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ホイールの軽量化はミニバンでも効果ある? バネ下の軽さがもたらすメリットは「速さ」だけじゃなかった

BBSのアルミ鍛造2ピースホイール「LM」を装着したアルファード

BBSのアルミ鍛造2ピースホイール「LM」を装着したアルファード

タイムを追求するわけじゃないデイリーカーでも恩恵は大きい

 スポーツカーのチューニングといえば「はじめの一歩」なのが軽量ホイールへの交換だが、シビアにタイムを追求するわけでもないミニバンなどのデイリーカーでも意味はあるのだろうか? 答えは「イエス」。じつはミニバンにも軽いホイールは絶大な効果を持つのだ。バネ下重量に注目されがちだが、ホイールの軽さから得られるメリットはそれだけじゃない。

バネ下の軽量化はボディの10倍の効果がある!?

 レーシングカーやサーキットユーザーは「ホイールを少しでも軽く」が合い言葉のようになっている。その理由は、バネ下重量の軽量化は走りに効くからだという。

 この「バネ下重量」とは、サスペンションのスプリングよりもタイヤ側の部分の重量のことで、タイヤやホイール、サスペンションのアップライト、ブレーキなどが該当する。この部分が軽くなると、タイヤは上下に動きやすくなり、路面追従性が上がるので普通の軽量化の10倍もの効果があると言われている。

 では、ボディを10kg軽量化して0.1秒速くなったとして、バネ下を10kg軽量化したら1秒も速くなるのかと聞かれると、時と場合によるとしか言いようがないが……。ともかく、バネ下重量を軽くしたほうが圧倒的な効果を得られると言われている。

 タイムを競うレーシングカーでは、ホイールが軽くなることで路面追従性が向上し、クルマの動きも軽く感じられるようになる。それがタイムにつながるわけである。

 ならば、街乗り用のミニバンには関係ないのか、というとそんなことはない。ミニバンにもしっかりと効果がある。

乗り心地だけでなく加減速のレスポンスも向上

 まず、バネ下が軽くなって路面追従性が良くなることで、ミニバンなら乗り心地が良くなる。バタバタしていたサスペンションがスムースに動くようになり、段差から落ちるときも素早くサスが伸びるので「ドスン」と落ちにくくもなる。

 それだけではなく、慣性が減るのも大きなメリットだ。ホイールは回転するので、走り始めでは止まり続けようとするホイールを動かさなければならない。ある程度回転すると、今度は回り続けようとする慣性が発生する。

 ホイールが軽くなると、どちらの慣性も弱くなる。すると走り始めは加速しやすくなり、ブレーキを掛けたときは止まりやすくなる。

 とくにホイールのリム(外周)が軽いものほど慣性が少ない。同じ重さのホイールでも中心部が重くて、外周が軽いホイールの方が慣性が少ないので、転がりやすく止まりやすい。ホイールは重さだけでは性能が測れないのだ。

コスパの良い「鋳造」でも構造にひと工夫したものもある

 そこで各ホイールメーカーでは、ホイールそのものを軽くするために「鍛造」製法を採用したりする。アルミ素材を潰して強くすることで、肉薄でもホイールの強度を確保でき、全体を軽くすることができるわけだ。

 コストに優れる「鋳造」製法の場合でも、リムだけに圧延加工を施すことで、鍛造ほどの軽さは得られないがリム部分が軽くなるので慣性を抑えられ、性能アップに直結する。

 ホイールの軽さは高速道路はもちろん、街中での加減速時もそのレスポンスの良さが伝わってくる。右左折時のステアリングを切ったときにもその軽快感が味わえる。結構お得なチューニングなのだ。

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 純正ホイールは絶対に割れない安全性を確保するために肉厚になっているのと、あえて重くしている側面もある。ある程度重いほうが高速巡航時の安定性は増すからだ。そのため、欧州メーカーではあえてホイールを重くしているとも言われる。高速移動がメインの乗り方ならば、純正ホイールの落ち着きのあるハンドリングも魅力と言える。

 しかし普段乗りから高速まで、あらゆるシーンでクルマをまんべんなく使うのであれば、軽量ホイールのメリットを感じられる場面は多くなるはずだ。

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