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サーキットの狼世代のBMWといえば「320グループ5」が憧れ! シルエットフォーミュラのド派手マシンが売り出し中!

フロントスポイラーは再生産されたものとのこと

BMWといえばレース

 走りの楽しさ、さらにはライバルに対してのパフォーマンスの高さを大きなセールスポイントとするBMWにとって、最も大きなプロモーション活動となるのはモータースポーツをおいて他にはない。そのためBMWはこれまで、さまざまなカテゴリーにコンペティションモデルを投入してきたが、中でもとくに高い人気を現在も誇るのは、グループ5の特殊プロダクションカー、すなわち「シルエットフォーミュラ」だろう。

3.5CSLを彷彿とさせるエアロダイナミクス

 BMWが最初にこのシリーズのメイン・モデルに選んだのは、1975年にアメリカのIMSAに投入されていた3.5CSLであった。これは3.0CSLをベースとするグループ5仕様ともいうべきモデル。

 1976年からBMWは、最新のE21型3シリーズをベースとしたシルエットフォーミュラを投入する。グループ5のレギュレーションでは、ルーフとドア、そしてボンネットの変更こそ禁止されていたものの、ボディの他のパートはスタイリングやエアロダイアミクスに関してほぼ自由なレギュレーションとなり、一方で搭載されるエンジンやメカニズムもゆるやかな制限の中で当時のトップクラスの技術を用いることができた。

 ライバルは、ランチア・ベータ・モンテカルロ、ポルシェ935、フォード・カプリなど、いずれも2L未満のカテゴリー。

 3.0CSLを彷彿させるエアロダイナミクスキットは、ワークスモデルとプライベーター用の両方が製作され、サスペンションはグループ4マシンの3.0CSL用のそれを流用。

 エンジンは市販車に搭載されるM10型よりさらにエキサイティングなM12/7型。このエンジンはF2マシンからそのまま移植された2Lの直列4気筒4バルブで、330psの最高出力を発揮した。レブリミットは1万1000rpmというから相当な高回転型だ。

正真正銘のBMWファクトリー物件

 今回RMサザビーズ社からプライベート・セール(個人間売買)に出品されたBMW 320i グループ5は、当時製作されたモデルの中でも、ファンにとって最も鮮明な記憶に残る1台だろう。

 鮮やかなオレンジに、メインスポンサーのリキュールメーカー「イエーガーマイスター」のロゴ。ニュルブルクリンクでエグゾーストから炎を吹き出し、膨張したタイヤがかろうじてフェンダーに収まっている姿を覚えているファンも多いことだろう。

 ちなみにこのモデルは1977年シーズンまで使用されたもので、シャシーナンバーは「R1-06」。エンジンは途中で交換されたのか「M12/7」のナンバーを持つが、これも正真正銘BMWのファクトリー仕様であることが、BMW自身によって証明されている。

 1977年にレースでのキャリアを終えると、何度かその所有者が変わったR1-06だが、その後2008年から6年間の長期にわたってレストア作業を受けている。それは全コンポーネントの分解を含む、完全な「ナット&ボルト」。

 シャシー、サスペンション、デファレンシャル、トランクリッド、ドアなどの主要パーツはすべてオリジナルだが、フロントスポイラーとリヤウイングだけは再生産されたものだと販売委託者は説明している。さらにサーキットシートや当時の写真、モータースポーツ関連雑誌など、10冊のリングバインダーからなるヒストリーファイルも付属しているということだ。

 誰の目からも一瞬で注目を集める、イエーガーマイスターマイスターのカラーリングが美しい320グループ5。モータースポーツのヒストリーを語るうえでは、非常に強く記憶に残る時代のアイコンと言ってもよいだろう。

 現在、Sotheby’s(サザビーズ)のプライベート・セールに出品中。はたしてどのようなオーナーの元へ嫁いでいくのだろうか。

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