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「シャコタン」は何センチが正解? ダウン量だけでない正しいローダウンの最適解とは

R35GT-Rのローダウンスタイル

R35GT-Rのローダウンスタイル

カスタムの第一歩「ローダウン」の適正値とは

 最低地上高は、道路運送車両の保安基準の細目を定める告示 第163条にて、9cm以上あるようにと定められている(前輪と後輪の中心軸の間で最も低い場所を測定)。フレームやサスペンションアーム、マフラーのタイコ部が最低地上高の測定位置になることが多く、さらに2006年1月以降に生産されたクルマの場合、地面からバンパーなどに装着された灯火類(ウインカーランプ、ブレーキランプ、テールランプ)の下縁の高さが35cm以上、フォグランプやリフレクターは同25cm以上なくてはならない。

 つまり独立したリップスポイラーなどは極端な話、路面に擦るほど低くても法的には問題がない。ただ、実際問題としてどれくらい下げるのが適切なのか? それは車種によっても異なるし、スポーツカーなのかミニバンなのかでも大きく変わるのでなんとも言えないが、参考にしてほしいのは車高調整式サスペンション(以下、車高調)の取扱説明書による標準値が基準になる。

過度なローダウンはフェンダーやアームの干渉に要注意

 サスペンションメーカーではハンドリングやスタイリング、アーム類の干渉などを検証して、その車高調の標準車高を指定している。その数値なら、タイヤとフェンダーが干渉したり、アライメントがとんでもなく変化したりというネガティブな要因が起こらないことを確認しているのだ。その数値は車高調の各部の長さも含めて説明書に記載されているので、まずはその値にするのがベターだ。国産サスペンションメーカーや有名海外メーカーのパーツであれば必ず明記されているが、スポーツ系の車種でいえば25~30mmダウンくらいが主流だ。

 そこからもっと下げたいとなるといろいろな確認が必要になる。まず、車高調を入れるクルマはホイールも変更している場合が多いと思う。タイヤ外径がアップしていればフェンダーと干渉しやすくなるし、エアロを装着していれば路面とのクリアランスも狭くなっている場合がほとんど。車種によってはアームとタイロッドが干渉したりもするので、その部分の入念な確認が必要だ。

車高の下げ過ぎは乗り心地の悪化以外のデメリットもある

 そもそも過度なローダウンはサスペンションのストローク量が極端に制限されることになるので、バネレートもかなり硬めのものを使うことになる。スタイル重視で大きく車高を落としたいなら、サスペンションのバネレートも標準よりも高くしないと、ストロークし過ぎてタイヤとフェンダーが干渉したり、サスペンションが底付きしてしまったりする。

 底付きしたときにはバンプラバーというウレタン製の緩衝材にサスペンションが当たって、これ以上ストロークしないようになっているのだが、バンプラバーにガンガン当たるようでは乗り心地が極端に悪化するだけじゃなく、操縦安定性も悪化するのでタイヤが滑りやすく危険な状態になる。意図的に当てるよう設計してある車高調には、柔らかく長いバンプラバーが装着されているが、意図しないバンプラバーとの底付きとはまったく別物なので注意が必要だ。

ローダウンしたらアライメント調整が必要不可欠

 ローダウンする場合、厳密にはアライメントの変化もしっかり把握するべきだ。アライメントはサスペンションが沈み込むときに意図的に変化するようにセッティングされている。スピンしにくいようにトーインやトーアウトとなるように設計されており、ノーマル車高から沈むときの変化を前提に設計されているのだ。車高ダウンしたところから、さらに沈み込むと突然アライメントが大きく変化してしまう車種もある。そういった場合は、その領域までストロークしない車高にするとか、バネレートやバンプラバーでそこまで沈まないようにするなどの対策を取らないと、危険なクルマになってしまう。

「自分は飛ばさないから大丈夫」とアライメントを軽視する人もいるが、ありえない話だが最高速度が30km/h程度ならまだしも、普通に法定速度で走るなら危険はともなう。とくに雨の日は法定速度で走っていても、意図しないアライメント変化が起きたら盛大なスピンやアンダーステアを招いて、事故を起こす可能性も十分にある。そこでしっかりアライメント調整することが大切なのだ。

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 車高を落とすにはそういったリスクを回避するための調整が必要になるので、ぜひプロのアドバイスのもとローダウンを実践してもらいたい。

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