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クルマのカスタムは「つゆだく」「麺カタこってり」と同じ!? 安全面でもメリットだらけなチューニングとは

乗り方に合わせたサスペンションの選択肢も豊富

合法の範囲で無限の可能性がある自動車カスタムとは

 自動車メーカーが作り上げた状態を後から崩すのはもってのほか、という意見もある。たしかに純正状態はすべてのバランスを徹底的に煮詰めてあるが、いわば平均点。ユーザー個人の使い方や体型に合わせてカスタマイズすることで、使いやすさもアップするし、ひいては乗りやすさや安全性の向上にもつながるのだ。

「すべてが平均値」のドライバーはごく少数

 自動車メーカーが途方もない開発費をかけて新型車を開発しているのは事実だ。その結果、できあがったクルマが最良の状態であるという考えもある。もちろんそうなのだが、それは、あらゆる使い方、使う場所、使う人にとっての平均点を出せるようにして開発されている。

 そんなはずはない! クルマをいじるなんてもってのほかだ! という人はいじらなければいいし、完全ノーマルの状態で乗っていただければいいだけの話で、合法内でのカスタマイズは無限の選択肢がある。他者を危険に陥れるような違法なカスタムは論外だが、法律的に許される範囲内でのカスタマイズは認められていることであり、きちんと合法で仕上げれば他人にとやかく言われる筋合いはない。

 ここでは少しでもカスタマイズに関して興味のある方に、カスタマイズが有効である理由をお話したいと思う。

ノーマル仕様は性能の最大公約数

 メーカー出荷時のクルマがあらゆる場面で使えるようにできているということは、すなわちスポーツカーであろうとも、砂利道をフル乗車で荷物満載で走っても大丈夫なようにしなければならない。そうなると、おのずと高めの車高になってしまう。保安基準を大幅に超える車高である理由は、そういったあらゆる場面に対応できなければならないからだ。

 シートポジションも150cmの人から200cmの人までが乗れるように設計すると、余裕を大きく持たせなくてはならない。では、はたして体重100kgの人にも、45kgの人にも同じシートが最良なのか? そのどちらも座れるようになっているのが純正シートであり、性能の最大公約数としては素晴らしいものがある。

ドライバーの体格や使い方にフィットさせる

 しかし、レンタカーや社用車ではなく、個人所有で自分しか乗らないのだったら、自分用に合わせ込んだ方が乗りやすい。ワインディングやサーキットを走るならバケットタイプにするとカラダが支えられるし、大柄な人には大きめサイズのシートや、海外製シートもマッチする。ステアリングの大きさや太さなども同様だ。

 ちなみに、レーシングドライバーはレース用のバケットシートへさらに発泡ウレタンを注入して型を取り、マイクッションを入れて走ることが多い。彼らも自分仕様にカスタマイズしているのである。

 先ほどの車高の話も同じ。フル乗車でキャンプにいかないなら、もっと車高を下げても大丈夫だし、舗装路しか走らないならサスペンションを引き締めても問題はない。むしろ、ある程度ロールやピッチングが減った足まわりは、高速道路やワインディングでの移動はむしろ疲れにくくなり、同乗者も酔いにくくなる。

 ブレーキパッドも、力強く踏みたいタイプもいれば、軽い踏力で止めるのがラクなタイプの人もいる。これもどちらが良いというわけではなく、個人にどうアジャストするかの問題。ある程度コントロールができる人は、軽い力でも利くパッドのほうが疲れないという人もいる。

いざというときも思い通りに操作できる

 そういったカスタマイズは改造というよりも調整に近い。靴ひもを結び直すと歩きやすくなるとか、牛丼はつゆだくが好みだとか、ラーメンは麺硬めが好きとか、そういう個人に合わせた調整なのだ。調整がきっちりハマっていくと扱いやすくなる。

 扱いやすくなれば、いざというときも思い通りにクルマを動かすことができる。レーシングドライバーが極限のスピードのなかでマシンをコントロールできるのは、シートやステアリングなどの操作系パーツから、サスペンション、ブレーキ、デファレンシャルなど、自分に扱いやすく合わせ込んでいるいるからこそ。

「乗りにくいマシンをなんとかねじ伏せる」なんて表現も見られるが、暴れる状態でもコントールできているから走れているわけだ。完璧な状態ではなくとも、ある程度クルマと意思疎通がとれているということであり、それはプロレベルの話で、一般ユーザーからしたら遥かに高い次元でクルマとシンクロできているのである。そのシンクロ率を高めるのがカスタマイズなのだ。

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