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MVアグスタ主催イベントにジョイン! 富士スピードウェイで健常者と障がい者が一緒にサーキット走行を実現したSSPとは

これまでサーキットでのパラモトライダー体験走行会では、当日居合わせた一般ライダーがその走行を見ることができたが、今回は共に走ることができた

パラモトライダー走行会が一般イベントに合流

 一般社団法人サイドスタンドプロジェクト(SSP)が続けている活動「パラモトライダー走行会」が2022年10月30日に富士スピードウェイで行われた。今回初めて一般イベントに合流し、サーキット走行枠で健常者と一緒になって走行を行った。

SSPは障がい者のバイク再デビューを手助けしている

 SSPは、世界で活躍したレーシングライダー青木三兄弟の長男・青木宣篤選手と三男・治親選手のふたりが立ち上げ活動を展開しているもので、2020年から「パラモトライダー体験走行会」を国内各所で定期的に開催している。

 パラモトライダーとは、事故などで身体に障がいを抱えてしまってオートバイを諦めた人にふたたびバイクに乗ってもらってライダーとして再デビューしてもらう、というもの。これまでは、サーキットや休校日の自動車教習所といった外部から閉鎖された空間を利用し、障がい者のバイク再デビューを手助けしている。

 このSSPで使用する車両は、それぞれの障がいに合わせてカスタムをしていくことになる。今回の参加者は脊椎損傷、そして大腿切断という下半身に障がいのある参加者であることから、シフト操作を手元で行なえるようにしたカスタム車両を持ち込んでいる。

 そのハンドシステムは、左ハンドル周辺に装備したスイッチでアップとダウンのボタン操作をすることで、直接シフトペダルの操作ができるアクチュエーターをシフトペダル付近に備えている。さらに足を固定するため。自転車競技などで使用されているビンディングを使い、ステップとブーツを接続。

 膝が開いてしまうことを制御するためのシートベルトで大腿部を固定することにある。さらにバイクのスタートとストップについては、ボランティアスタッフがバイクを支えることで、このパラモトライダーの走行を実現している。

7名のパラモトライダーが参加

 2022年の9月には、一般公道である「アネスト岩田 ターンパイク箱根」を借り切って、ツーリングを実施したわけだが、その翌月となる10月に開催されたのが、一般健常者と一緒になってサーキット走行会に参加するというもの。

 今回、その舞台となったのは、静岡県にある富士スピードウェイで開催されたMV AGUSTA JAPAN主催の「MOTO GENERATIONS in FUJI SPEEDWAY 2022」。イタリアのバイクメーカーであるMVアグスタのオーナーが集まり、富士スピードウェイの本コースを走行するイベントである。

 このMVアグスタは、以前からこのSSPの活動に設立当初から協賛、そして車両の提供も行っており、このSSPの活動に対してMVアグスタジャパンの綱木正義営業部長は「そもそもこのSSPの活動はミシュランタイヤさんからタイヤを提供したいが車両がないから、協力してくれないか? という相談からスタート。社会的に意義のある活動だということで、喜んでこの活動に参加しました。今回のイベントについては、先月の箱根でのイベントでこういったことをやるんですけど、と話をしたところぜひ一緒にやりましょうということになって、一緒に走ってもらうことにしました」と語る。

 今回、7名のパラモトライダーがこれに参加。3つのクラスに分けられた走行枠の内、初心者クラスで用意された3回の走行枠を使い、先導車1台に付き2名ずつ、ひと枠4台での走行を行った。ボランティアスタッフも4台それぞれに付き、同時にコースインが行われた。そしてピットに戻る際のバイクを支えるというオペレーションも用意。これまで、先導車を別とすればパラモトライダーがコースを占有しての走行だけであったことを考えると、一般の健常者とともにサーキットを走行するという初めての機会となった。

 この日の富士スピードウェイは秋らしい快晴の一日となり、3回の走行時間はすべて好天のドライ路面で各ライダーが富士の本コース(4.563km)を3~4周ずつ、無事に事故なく走行を終えることができた。初めての富士スピードウェイという参加者も多く、なかには「一般の方々と一緒に走ることができて、障がいを負ってもバイクを楽しんでいる姿を見てもらうことができたと思います。こうやって健常者と障がい者が分け隔てなくバイクを楽しめる機会がもっと増えていくといいですね」とコメントしてくれる参加者もいた。

 次回のSSPパラモトライダー体験会は2022年11月13日(日)に、熊本県にあるHSR九州サーキットで開催となる。

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