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トヨタ「ハイエース」や日産「キャラバン」のドライブが楽しすぎる! 運転の鍛錬にもなる商用バンの魅力

200系ハイエースベースのラリー車両

200系ハイエースのラリー車両

スポーツカーとは対極にあるものの運転が楽しいという共通項がある商用バン

 クルマの大きな楽しみのひとつにドライブがある。運転する楽しさはクルマを所有する魅力のひとつで、あてもなくドライブに出かけたり、好きなワインディングを巡るなんて楽しみ方はクルマならでは。そんなときにキーワードのひとつになるのが、ドライビングの面白さではないだろうか。ハンドリングやパワー、コーナリング性能や加速性能など、クルマの持つポテンシャルが運転の楽しさに直結するのは言うまでもない。その究極のカタチがスポーツカーだ。

 そんなスポーツカーと対極にあるクルマが商用バンであろう。 代表的なモデルはトヨタ・ハイエースや日産キャラバンなどのフルサイズ1BOXカーで、さらに日産NV200やトヨタ・タウンエースといったミドルクラスの商用バンもある。いずれも荷物を運ぶためのクルマであり、室内容積を最大限に稼ぎ出すのがこれらのクルマに課せらた使命である。しかし実際にドライブさせてみると、思いのほか運転が楽しいことに気が付く。そこで今回は商用バンを運転する楽しさについて考察してみたい。

“操ってる感”がサイコーに楽しく運転の基本に立ち返らせてくれる

 ハイエースとキャラバンを例に挙げてその特徴の一端を紹介しておこう。ハイエースやキャラバンといった全高があるボックス形状で重心の高いミニバンと比較してみる。普段ミニバンに乗っているドライバーがハイエースを運転してみた第一印象は、ポンポン跳ねるリヤの乗り味、路面からの細かな突き上げ感、コーナリング時のロール感が強いといったネガティブなものになりがちで、これがいわゆる商用バンっぽいフィーリングとなっている。

 これは、荷物を積載した際の走りを考慮してセッティングされているためなので、空荷でドライブした際に、商用バンは走りには不向きと思われてしまっても仕方がないところである。

 しかし、商用バンの運転は自分がクルマを“操っている”という感覚が強く、意外なことに運転していて結構楽しいのだ。後輪にトラックと同じ形状のサスペンション(リーフスプリング)が使われており、それがネガティブなフィーリングに現れているのだが、それだけに路面への追従性や旋回性能などでは乗用モデルに及ばない部分も多い。

 ただしハンドルを切ってクルマを旋回させる、ロールする車体を計算してハンドル操作を調整するといった、本来はクルマを運転するときに瞬時に考え、実践していた操作感が商用バンではよりリアルに感じられるのだ。つまりプリミティブ(原始的な)な足まわりの仕様&装備だからこそ味わえる、商用バンならではの個性的なドライブフィールと言えるだろう。いわゆるスムースに速く走らせるには、ある程度のドライビングテクニックが必要とされるのも商用バンならではなのだ。

ネガティブ要因の乗り味はアフターパーツへの交換で改善できる

 ただし、乗用モデルやスポーツカーに対しては走りに関するネガティブ要素があるのは否めない。ありがちなコーナリング時のロール感や路面からの不快な突き上げといった、ドライブにおける快適性を損なう要因については、アフターパーツの高性能ショックアブソーバや快適仕様の足まわりパーツが多数用意されているので、気になるポイントを適材適所に対策していけば良いだろう。

 自分好みの走行フィールが得られるクルマを作り上げられるという点でも、乗用モデルではなかなか味わうことができないオーダーメイド感覚の足まわりセット=走行フィーリングが楽しめるのも、じつは商用バンならではのメリットだ。

視界の広さと見下ろす運転スタイルがストレスフリーの運転が楽しめる

 さらに鼻先の短いセミキャブオーバータイプのハイエースやキャラバンはドライビング感覚も独特だ。細街路(さいがいろ)での転回にはちょっと慣れが必要だが、一方ではメリットも多い。そのひとつが視界の広さである。

 クルマのほぼ最前部に座って運転しているので、前方視界の広さ&見下ろす感覚は前方が見やすく快適。これに慣れてしまうと“長いボンネットのあるクルマは運転しにくい”と感じてしまうほどで、車高も比較的高く渋滞でもかなり先を行くクルマの流れを確認できるので、精神衛生上もメリットがあると言える。

 キビキビとしたシャープなハンドリング、ピタリと路面をトレースするコーナリング、胸のすく加速フィーリングといった、いわゆるスポーツカーのような走りは求められない商用バンだが、クルマを操る感覚を楽しむには絶好の素材だ。

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 荷物を運ぶお仕事仕様やキャンピングカーなどのレジャー仕様だとばかり思われている商用バンだが、走りもしっかり楽しめるクルマなのは、実際に運転してみると理解できるはず。足まわりパーツをセットアップして走りを育てていくという過程も楽しみながら、本来クルマが持っているドライブする楽しみを体感してみてはいかがだろうか。

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