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話題の日産新型「フェアレディZ」に走り屋も注目! チューニングベースとしての実力をプロが考察

新型フェアレディZのイメージカット

初代のS30型を彷彿とさせるヘッドライトまわり

話題の新型Zがいよいよユーザーの手に!

 いよいよデリバリーが始まったと言われるRZ34型日産「フェアレディZ」。では、チューニングでどんなクルマに仕上がるのか。これまでのデータから考察する。

ECU書き換えでひと昔前のフルチューンのような出力が可能

 スーパーメガトン級マイナーチェンジを経て登場するZ34改め「RZ34」フェアレディZ。エンジンはこれまでのV6 3.7LからV6 3.0LターボのVR30DDTTに変わった。このエンジンは「スカイライン400R」に搭載されていたものとまったく同一と発表されている。

 その出力は405ps/48.4kgf-mというもの。それだけでも相当なパワーだが、400Rではすでに純正ECUの書き換えによるチューニングが確立されている。

 現代のECUチューンは大昔のキャブ時代のような、ジェットを絞ってリスク覚悟でパワーを絞り出すような話ではなく、さまざまな規制によって抑えられているものを解放するイメージなので、エンジンライフが縮まるようなことはない。400Rではざっくりというと500ps/65kgf-mくらいまでは可能。ということはRZ34でも同一のパワーは可能だ。

 ノーマル+αなさくっとしたメニューに見えてしまうが、20年前なら筑波最速を目指すスカイラインGT-Rのハードなチューニング車両のようなスペックが、ECU書き換えだけで手に入ってしまう。

挙動がわかりやすい足まわりが武器になる

 シャシーは2シーターらしく剛性もあり、重心も低いZ34をベースに進化しているので、ECUチューンで増大したパワーを十分に受け止められる。じつは、従来モデルであるZ33/Z34シャシーはその扱いやすさに定評がある。

 前後ともによく動くサスペンションはダブルウィッシュボーン&マルチリンク式で、唐突に破綻しにくい。ジワジワと限界が感じられる足まわりがあるからこそ乗りやすく、草レースである「Zチャレンジ」などのレースが流行ったのも、素人にも扱いやすいクルマだったからこそ。

 ということは、かなり扱いやすい500psマシンへカンタンに仕上がってしまうはず。しかも、ターボエンジンでトルクが65kgf-mとなれば、サーキットではヘアピンなどで3速が使えるほどトルクフルとなるはず。いや、3速でないとホイールスピンで立ち上がれないかもしれない。

 そうなるとドリフトが極めてしやすいだろう。落ち着いたシャシーにトルクのあるエンジンが一番ドリフトがしやすい。ちなみにドリフトではAE86が有名だが、これはピーキーなシャシーにパワーの無いエンジンで、初心者はドリフトできません! だからこそ、AE86のドリフト乗りは上手いと言われたわけだ。

 日産シルビアはターボパワー+マルチリンク式のリヤサスで、極めてドリフトがしやすかった。Z33/34も同じくよく動く足にトルクのある大排気量エンジンで、これまたドリフトが簡単にできたのだ。

サーキットで気持ちよく走りを楽しめること間違いなし

 ということで、RZ34はドリフトにもサーキットにも使いやすいはず。ドリフト競技という意味ではなく、容易にテールスライドからのカウンターステアができれば、ちょっとした広場やミニサーキットでも低速でモータースポーツが楽しめる。低速だからリスクも少なく、誰もが楽しみやすい。

 普段乗りは圧倒的パワーで、とりあえず発進して4速にでも入れておけば、オートマ感覚で乗れるだろう。しかも、Z34に採用されたシンクロレブコントロールは継続されているので、シフトダウン時には勝手にエンジン回転数をアップしてくれて、シフトダウン時も楽々。極めて乗りやすい本格スポーツに仕上がるはずだ。

 あとは電子制御と仲良くなれるかだけがキーポイントになるだろう。Z34ではABSが気難しく、スポーツ走行では扱いにくかった。それが今回どのような仕上がりになっているのか? 姿勢制御系の電子制御もカットか、それに近い状態にできるのかが、スポーツカーとして楽しめるかの判断材料になるだろう。

 そのあたりの不満は日産も把握していたはず。であれば、もしその声が反映されていれば、相当に面白いスポーツクーペが登場したということになるだろう。

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