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発表間近!! ホンダ新型「ZR-V」開発者の言葉から読み解く「新たなパッケージング」とは

ホンダZR-Vのフロントマスク

兄弟車の現行型ヴェゼルとは一線を画す、縦型フィンを強調したフロントグリルがプレミアムさを感じさせる新型ZR-V

今秋発売のホンダ謹製ミドルサイズSUVの実力を大予想

 いまや世界の乗用車のメインストリームとなりつつあるのがSUVやクロスオーバーモデルだ。かつてミニバンで溢れていた街中、そして国内のレジャー&ショッピングモールの駐車場を見ればわかるように、日本におけるクルマの人気車種もまたSUV&クロスオーバーモデルに移行していることは明白だ。

 セダンやステーションワゴンと比べて着座位置が高く、解放感がある見晴らすような運転感覚、乗車感覚が得られるため、運転のしやすさはもちろん、ミニバン愛用者の次の選択肢としてもぴったりだ。個人的な意見を述べさせてもらえば、災害・地震大国の日本では最低地上高に余裕があり、走破性にも優れるSUVやクロスオーバーモデルはひとつの安心でもある。

サイズ感はヴェゼルとCR-Vの中間的な存在

 そんななか2022年秋にホンダから新型SUVが登場する。それがZR-Vだ。すでに北米と中国の各市場ではその姿が公開されており、日本では懐かしいHR-Vのネーミングを北米仕様に、中国仕様は日本と同じZR-Vの名が与えられている。つまり仕向地によってネーミングが異なるわけだ。

 日本仕様のZR-Vのボディサイズは、北米仕様のHR-Vに対してほぼ同サイズかわずかに大きくなることが予想され、いずれにしてもヴェゼルとCR-Vの中間サイズとなる全長4580mm×全幅1800mm×全高1630mm(※予想値)、ホイールベースは2735mm(※予想値)となるようだ。この2735mmの数値に「ピン」ときた方は鋭い。そう最新のシビックと同じであり、つまり走りに定評あるシビックのプラットフォームを使っていると思われる。車格的にはトヨタRAV4やマツダCX-5と同じと考えて間違いないだろう。パワーユニットは新開発された2Lエンジン+2モーターのスポーツe:HEVと1.5Lターボのガソリンが用意され、駆動方式はFFと4WDが揃う。

CR-Vでは大き過ぎるという日本市場のニーズに応えたZR-V

 ZR-Vの開発責任者の小野修一さんのインタビュー記事(ホンダ公式ウェブサイトで公開中※2022年8月11日時点)の言葉を借りれば、開発の背景は以下の通りだ。

「国内外を問わずSUV市場は群雄割拠の時代。ほとんどの大手自動車メーカーがSUVを出しており、各社とも販売の主力モデルに位置付けています。欧州のスポーツカーメーカーでさえ、SUVを取り揃えているのが昨今の状況です。現在、ホンダにもCR-V、ヴェゼルの2つのSUVがあり、どちらも世界的な人気を博しています。ただCR-Vが年々大型化していったことで、ヴェゼルとのサイズ差がより広がってしまった。ホンダとしてはその間のSUVが無いことへの懸念もあり、また市場のニーズも強く感じていたので、機種開発担当としては、これはわれわれが応えないといけない……という思いを持って開発に向き合いました」

 では、どんなキャラクターのSUVなのだろうか?

「ZR-Vはゴリゴリのオフロード走行をするためだけのクルマではなく、街中で堅牢さや屈強さを誇示するためのクルマでもありません。自分自身をしっかりと表現しながら、美しく意のままに走ること。それこそが、新型SUVに求められた姿なのです。たとえば、これまでセダンに乗っていた人たちにも、違和感なく乗っていただけます。運転時の姿勢は、まさにセダンライクであり、快適な操作性を実現します。さらに車高がある分、視界はより広がり、車両感覚もつかみやすく、運転の愉しさを加速させます」

SUVの新しい在り方をパッケージングしたホンダらしい新提案に注目

 パッケージングについても、多くのSUVとは一線を画すという。ZR-Vのパッケージ、インテリア担当者の伊藤智広さん言葉によれば、

「パッケージングの効率の高さはホンダのSUVの特徴です。しかし、そうした効率よりも、もっとエモーショナルな部分を突きつめていきました。インテリアについてはセダンライクな運転姿勢です。従来のSUVはトラックのような、やや背中が立っている乗車姿勢でしたが、新型SUVはセダンがそのまま高くなったスタイルに。インテリアにも、SUVよりセダンやクーペに近いパーソナルな空間を求めました」

「特徴的なハイデッキのセンターコンソールは、人体でいう正中線(体の真ん中に現れる、縦にまっすぐ伸びるラインのこと)の役割を意識したものです。シンメトリーな形にすることで、運転席・助手席それぞれの動線が交わらないため、クーペやセダンのようなパーソナルな使い勝手を実現できました。コンソールやドアには、脚のバタつきを抑えるニーパッドを採用。カーブ時などに身体を安定させるとともに、クルマとの一体感が得られ、走りをより安全に楽しめるデザインとなっています」

 そう、「セダン、SUVそれぞれの特徴を踏まえて、ZR-Vは低い運転姿勢にこだわり、床面に対して乗員が座る位置をセダン並みに低くしたことで、ドライバー席は踏ん張りの利いた姿勢を確保しやすく、また運転席以外の座り心地の良さも実現できました」と説明があるように、最低地上高に余裕があるSUVにして、セダンからいきなり乗り換えても違和感のない乗車感覚、運転感覚がZR-Vの大きな特徴のようだ。結果、新採用された独立懸架式リヤサスなどとの相乗効果もあって、シビックのクロスオーバーモデルを思わせる低重心感覚を味わえるスポーティな走りさえ可能にしていると予想できるのだ。

SUVの先駆者ホンダが本気になった渾身のZR-Vに大注目!!

 エクステリアデザインも気合が入っている。内側から強いテンションがかかった塊感をテーマにデザインされ、シンプルながらもマッシブさをベースにしながら、艶のある色気とスポーティさを併せ持つ佇まいを意識した、ひと目で流麗さを感じるグラマラスなプロポーションはタイヤまわりの存在感を強める味付けが大きな特徴となる。そして北米仕様に対してよりエレガントな演出がなされ、都会にも似合うスマートで上質なデザインとなっている。

 そんな新型ZR-Vは、ホンダのSUVとしてはヴェゼルだけが孤軍奮闘している現状で、ヴェゼルとCR-Vの隙間を埋めるという意味以上の商品性/存在感/アピール度があると思える。マツダで言えばSUVの売れ筋であるCX-5、トヨタならこれまた大人気のRAV4が直接的ライバルとなるわけで、このクラスのSUVが不在だったホンダSUVの勢いが、独自の運転&乗車感覚、そしてホンダらしい走りのテイストからも増すことは間違いないはずである。

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 さて、今秋の発売予定となるホンダZR-Vだが、ひと足早くその姿を間近で見るチャンスがある。具体的には8月13~14日大阪梅田駅阪急ピッグマン前広場(10:00-19:00)、8月20日~21日東京駅イベントスペース(八重洲中央北口付近 10:00-19:00)、8月27日~28日名古屋JRゲートタワー(10:00-19:00)で特別先行展示が開催されるというから楽しみだ。

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