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ブルートレインを愛するあまり自力でクルマを魔改造! 公道を走れる寝台列車「北斗星ファーゴ」の衝撃

オーナーの愛が詰まった「北斗星ファーゴ」

鉄道車両風に愛車をカスタムする「鉄車」の世界

「鉄道好き」で「クルマ好き」なら、愛車を鉄道車両風にカスタムしてみたいと考えたことがあるかもしれない。車内にグリーン車のマークを貼っただけでも気分が盛り上がるというものだ。警笛を装備したり、なかにはボディを鉄道と同じ色に塗り替えてしまう人も。そんなジャンルを「鉄車」と呼ぶのだとか。その鉄車のなかから、外観も内装も雰囲気たっぷりの「北斗星ファーゴ」を紹介しよう。

レアな「いすゞ・ファーゴ」をブルートレイン北斗星号にカスタム

 寝台列車「北斗星」は、1988年の青函トンネル開業とともに運行を開始した上野~札幌間を結ぶブルートレイン。豪華ホテル並の車内設備とサービスが自慢の大人気列車だったが、2015年に惜しまれつつ廃止となった。

 その寝台列車をワンボックスカーで再現したのは、北海道に住む坂田 稔さんだ。中学生のころから「いつかはこんなクルマを作りたい」と思い、大学生時代には設計図まで描いたとか。そして2005年に入手した1995年式ハイエースをベースに「北斗星ハイエース」を製作。修理を繰り返しながら走行距離52万kmまで乗り続けたが、車体がボロボロになって廃車を決意した。

 夢破れたと思った坂田さんが、偶然にも廃車のタイミングで見つけたのが1995年式の「いすゞ・ファーゴ」だった。夢の続きを、より高い再現度を目指して完成したのが2代目となる「北斗星ファーゴ」だ。

本物のブルートレインの塗料を特注しDIYで刷毛塗り

 ボディカラーの「青20号」は、なんと実車用の塗料を関西ペイントに特注して作ってもらったもの。3日かけて自分で刷毛塗りしたそうだ。フロントには北斗星を牽引したディーゼル機関車「DD51」の顔を再現。ヘッドライトレンズは100均のLEDランプで、ベゼル部分は同じく100均のプラスチック製のお皿をくり抜いたもの。すべて坂田さんの手作りである。

 後ろ姿は、ブルートレインそのものだ。本物の車両とは寸法どころか縦横比と断面形状がまったく異なるのに、オハネフ25型客車そっくり。連結器までついていて、「なんで列車が道路を走ってるの?」と不思議に思わせるインパクトは十分。

 夜になると窓から覗く室内灯が暖かく、闇のなかに「北斗星」の電照式テールマークが光り、丸くて赤いテールランプが哀愁を漂わせる。ファーゴのディーゼルエンジンのアイドリング音と排気ガスの匂いがDD51を彷彿とさせ、旅情を一層盛り上げるのである。

実車の部品は使用せずにリアルな雰囲気を再現

 車内はムード満点の寝台列車そのもので、北斗星が誇る豪華食堂車のグランシャリオが再現されている。その後部は開放2段式B寝台で実際に就寝が可能。本物のベッドをそっくりそのまま移植したのかと思ったら「じつは、本物の車両のパーツは国鉄の灰皿とコートフックくらいです」とのこと。すべてがDIYによる手作りで、100円ショップで使えそうなものを見つけては、工夫して取り付けているのだ。

 廃車になった北斗星の客車が保存されている北斗市へ行き、ツーショットを実現させたとき、坂田さんは、感激のあまりに涙が出たという。「北斗星ファーゴには、見てくれるたくさんの人々を和ませて、ほっこりして笑顔にする効果があるようで、ぼくも嬉しくなって、ついつい話しこんでしまいます」と坂田さん。すっかり旧車となったファーゴの修理やメンテナンスも自分の手で行い、夢の続きを楽しんでいる。

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