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羽付きオバフェン「カウンタック」が1億4000万円オーバー! スーパーカーブームのヒーローが高騰中

これまでカウンタックは、ナローボディで最初期の「LP400」のみが桁違いに高かったが、「LP400S」や「LP500S」にもその波が押し寄せている

70年代のスーパーカーといえば「カウンタック」

 ランボルギーニ「カウンタック」が、1970年代から1980年代にかけてのスーパーカーの象徴的な存在であったことに異論を唱える者はいないだろう。フェラーリをはじめ、確かにライバルは多く存在したかもしれないが、カウンタックの持つ、ウェッジシェイプを特徴とする独特なスタイリングは、それだけでスーパーカーに必要不可欠な速さというものを見事に演出することに成功していた。

横置きから縦置きのリヤミドに

 カウンタックは1971年に発表されたプロトタイプの「LP500」に始まり、「LP400」、「LP400S」、「LP500S」、「5000QV」、そして1990年に生産を終了する「アニバーサリー」に至るまで進化を続けるが、それはつねにパワーと実用性との戦いであったともいえる。

 ここで紹介するのは、2022年のペブルビーチ・オークションでRMサザビーズ社が出品したLP500S(LP5000S)である。ホワイトのボディカラーに、ホワイトを基調色としたインテリアカラーのコンビネーションがじつに魅力的な1台だ。

「L112」の開発コードでプロジェクトが開始されたカウンタックは、しかしながらエンジニアリング面では非常に大きな苦労を強いられたモデルだった。L112のパワートレーン配置は、ミウラの横置きV型12気筒から縦置きV型12気筒へと変わり、ギヤボックスはエンジンの前方に、ここからトルクは180度方向を変えてデファレンシャルへと戻る仕組みになっている。それによってより低く、安定感のあるコーナリングをL112、すなわち後のカウンタックは得ることが可能になったのである。

希少性、走行距離、コンディションが揃ったカウンタック

 生産型のカウンタック──ファーストモデルである「LP400」が誕生したのは1974年のことだが、今回ペブルビーチ・オークションに出品されたLP500Sは、前で触れているとおり、市販されたカウンタックとしては3世代目のモデルとなる。

 デビューは1982年、エクステリアのフィニッシュは、基本的には前身のLP400Sを受け継いだものとなっているが、ドアパネルはLP400Sの途中で大型化されている。もちろんこのLP500Sにおいても、コックピットへの乗降性を見直した大型のドアが採用されている。またホイールベースは、LP500Sまでは2430mmという数字だが、その後継車となった5000QVでは2500mmに延長されている。

 搭載エンジンは、車名が物語るようについに排気量拡大が行われ、4754ccが新たに設定される。それによって最高出力は375ps、最大トルクは410Nmを得ることになり、実用域での扱いやすさも大きく高まった。今回出品されたLP500Sは(エンブレムはLP5000Sとなっているが、これはデリバリーされた地域の違いによるもの)、スイスのローザンヌにあるディーラー、コデロS.A.を通じてファースト・オーナーにデリバリーされたもの。

 その後2006年には3番目のオーナーへと渡り、イギリスのロンドン近郊にあるハイパフォーマンスカーのスペシャリスト、DKエンジニアリングによって2022年までメンテナンスの作業が行われてきた。今の車両とともに残るワークショップの請求書は2万6000ポンド(邦貨換算約420万円)。

 6つのウェーバー製キャブレターすべてのストリップクリーニング、ブレーキマスターシリンダーの交換、リアドライブシャフトとブーツの交換、冷却システムの整備、ホイールの改修など、このファイティングブルが本来の強力な走りを披露することができるよう、万全の整備が行われている。ちなみにブレーキは、APレーシング製にアップグレード。その制動力は格段に向上した。

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 今回RMサザビーズ社から提案されたエスティメート(予想落札価格)は70万~90万ドル。邦貨にしてオークション当日のレートならば約9750万~1億2150万円と、かなり強気の数字が示されていた。

 しかし実際の落札価格は106万1000ドル(邦貨換算約1億4300万円)という高額なものだった。これはコンディションの良さはもちろん、LP500S自体が321台しか生産されていないモデルであること。そして走行距離が新車からわずかに5495kmと、驚くべき少なさであったことなどが影響した結果なのだろう。

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