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知らないと損する「ECUチューン」の落とし穴とは? 吸排気系を交換した後が施工タイミング

VR38DETTのECUチューニング

ECUチューンの最適な施工タイミングはいつなのか問題を解決!

 ECU(エンジン制御用コンピュータ)の書き換えチューンを考えているとき、吸気系(エアクリーナーなど)と排気系(マフラー、エキマニ、スポーツ触媒など)は先にやっておくべきか、あとから施工した方がいいのか? という問題が発生する。結論を先に述べると、正解はできれば先に吸気と排気を整えてからECUをやるべきとなる。では、なぜECUでパワーアップしてからではダメなのかを考察したい。

ECUチューニングって何? 内容とその費用はいくら掛かるのか

 まずECUチューニングを簡単に説明しておくと、エンジンを制御するコンピュータのマップ解析と書き換えを行い、燃料噴射量や点火時期を調律することで最適なエンジンパフォーマンスを引き出すチューニングとなる。

 その方法はいくつかあり、各エンジンに合わせてしっかり安全マージンを確保したセッティングデータをECUにインストールするタイプのほか、チューニングのレベルやエンジンのコンディション、ターゲットとする出力やトルク特性に合わせて一から書き換える現車合わせの方法がある。

 前車であれば費用は10~15万円ほどで、排気量にもよるがNAエンジンでも10〜20psのエンジン出力向上は可能になる。NAに対して吸入空気量が多いターボ車であれば、吸排気系などの仕様にもよるが20~40psのピークパワー向上が可能だ。

 それだけを聞くと『ECUチューンしてみようか!』と興味をそそられるだろう。吸排気系を含めてフルノーマルの状況でも十分に効果を得ることができ、そのまま乗り続けるならそれでOKという考え方も否定できない。

 しかし、近いうちにエアクリーナーやマフラーの交換を考えているなら、それはオススメはできない。なぜなら、今後行う予定の吸排気チューンに対して、すでに施工したECUのセッティングがマッチするかどうかが分からないからで、場合によっては逆にバランスが崩れてしまうことがある。ときにはエンジンチェックランプが付いてしまったり、フェールセーフ(異常な制御や作動によってトラブルが出た場合、安全を確保し制御するモード)が入ることで劇的にパワーダウンしてしまうこともある。

ECUチューニングの理想は現車合わせがオススメ

 そもそも排気系、とくにエンジン直後のエキマニやスポーツキャタライザーを交換すると、排気のバランスは大きく崩れる。それでもエンジン自体はきちんと動作するように開発されているが、それは純正ECUが前提の話。そのため、もし吸排気チューンとECUチューンを将来的に行う予定なら、まずは先に吸排気系から手を付けるべし。

 また、チューニングのレベルにもよるが、ECUの書き換えで理想を追求するなら現車合わせのセッティングがオススメだ。この現車セッティングは、既成のECUデータのインストールに対してコストは高くなるが、愛車に装着されたパーツの組み合わせに合わせてチューナーがセッティングを行うため、しっかり安全マージンをとりながら最適な燃調や点火時期などにデータを書き換えてくれる。エンジン出力やトルクアップはもちろん、走らせるステージに合わせてドライビングしやすいパフォーマンスを実現させることができる。

 本題に戻るが、既製品を使った一般的なECUの書き換えはノーマル吸排気が前提か、マフラーやエアクリーナーの銘柄をチューナーに伝えた上で、それに合わせたECUデータの書き換えを行うことが可能だ。いずれもある程度のマージンを残しており、十分な安全性を担保した上で、余裕を持たせたECUデータをインストールすることができる。

 また、ECUの現車合わせセッティングなら、そのマージンを確認しながら煮詰めることができるので、もっとも効率の良いデータ構築が可能。その分だけ速さも燃費面も有利になりやすい。さらに現車合わせのECU書き換えでは点火プラグを新品に交換したり、チューナーによっては熱価を変更する(上げる)こともある。これはエアクリーナーも同様で新品の方がより効率の良い吸気を行うことができるため、新品に交換することでさらに理想的なエンジン制御へ煮詰めることができるようになるのだ。

【結論】ECUチューニングは後か先かではなく同時が正解!

 結論としては、理想的なECU書き換えのチューニングを行うなら、ECUセッティングと吸排気系のチューニングは同時に行うのが正解となる。先にECUチューニングを行い、その後に吸排気系を変更してしまうと再セッティングが必要になり、最初の書き換え費用が無駄になってしまう。もちろん、無駄を承知でステップ・バイ・ステップでチューニングしていきたい人もいるだろう。いずれにしてもゴール地点を見据えてから、無駄を省いてエンジンのパフォーマンスアップを図りたい。

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