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「音量」よりも「音質」がキモ! 厳しい騒音規制のなかでメーカーがこだわるマフラーの排気音チューニングとは

厳しい騒音規制の下でも性能の追求は止まない

規制の枠内でマフラーの性能と音質を突きつめるメーカーの戦い

 チューニングといえばマフラー交換である。各種の騒音規制は年々厳しくなっていく一方だが、それでもマフラー交換のメリットは計り知れないほど多いし、とくに快音が響くときの気持ちよさは別格だ。では、いまどきのマフラーではどうやって気持ち良い音を実現しているのだろうか。

「交換用マフラー事前認証制度」でメーカーの責任が増大

 20年以上も前の常識では、ノーマルマフラーは「排気抵抗が激悪」と言われていた。なので、アフター品のマフラーというと、とりあえずパイプ径を太くして、消音器内はストレート構造にしておけば排気効率は上がり、音はそれなりに大きいというものが多かった。

 しかし、時代は変わり、現代では純正マフラーもかなりの性能を持つようになった。そして、2010年4月以降に生産されたクルマに対しては「交換用マフラー事前認証制度」が適用されることに。アフターパーツのマフラーに対して、あらかじめメーカーが騒音規制に適合しているかを試験して、合格している証明が必要になったのだ。

 それまではどんなマフラーでも車検場で計測して、規定の騒音内だったら大丈夫だったが、この制度が適用されるクルマの場合、どんなに静かでも事前認証に登録していないと車検をパスできないのだ。

 また、この事前認証には製造される工場の認証もある。さまざまな基準に適合して認証を取得した工場で製造しないと、そもそも事前認証が取得できない。そういった厳しい基準をクリアしてこそ、合法のマフラーを製造することができ、現代のマフラーはあらゆる面から徹底的に性能と音質を追求されたものであるのだ。

いまのマフラーはパワーアップよりレスポンスアップ

 これらの基準をクリアしたマフラーの性能はもちろん、排気効率のアップが主目的だ。現代のクルマはノーマルマフラーも出来が良いので、アフターパーツのマフラーに交換してもピークパワーは数馬力だけ向上というのもよくある話。しかし、乗ってみると明らかにアクセルに対する反応が良くなっていることが多い。ピークパワー以上にレスポンスの変化が現れる。アクセル操作に対してのピックアップが良くなると、クルマが軽くなったように感じ、思い通りに動くようになる。このメリットは大きい。

消音だけでなく心地よい音質チューニングを追求

 そして、各メーカーではその音質にこだわる。レゾネーターと呼ばれる行き止まりのチャンバーを装着したりするが、これはある回転数での不快な音質を消すことができるなど、音質チューニングに使われるもの。ほかにもパイプ径や集合方法、分割方法、パイプの材質と厚み、テールエンドの形状などでも音が変わり、それらにこだわって開発されている。

 消音方法もストレート構造でグラスメッシュによって消音する方法や、隔壁構造でいくつもの部屋に排気ガスを滞留させていくことで音を消したりいくつも選択肢があり、それらを駆使して消音と音質チューニングがされていく。

 各メーカーはこだわり抜いた音質で事前認証を取得するが、ギリギリまでその性能と音量のせめぎあいの部分もある。某メーカーでは毎週のように事前認証の試験にチャレンジするところもある。ならばと自社内に試験設備を揃えることで、いつでも性能を煮詰めることができるようにしてしまったメーカーも。それほどまでにこだわり抜いた音質音量でリリースされているのが現代のマフラーなのだ。

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