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車検は大丈夫? カッコいいだけじゃない色付きフロントガラスの効果と施工基準とは

色付きフロントガラスのイメージ

最近目にすることも増えてきた!? お洒落な色付きガラス

 ときどき街で見かける、フロントガラスに色のついたクルマたち。カラーはブルー系が多いようだが、緑やブラウン、なかにはピンクやミラーゴールドっぽいのもあったりする。アレはなんなのだ? フィルムなのか? いや、フロントガラスにフィルムを貼るのはダメだって話を聞いたことがあるような……。

 じゃあ不正改造車だね、と考えるのは早計。そもそもBMWやメルセデス・ベンツといった欧州車では、もともと色付きガラスが使われている車種も珍しくない。また純正採用でない場合でも、きちんと合法で車検も問題なく通るというケースだってある。ではアウト・セーフの境界線は一体どこにあるのか。見た目やプライバシー保護以外にも、どんなメリットがあるのか。デメリットまで含めて詳しく解説していく。

アウトかセーフか? それは「透過率」によってジャッジされる

 合法・非合法の境界線となるのはズバリ、透過率。フロントガラスと前席のサイドガラスについては、「可視光線透過率が70%以上であること」が保安基準によって定められている。可視光線透過率(以下、透過率)とは光を通す割合のことで、数値が大きいほど光を通しやすく、小さくなるほど光を遮りやすくなる。基本的にガラスの色が透明に近いほど透過率が高く、色が濃くなるほど透過率が低くなる。

 つまり、透過率70%を超えていれば色付きでもOKなのだ。が、この70%という数値、そこまで厳しくないように見えてけっこう厳しい。国産自動車メーカー純正のフロントガラス(&フロントサイドガラス)ですら、透過率は72~75%あたりがメイン。高くてもせいぜい80%程度まで。

 これはUV(紫外線)やIR(赤外線)カットの機能が付いていたり、グリーンガラスを採用している車種が多いせいもあるだろうが、透明に見えるガラスでも、意外に透過率は落ちるものなのだ。パッと見で分かるくらいハッキリした色付きとなると……なかなか厳しそうなのはお察しいただけるだろう。

 保安基準について補足しておくと、後席のサイドガラスやリヤガラスについては透過率の規制はない。また、フロントガラス上部の帯状のぼかしについても、「上縁にフロントガラス縦幅の20%以内の範囲」で「信号機や歩行者などが目視可能」であれば透過率は問われない。昔の改造車によく見られたハチマキステッカーは視界を遮るので当然NGだ。

ドレスアップ効果だけでなくUV・IRカット機能も見逃せない

 次に色付きガラスのメリットについて。第一はなんといっても見た目だろう。大多数のクルマは透明なのだから、色が付くだけで目を引く。ドレスアップ効果は高いだろう。前述の通り欧州車に純正採用されていたり、初代シーマやセルシオといった昔の高級車に採用されていた経緯もあり、「色付きガラス=ハイクラス」なイメージもある。また外から車内が見えにくくなるから、プライバシー保護を意識する人にも向いている。

 UV、IRカット機能が付与されているケースも多い。UVカットについては、今どきは純正ガラスでも標準装備されているが、同じUVガラスといっても85%だったり90%だったりカット率は異なる。色付きガラスの場合は、多くの場合が99%カットと、スーパーUVカットガラスと呼ばれるものと同等のUVカット機能を持つ。

 さらにIRカット機能付きのタイプも豊富。これからの季節、じりじりと肌を焼くようなあの不快な暑さを軽減してくれるのだ。車内温度の上昇を抑えられるからエアコンの効きも良くなり、多少なりとも燃費向上にも繋がる。純正ガラスでもIRカット機能付きは増えてきたものの、UVカットほどは普及していない。価値はあるだろう。ただし、色付きガラス=IRカットではないのでご注意を。

 デメリットもあり。すべての色付きガラスではないが、金属膜をコーティングしたタイプは電波までカットしてしまう。そのままでは地デジ/GPS/ETCのアンテナが効きにくくなるので、移設などの対策が必要になったりする。また、外から車内が見えにくくなるということは、ドライバー同士のアイコンタクトが取りにくくなるともいえる。運転には気をつけたい。

カラバリ豊富でお手軽なフィルムはリスクもあるので注意

 では具体的にどうやって色を付けるのか(もちろん合法で)。パターンは大きく分けてふたつ。「1:フィルム装着」「2:ガラス交換」のいずれかとなる。1から紹介していこう。

 色付きのウインドウフィルムは昔からおなじみ。スモークフィルムと呼ばれたりもするが、それらは正確には黒やグレーのもの。ダークな色味ゆえ、ごくごく薄いタイプ以外は透過率70%以上を確保するのは困難。よってフロントガラスに貼れる色付きフォルムといえば、ブルーやグリーン、ゴールドといったカラー系がメインとなる。

 有名どころでは「ウルトラヴィジョン」「ゴーストシリーズ」など。金属膜を用いたハーフミラーっぽいタイプや、フィルム自体は透明ながら色付いて見える構造発色タイプがある。角度によって青から緑に変わったり、ゴールドからピンクに変わったりと、オーロラのように変幻自在なのが特徴。インパクト大だ。

 いずれにせよ、貼るだけなのでお手軽だし、イザというときは剥がせば元通りというのがメリット。ただし、素人が初めて施工してキレイに仕上がるほど甘くはない。プロに頼むのが無難で、工賃はフロントガラス1枚で2~3万円くらいが目安。施工は3時間~で終わるが、完全に乾燥するまでに夏でも2~3日、冬は1週間くらいはかかる。

 また注意したいのは、たとえ商品が車検対応とうたっていても、透過率70%以上を確保できるとは限らない点。透過率は「ガラスに貼った状態で」計測されるため、いくらフィルム単体の透過率が高くても、ガラスに貼ったら70%を割る可能性もあるのだ。純正ガラスの透過率は、車種やグレードによって意外と差がある。

 フィルムの耐用年数は3年~せいぜい5年くらいまで。経年劣化によって透過率は徐々に落ちてくるし、長期間貼りっぱなしだと固着して剥がすのが大変になったりもする。そう長くは使えないと思っておこう。

長く使えて車検も安心なフロントガラス丸ごと交換方式

 続いて2のガラス交換。フロントガラス丸ごとの交換になるのだが、純正のようなグリーンガラス以外の色付きガラスとなると、「コートテクト」「ソーラーインパクト」の二択になると思われる。どちらも保安基準適合、車検も問題なく通る(※検査場の判断によっては弾かれる可能性もゼロではない)。ただし、あらゆる車種・グレードに対応しているわけではないので、詳細はWEBサイト参照のこと。

 コートテクトは水色っぽいブルー系、ソーラーインパクトはシャイニングローズ(赤系)と色味は異なるが、金属膜を使っているのは共通。外から見るとハッキリ分かるレベルでガラスに色が付いている。もちろん室内からの視界が色付きになるわけではなく、クリアに見えるのでご安心を。UV&IRカット率も優秀なので、日焼けを防ぎたい、ジリジリした暑さを緩和したい人にもオススメだ。

 金属膜タイプは電波もカットしてしまうのがデメリットながら、フロントガラス上部に金属膜をカットしたエリアを作り、そこにアンテナを再配置するといった対策法が採られている。また自動ブレーキのカメラがフロントガラスに付けられている車種については、それを移植することになるのだが、正しく作動するようにエーミングというカメラの調整作業も必須になる。工賃は2万円前後。

 価格は車種によって異なるが、軽自動車で6~8万円、普通車で9~15万円あたり。純正フロントガラスと同等か、やや安価だ。取り付け工賃はエーミング作業を除くと2~3万円が目安。ガラスにヒビが入るなどして交換が必要になった場合、それを機にこうした色付きガラスを選ぶのも手だ。

 メリットはフィルムのように剥がれたりしないこと、劣化しにくいこと、車検はまず心配ないこと。デメリットは元に戻しにくいこと、フィルムよりもコストが嵩むことなど。

まとめ:透過率70%以上を厳守し安心して色付きガラスを楽しもう

 といった感じで、色付きフロントガラスもさまざま。街で見かけるクルマたちすべてがそうとは限らないが、今は合法でやれる手段がきちんとある。安心・安全に乗るためにも、「透過率70%以上」はクリアすべし。この透過率は専用の測定器で計測するのだが、スマホアプリも出ている。参考までに測ってみるといいだろう。

 ちなみに色は不要だがUVやIRをカットしたい、断熱したいというニーズに応え、無色のフィルムや交換ガラスも販売されている。興味のある人は調べてみてはいかがだろう。

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