもしている。

 ある意味、旧車を運転することは野球漫画「巨人の星」の劇中に登場した大リーグボール養成ギプスをしながら走っているようなものなので、それを外す=昨今のクルマに乗りかえると、さまざまな操作から解放され安全運転のことだけに集中できるのである。趣味性が高く、しかも運転の基本を学ぶことができる旧車は一石二鳥なので、初心者だからこそ買ってみて次のステップに進んでいただければと思う。

 そのまま腕を磨き旧車の世界を邁進してもいいし、旧車で運転のイロハを習得し、昨今のクルマに乗り替えて安全運転を続けてもいいので、旧車で始めるカーライフは万事ハッピーなのであった。

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