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一生涯付き合っていく覚悟! ポルシェ964沼にハマった男の幸せすぎるカーライフ

ポルシェ964のリヤビュー

昔は手の出しやすい輸入スポーツカーとして人気があった

「走りが大好きでチューニングに興味があるのならば、ポルシェのタイプ964はオススメだ」などと主張していたのは15年以上も前のこと。今じゃ想像を絶する高騰で、そんなこと言ったら嫌味に思われてしまう。

15年前は300万円台で買えるオススメカーと言えた

 当時は300万円台で探せば、タマ数は豊富に揃っていたので狙い目だった。日常使いでふたり乗りでも平気ならイチオシだとクルマ好きに言い回っていたほど。法律的には4名乗車になっているが、実際にはリヤシートは狭いので緊急用と割り切るべきだ。むしろそのスペースは開放感を生み出して、快適性に大きく貢献している場所だと認識したほうがいい。上着や荷物が置けるし、長距離ドライブでは圧迫感がないので疲れにくい。とにかくこの空間があるのとないのとでは気分的には大違いだ。

 クラシカルな雰囲気を漂わせつつも、エアコンやパワステなどの快適装備が使えて、普段使いもこなせる使い勝手の良さがある。これは小さなボディサイズが貢献しているのだが、意外に小回りが効かないところがあって、その点では本物のスポーツカーらしさが滲み出ている。

 そしてダメ押しが水平対向6気筒エンジンをリヤにオーバーハングして搭載したパッケージング。しかもエンジンのオイル供給システムはドライサンプだから恐れ入る。RRのトラクションは気合を入れて走らなくても、何気ない加速中にだって体感できる。アクセルペダルを踏み込んだ瞬間に、リヤタイヤが路面に押しつけられるようにして沈み込み、力強く蹴りつける感覚はほかのクルマでは得られない911ならではの醍醐味だ。

トラブル発生を知ったうえで購入したのが良かった

 実際に購入したのは1996年。5年落ちのカレラ4を手に入れた。オイル漏れがあってサスペンションもヘタっていたが、それらを含めて気になるポイントをリフレッシュしての納車だったので、整備費用はそれなりにかかってしまった。一見程度が良く思えても実状を把握することは困難であり、後になって不具合が起こる場合だって多い。問答無用に不調なほうが潔く修理の決断ができたので、良い買い方だったと自分では思っている。

 もちろん気になるところもある。1番はエンジン制御が古いこと。空気量を測定するエアフロがフラップ式で、購入当時からすでに旧式。主流は完全にホットワイヤーに移行していた。見るからに吸気の抵抗になっていて、とくに低速域では追従性が今ひとつ。ハンチングもよく起こった。

 それとエキゾースト。左右の排気を一旦、左バンク側で集合させてキャタライザーを通してから右バンク側に持っていき排気させているので、各気筒からテールエンドまでの距離が見事にバラバラ。それがドロドロという排気音の原因だ。不等長は低速トルクが稼げると言われていたが、993からはバランスの良いレイアウトになったので、単なる噂か、効果があったとしても淘汰されるレベルだったのだろう。

気になるポイントを現代流にアレンジして楽しむ

 チューニング好きとしては、そんな気になる部分に手を入れて自分流に仕上げている。制御はフルコンであるHKSのVプロを活用。エンジンのオーバーホールも兼ねて埼玉のフロントロウでセットアップしてもらった。もちろんフラップのエアフロは取り去り、ホットワイヤーも使わずにアクセル開度で空気量を予測する、スロットルスピード方式を選択。なんとも原始的なシステムながら、これがすこぶる調子が良い。アクセルとエンジンが直結しているようなレスポンスだ。

 Vプロは任意の回転数で空燃比のズレが補えるフィードバック制御も使えるが、フロントロウ的にはバルブタイミングが狂わない限り空燃比はズレないという考え方で、それよりも空燃比を測定するセンサーのトラブルで空燃比がズレてしまうことのほうが厄介だという。だからフィードバックは使わない。

 それでも標高2000mオーバーの空気の薄い場所に行ってもいたって普通に走れる。麦草峠のテッペンあたりで実験的に再始動を試みたが、ほんのわずかクランキングの時間が長かったが、始動してしまえばハンチングさえも起こらない。フルコンはしっかりとセッティングすれば旧車には心強いアイテムになる。

エキゾーストにもこだわり改良を重ねた

 エキゾーストは長野のアルトラックにお願いして左右等長のエキマニ、そしてマフラーを作ってもらった。リヤのアンダーカバーがそのまま使えて、なおかつ金型をおこして製作した専用のヒートエクスチェンジャーまで取り入れているシンメトリーエキゾーストシステムと名付けられた力作だ。

 作り込みが美しいだけでなく機能面も高めている。なにしろ燃焼室の排ガスを効率よく大気に排出すると同時に、すかさず吸気を引っ張って取り込む感覚が体感できる優れものだ。秀逸な排気パーツの仕事ぶりをまざまざと見せつけられた。

 音質は964らしからぬ高音が効いた刺激的なサウンドにまとまっている。しかし最初は勇ましすぎてこもり音が気になり、対策を依頼。なるべく効率を落とさない方法としてレゾネーターを追加して、無事に不快感を取り除くことができた。

 すでに走行距離は20万kmオーバー。決して速くはないが、スピードとは異次元な魅力で気持ちが昂る。最新のポルシェに興味がないわけではないが、仮に購入できるお金ができたとしても、多分964の飛び石の補修やヘタリ気味のシートのリフレッシュに回すだろう。付き合いだして四半世紀以上になるが、少しも飽きない奇跡のクルマだ。

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