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「シンガー」はポルシェ以上にカッコいい!! 「ターボ・スタディ」の実物は予想以上のオーラを放っていました【モントレー現地レポ】

レストモッドのトップに君臨しているのも頷ける仕上がり

モータースポーツ・ギャザリングに注目集まる

 モントレー・カー・ウィークにおいて、ここ数年もっとも注目を集めているのは、モントレーの隣町、カーメルにあるリゾート・ホテル、クエイル・ロッジのゴルフ・コースを舞台に開催される「モータースポーツ・ギャザリング」だ。今年で20回目となるこのイベントは、そのタイトルが物語るように、そもそもモータースポーツに関連するクラッシックカーやバイクのギャザリング(集まり)と、そのなかからベスト・オブ・ショーを選ぶコンクールで構成されたものだった。だが、オーガナイザーがその優雅でエレガントな雰囲気を大切にしたいという気持ちから、入場者数を大きく絞り込んだことで、例年そのチケットはプラチナ・チケットとなっている。

レストモッドの頂点に君臨するシンガー

 このモータースポーツ・ギャザリングで、毎年最新モデルを発表するのが、2009年にカリフォルニアで設立されたシンガー(Singer)社だ。

 彼らが哲学としているのは「A Relentless Pursuit of Excellence」、すなわち卓越性の絶え間ない追求。彼らは空冷式エンジンを搭載するポルシェ911のカスタマーとのコラボレーションにより、これまでオーダーメイドのレストアを最新の技術を用いることで実現してきた。

 高度にパーソナライズされたアプローチと、それを可能とする精巧な技術。象徴的なデザインへの情熱と、世界でもっとも象徴的なスポーツカーへの尊敬。最新のエンジニアリングと材料科学に、あたかも宝石のようなディテールを融合させるテクニック。過去10年間でシンガーは、世界中にカスタマーを持つ高級ブランドとして認知され、今ではレストモッドの世界において頂点を極める存在としてその名を知られている。

 そのシンガーが、2022年のモータースポーツ・ギャザリングに持ち込んだのは、「ターボ・スタディ」と呼ばれる新作だった。

 同社の代表であるロブ・ディッキンソン氏は次のようにコメントしている。

「1976年、自分がまだ11歳だったときに、初めてポルシェ911に乗りました。私は口もきけず、言葉も出ませんでした。あの人生を変えた瞬間から45年、私はポルシェ初のスーパーカーの素晴らしいスリルを捉え、その性能と洗練性を再構築し、カスタマーと協力して両者をさらなる高みへと導くことに興奮しているのです。このターボ・スタディは、私や多くの人の人生を変えたクルマに相応しい賛辞であると思います」

エンジンは出力違いの2タイプ、RRか4WDも選択可能

 ウルフブルーにペイントされた、かつての930ターボ風のターボ・スタディは、さまざまな点で当時の930ターボとは異なる仕様となっている。カスタマーは高性能かつラグジュアリーなGT性能を追求していたため、軽量カーボンフィバー製のボディワーク、450psもしくは500psの選択が可能な3.8Lの水平対向6気筒ツインターボエンジン、6速MT、後輪駆動と、ツーリングにセッティングを合せたサスペンション、カーボンセラミックブレーキ等々が採用された。

 インテリアはマリブ・サンドとブラックフォレスト・ウッド・アクセントによるラグジュアリーなフィニッシュがなされている。電動調整式のシートやエアコンが装備され、快適なドライブも楽しむことが可能だ。またこのターボ・スタディも、ベースとなったのは964型911となるため、カスタマーのリクエストによっては4WD仕様の製作も可能であるという。

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 2017年には、「Singer Reimagined」というスイスの高級時計メーカーの設立にも成功したシンガー社。最近大流行の兆しを見せるレストモッドのパイオニアとして、そしてまたカーカルチャーを超えたブランドとしても、彼らは着実な成長を続けている。今後誕生するだろう、さらに魅力的なニューモデルにも期待したい。

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