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バブル時代の日産「S13シルビア」が今なおクルマ好きに支持される理由とは? 30年前のデートカーに再注目です

S13のオーバル走行シーン

S13シルビア登場時のバンク走行シーン

2023年で生産終了から30年を迎える名車

 元号が令和になったチューニング業界で今なお主力マシンのひとつであり、とくにドリフトでは最新のクルマたちと第一線で渡り合うほどの活躍で、1993年の生産終了から2023年で30年とは思えない存在感を放つ日産「シルビア」(S13)。マツダ「RX-7」やホンダ「NSX」のようないわゆるピュアスポーツではなく、日産「スカイラインGT-R」のようにレースで勝つために作られた車両でもない。

 それにもかかわらずココまでチューナーやドライバーから愛され、まだまだ人気にかげりが見えない理由はいったいどこにあるのだろうか。

登場と同時にチューニング業界で大ヒット

 人気の最大のポイントは、1988年のデビュー当時ですでに減りつつあった後輪駆動であること。もうひとつは走り屋を中心とした若者でも手が届きやすい、トップグレードでも200万円台の半ばに抑えられたプライス。そしてビギナーでも振りまわしやすい、手ごろなサイズとパワーだ。

 S13が登場する以前のFRと聞けば誰もが思い浮かべるのはAE86型トヨタ「カローラレビン」&「スプリンタートレノ」。最大の消耗品であるタイヤを含むサイズや価格では、シルビアを凌駕しているといっても過言ではないが、小排気量に加えパワーのないNAエンジンがゆえに、速く走らせたりドリフトするのは簡単じゃなかった。

 ところがS13シルビアはノーマルでも205ps(1.8Lの前期型は175ps)を発揮し、ターボなのでブーストアップなどパワーを上げるためのハードルも低い。その点にチューナーたちが注目しないはずはなく、発売の直後からアフターパーツ開発がスタートし、あらゆる走りのスポットで主役として躍り出る。

 とくにエンジンがSR20DETに変更されて以降はさらに人気を高め、チューニングもブーストアップやタービン交換からさらに進化し、2.2Lへの排気量アップなどで格上のマシンと渡り合えるクルマが増えた。

後継のS14やS15からのパーツ流用も人気

 さらに後継モデルはエンジンが正常進化し、S14は220ps、S15は250psを絞り出す。容量の大きくなった純正タービンを流用する手法や、クーリングチャンネルを備えた通称「黒ヘッド」ごと、エンジンをスワップするメニューもお約束となった。

 SR20DETのままでも500psオーバーが可能なポテンシャルを秘め、素直で初心者もコントロールしやすい操縦性のサスペンション。アフターパーツも国産車ナンバーワンといえる豊富さで、純正パーツも前述したとおりS14やS15からの流用や、GT-Rから5穴ハブやブレーキを移植することができた。

条件が揃ったことで人気が長く続いている

 人気を裏付けるようにS13の販売は約30万台と、7代にわたるシルビアのなかで圧倒的な数を誇る。後継モデルのS14も駆動方式など基本的なメカニズムは変わらないが、3ナンバーのボディと丸みを帯びたデザインに抵抗を持つ人もおり、バブル経済の崩壊というタイミングと重なったことも大きく影響。販売台数は約8万5000台と、S13の4割にも満たないままで終わった。

 多くのチューナーや走り屋が惚れ込み、歴史に残る名車となったS13シルビア。価格/サイズ/パワー/扱いやすさ/パーツの多さで、これほどバランスの取れたベース車はほかにないだろう。

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