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もはやディーラーは頼れないからパーツはオーナー同士で流通! BMW「マルニ」オーナーは絆が大切だった

じつは維持費が少なくて済むBMW 02シリーズ

 いまでも数多くのファンを獲得しているBMW 02シリーズは、1966年から1977年まで生産された2ドアスポーティサルーンだ。日本では2002(いわゆるマルニ)が有名だが、1600-2から始まり、1502、1602、1802、そして2002ターボも登場している。 去る2022年5月29日に長野県伊那市高遠町 ほりでいパーク駐車場で開催された「2022 高遠ブランチミーティング」にて、マルニオーナーを直撃! 維持費や部品の有無について伺ってきたのでお伝えしよう。

Wonder Fourさん:1976年式 BMW 1502

 1949年生まれで御年73歳になるWonder Fourさんは、BMW 1502を1976年9月に新車で購入。免許取得後、BMWではない中古車に1台乗り、その後の2台目としてまっさらの1502を購入し大切に扱ってきたそうだ。

 現在の走行距離は16万1700kmで、1977年12月に1万0000km、1979年9月に2万5000km、1981年12月に5万0000km、1984年1月に7万5000km、1993年7月に9万7785kmに到達したが、ここで仕事が多忙になり、一旦休車。

 2000年8月(9万7787km時)に新ナンバーを取得し、2001年2月に10万0000km、2003年4月に11万0000km、2006年4月に12万0000km、2009年6月に13万0000km、2012年12月に14万0000km、2015年2月に14万5628kmに到達した。

 その後、エンジンのオーバーホールや各部のモディファイを実施するために、ふたたび一旦休車し、2017年1月(14万6431km時)に1502生活を再開。2018年6月に15万0000km、2022年3月に16万0000kmに到達したとのことだった。 ここ最近の普段の使い方は、休日ドライブ(真夏を除く)、俱楽部ツーリングへの参加で、展示系の見せびらかしイベントは避けているようだ。

 点検整備費と税金を含む年間の維持費は30万円程度とのことで、これまでにビッグトラブルが発生したことはないという。

 長きにわたって所有していることがアドバンテージポイントとなり、パーツには困っておらず、国内在庫がない場合は海外に発注し、3週間くらいで入手できるとのこと。ちなみに、BMWディーラーは、ほとんど対応してくれないそうだ。

  02シリーズならではの苦労話について尋ねると「真夏は乗れない」ことで、涼しい早朝は大丈夫とのこと。愛車のご自慢のポイントは「02シリーズの最新モデル、1502であること」だと話してくれた。

 Wonder Fourさんは現在、BMW 1502のほかに1992年12月に新車で購入したメルセデス・ベンツ 300Eセダン(W124型)、2015年12月に中古で購入したプジョー 406 スポーツ(休車中)、2017年12月に新車で購入したアルファロメオ ジュリア ヴェローチェQ4(左ハンドル)を愛用しており、まもなくメルセデス・ベンツ E350クーペ(C207型)が納車されるそうだ。

日下部さん:1971年式 BMW 2002tii

 2017年に購入した2002tii一台ですべてのことをこなしているという日下部さんは現在32歳。近所のスーパーなどの買い物、旅行時の遠出、九州への帰省の足など、普段使いを愉しんでいるようだ。

 年間の維持費については、あまり考えたことがないそうだが、最近は故障もほとんどないので新しいクルマと同じぐらいだと思います、と話してくれた。車検、自動車税、保険、駐車場、ガソリン代+αぐらいとのことだったが、たくさん走るのでオイルの交換回数は多いそうだ。

 これまでに発生したビッグトラブルは、オルタネーターの故障とのことで「02メンバーと高遠まで行ったツーリングの帰りに高速道路で発電しなくなりました。SAで皆さんにジャッキアップして診ていただいたりしましたが結局直らず……。夕方にキャリアカーに載せるまでの2~3時間ほどお付き合いいただき、ご迷惑おかけしました」と話してくれた。

 パーツは、ヤフオク、ebay、輸入、仲間内で情報交換、物のやり取りなどで大きくは困っていないとか。しかし、外装に関しては高くて困っているそうだ。

「いま装着しているターボ用マフラーも02メンバーからのいただきモノで、大変感謝しています」とも語ってくれた。

 2002ならではの苦労話は? という質問に対しては「メカポンを診てくれて完調にできるショップが少ないこと。いろんな人に話しかけられること。そして、これは苦労ではないのですが、旅行中にご夫婦に話しかけてもらったときに話が盛り上がりすぎて、その後の予定を大きく変更せざるをえなかったこともあります」と回答してくれた。 内装とフォグランプがご自慢のポイントとのことで、インテリアが上位グレード内装らしく、あまり同じ個体を見ないそうだ。

清水俊夫さん:1974年式 BMW 2002ターボ

 1972年式のBMW 2002タルガ(現在仕上げ中)、1984年式のアルピナ B7ターボ(E28型)、2018年式のポルシェ パナメーラ、2014年式のスズキ ジムニーも愛用している清水さん(64歳)は、2006~2007年にかけて2002ターボを購入した。

「自分のマルニは普段乗りはしていません。走らせるシーンは、マルニ倶楽部のツーリングが一番多いかな。ほかにはゴルフ場に行ったりしています。車庫での待機時間が長いときは、近所を走る感じですかね。現在はクルマが仕上がっていますので、維持費は毎年の税金とオイル費用ぐらいです。毎年のように上がる税金は本当に困りますね」

「メンテナンスがしっかりできている個体を所持した場合、維持費はオイル交換などの一般的なクルマにかかるコストと同じだと感じています。とはいえ、やはり50年ぐらい前のクルマなので、個体によりますが、各部のメンテナンスが必要ですし、それに伴う部品代や整備料は少し高額になると思います」

 購入直後の清水さんのマルニターボはトラブル続きだったという。

「私の2002ターボの場合、最初のうちはトラブルとの追いかけっこでした。でもそれを仕上げていくのが楽しいんですよ。これは、大きなトラブルって言うのかな? 購入後、数年にわたって乗り回している間に白煙の量が多くなり、初めは添加剤で直るのかと思っていたのですが、結局ダメだったので、まずエンジンヘッドを下ろしてOH。以前からの白煙は収まったものの、一年ぐらいしたら、またもや白煙が多くなったので、今度はエンジン本体を下ろしてボーリングを実施しました。このときのOHがトラブルと言えばトラブルかな?」

「そんな感じで、自分のマルニも一年以上さまざまなパーツを交換し、メンテナンスしながら走っていました。でも、結局エンジンのOHをしないと耐えられない状態になってしまったのですが、現在は絶好調で走っています。すべて自分でメンテナンスをしていますので、マルニ君に対する愛着は100%。整備費用は部品代だけです」

 パーツ事情について尋ねてみると、次のようにコメントをしてくれた。

「パーツは、以前、知り合いの工場経由で部品問屋にオーダーしていましたが、十何年前からはドイツやアメリカから取り寄せています。最近では東南アジア方面からも取り寄せができるみたいです。マルニの各パーツは、50年前のクルマとは思えないほど流通していると思います。しかし、重要な部品は入手するのが難しいですね。でも、マルニ乗りのつながりがあり、大変助かっていますね。もちろん、自分のストックパーツも困っている方に譲っていますよ」

「アナログ時代のクルマなので特に苦労はありませんが、機械式インジェクションなので、初めのうちは調整方法が分かりませんでした。いまは大丈夫です。ただこれは、自分が昔整備士だったことから述べることができる見解です。いまのクルマは、ちんぷんかんぷんです」

「自慢できるるポイントはとくにありませんが、旧車に乗っている方々は自己満足で所有してるのでは、と思います。総合的にマルニを含めた旧車に乗るには、維持費はかかると考えた方がいいかもしれません。仕上げてある旧車は別ですが」と話してくれた。

松井大祐さん/里穂さん:1972年式 BMW 2002tii

 マニア垂涎の名機であるALPINA A4エンジンを入手済みだという松井さん(36歳)は、2013年から2002tiiを愛用中。1967年式のBMW 1600も2014年から所有しているそうだ。

「2002tiiは休日のドライブに使っています。年間の維持費は、車検、自動車税、保険代など込みで約25万円ぐらいです。これまでにビッグトラブルが発生したことはありませんね。純正パーツや社外品がまだまだ手に入るので、部品にはとくに困っていません。クーラーが付いてないので、夏は暑くて乗れない点が苦労しているポイントですかね」と話してくれた。

OSさん 1975年式:BMW 2002ターボ

 ディーラー車の2002ターボに2000年から乗っているOSさんは現在62歳。2011年に購入したアルファロメオ GT1300ジュニア(1972年式)、2020年に購入したスバル インプレッサ(2015年式)も愛用している。

「2002ターボは、ツーリングや夜間の近所ドライブが普段の使い道です。年間の維持費は15万円ぐらいです。ビッグトラブルはとくになし。デスビキャップが割れたぐらいですね。ターボ専用のパーツは、このところ、かなり少なくなってきています」

「とくに苦労はなく、楽しいことばかりです。古いBMWを知り尽くしているメカニックのおかげだと思います。心配ごとは、なかなかいないメカニカルインジェクションをきちんと調整できる熟練メカニックの高齢化ですね。いつまで診てもらえるのか心配です。そして、BMWがクラシックの部品をどんどん値上げすることも気になりますね。2002ターボは、トルクのあるエンジン、信頼できるブレーキ、剛性のあるステアリング系などで楽しく安心して運転を楽しめることが魅力です。ボディのサイズ感もいいですね」とのことだった。

 ドイツ製ということもあり、筆者が愛用しているイタリア製の旧車(1974年式のアルファロメオ GT1600ジュニア)よりも丈夫で、維持費も少なくて済むBMW 02シリーズは、クラシックカービギナーも安心して購入できる逸材だといえるだろう。

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