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4000万円オーバー! 新車同然のBMW E36「M3」が驚愕の落札価格! 最初に納車されたのは日本でした

E36 M3の前期モデル「M3B」と「M3C」を見分けるポイントは、キドニーグリルの細さ

ストレート6になった「M3」

 1992年11月、BMWは新たな「M3」を登場させた。マニアの間では「E36 M3B」と呼ばれているモデルだ。エンジンはE30型M3に搭載されていた4気筒のS14型から、3.0L直列6気筒のS50B30型に変更。

 ボディはクーペ2ドアだったが、E30型のようなブリスターフェンダーは採用せず、ベースとなったE36型のクーペと並べてみれば違いは分かるが、サイドミラーの形状でしか普通は区別ができないおとなしいものとなっていた。日本での販売価格は730万円である。

モデルバリエでも攻めたE36 M3

 その後このE36 M3には、4ドアセダンボディのM3リムジンや、屋根が開くM3カブリオレが追加されたのだが、1995年になるとエンジンを3.2L直列6気筒のS50B32型に変更した。これが「M3C」と呼ばれるモデルである。エンジンの最高出力は321psである。

 M3Cになるとマニュアルトランスミッションも6速となり、さらにセミオートマチックトランスミッションである6速のSMG(Sequentilles M Getriebe)搭載車も発売された。シングルクラッチ式であるこのSMGは、当時BMWが参戦していた、F1で培った技術を元に開発されたもの。

 市販車に搭載するのはこのM3Cが初めてだったのだが、現代のレベルから見ればまだ制御が甘く、多様なトラブルに見舞われたことでも知られている。このM3Cの販売価格は、6速MTが733万円、6速SMGは773万円だった。

日本に納車されたダカイエの1台

 今回RMサザビーズオークションに出品された1997年式のM3Cは、6速MTを搭載したものだ。製造されたのは1997年11月18日で、日本で納車された個体である。

 ボディカラーはダカールイエロー。インテリアはMカラーがアクセントとして入れられた、ブラックレザー仕上げとなっている。オートエアコンやサンルーフ、シートヒーターといった快適装備もフル装備のいわばゴージャスな仕様なのだが、走行距離は2752kmでしかない。

 この個体は、長年出品者がコレクションとして静態保存していたものなのだそう。そのため見た目の状態はまさにコンクールコンディションなのだが、実際に走行を希望するなら、徹底したメンテナンスが必要となる、という注意書きがなされていた。

中古車相場の8倍近い価格で落札!

 この1997年式BMW M3Cのハンマープライスは、驚きの28万6250ユーロ(邦貨換算約4100万円)であった。正直にいえば、見て愉しむよりも走ったほうが数段愉しいというのが、このM3Cというクルマだろう。

 しかしここまで大事に保管されてきたのであるならば、ここであえてサーキットはもちろんのこと公道へと戻さず、展示車として持っておくというのもアリなのだろう。おそらくはそういう価値観を持つ人たちが競り合って、この高値での落札となったものと思われる。

 普通に走行可能なE36 M3Cは、ひと頃より高くなったとはいえ日本国内中古車市場で、5〜600万円ほど出せば買えるはず。そうした個体を手に入れて、すべてを新車当時のコンディションに整備するには相当なコストがかかるのは当然だが、新車当時のオリジナルコンディションではない。さて、どちらがいいのか。これは個人個人の価値観によって違ってくるのだろう。

AMWのミカタ
 Mモデルとはいえ、BMWは新車当時からコレクションする目的で購入するようなものではない。裏を返せば走って愉しんでナンボの普段乗りに使われるクルマなのだが、だからこそ低走行の新車同然コンディションの個体がオークションに出てくるのは非常に珍しい。コレクションしたい人にとっては、喉から手が出るほど欲しい個体であることは間違いないだろう。

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