サイトアイコン AUTO MESSE WEB(オートメッセウェブ)

なんとフリーハンドで描く芸術! クルマに描かれる「ピンストライプ」の奥深さにビックリ

カスタム系のイベントに行くとよく見かける「ピンストライプ」とは

カスタムカルチャーが生んだアート「ピンストライプ」

 カスタムカーや古いアメリカ車に描かれた、細い線が交錯する図柄を見たことがあるだろうか? これが「ピンストライプ」と呼ばれるカスタムカーカルチャーの世界独特のアートだ。今回はそんなピンストライプの歴史と現状を紐解いてみよう。

繊細に描かれた線が交錯する芸術

 みなさんは「ピンストライプ」を知っているだろうか? クルマのドアノブやエンブレム周辺、レタリングの周囲などに、細い線を幾重にも交錯させた美しいラインが引かれているまるで芸術のような紋様、あれがピンストライプだ。基本的には細い線を描くための専用の筆と伸びの良いエナメル系塗料を使って描かれるピンストライプは、自動車のカスタムカルチャーの世界ではアートとして確立し、これを生業とする「ピンストライパー」という職業も存在するほどポピュラーとなっている。カスタムカー系のカーショーに行ってみると、ピンストライプを装飾として入れたクルマを数多く見ることができるはずだ。

アメリカで徐々に発展し50年代にアートへと昇華

 ピンストライプのルーツは意外にも古く、アメリカでは幌馬車の装飾ラインとしてフリーハンドのストライプラインを入れていたという文献が残っている。その後1950年代に入り、自動車やバイクのカスタマイズが流行すると、自動車への華やかな装飾としてピンストライプを入れるようになり、徐々に単純なラインから複雑なアートへと進化していく。

 この自動車へピンストライプを入れるアーティストとして文化を開拓して行った先駆者が、のちに有名になるEd RothやDean Jeffries、Von Dutchの名前で知られるKenny Howardらだ。戦後に自動車が大量生産で作られるものとなり、同じ自動車がたくさんあるなかで、自分だけの装飾を施すことは徐々に普及し、カスタマイズのひとつの手段としてピンストライプが定着していくきっかけとなったのだ。

日本には80年代後半にピンストライプの文化が入ってきた

 ピンストライプの文化はアメリカで勃興してから四半世紀以上が経過した80年代の後半に、アメリカのカーカルチャーとともに日本にも入ってくる。その際、大きな役割を果たしたのが「MOONEYES」だ。カスタムカーのイベントとして現在も続いている「ストリートカーナショナルズ」が1987年にスタートし、3年後このイベントにピンストライパーの第一人者としてEd Rothがゲストとして来日。日本でも徐々にピンストライプという文化が普及していった。

 ちなみに当時看板屋として働いていたWILDMAN石井氏は、このイベントでEd Rothのドローイングを見てMOONEYESに入社している。その後Ed Rothの元に修行に行き、本場のピンストライプを学んで帰国。日本でピンストライパーとして活躍することとなる。

じつは非常に多い日本のピンストライパー人口

 こうして80年代以降、日本でもピンストライプという文化は定着。30年以上が経過した現在、カスタマーのクルマなどにピンストライプを施すことを生業とするピンストライパーが日本全国に存在している。おそらく、アメリカ以外で活躍するピンストライパーの数としてはかなり多い方だろう。

 ピンストライパーの仕事はピンストライプを描くだけでなく、ショップ名やショーカーのニックネームなどを手書き文字で描くレタリングや、マスコットキャラクターやイラストを描くドローイングなども含まれることが多い。こうしたさまざまなテクニックや技法を組み合わせて、ひとつの作品として提供されることが多いのだ。

 また日本独自の文化が融合した結果、M&K CustomsignのMAKOTO氏が招き猫にドローイングした「FORTUNE CAT」が世界中で人気となるなど、日本のピンストライパーは世界に名が知られているケースも多い。

ピンストライプはどこで誰に依頼すればいい?

 ピンストライプは正解が存在するわけではなく、基本的にピンストライパーの感性が大きくものを言う。また絵が得意な人やレタリングが得意な人、独特のテイストを持っている人などがおり、依頼するピンストライパーによって最終的な仕上がりが大きく左右されるのだ。そのため、自分の愛車にピンストライプを入れたいと思ったら、まずは「ストリートカーナショナルズ」や「ホットロッドカスタムショー」のような大きいカスタムカーのイベントで出店しているピンストライパーのブースを訪ねて見てほしい。多くの人は自身の作品を展示しているはずだ。そのなかから気に入った作風のピンストライパーに依頼すればOK。もちろん多くのピンストライパーは自身のSNSなどでも作例を発表しているので、参考になるはずだ。

モバイルバージョンを終了