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「地域おこしラリー」で勝利する秘訣とは? 秩父・皆野町のヒストリックカーラリーでガチで勝ちを狙いに行ってみました

1963年式フォルクスワーゲン・カルマンギアで皆野・秩父を走った

「皆野サンデーラリー2022 Autumn」にVW「カルマンギア」で参戦

 クラシックカー趣味人の間で最近盛り上がっているのが、日本各地で開催されているヒストリックカーラリー。WRCに代表されるスピード競技ではなく、観光と地域おこしを兼ねて楽しく走れるのが人気の理由ですが、今回AMW編集部は「皆野サンデーラリー」に参加して、空気を読まずに本気で優勝を目指してみました。はたして結果はいかに。

秋の秩父エリアのゆたかな自然を楽しむお手軽ラリー

 埼玉県の秩父エリアにある皆野町では近年クラシックカーを通じた地域おこしに取り組み、ゆたかな自然の中でのクルマ遊びを提案している。その一環として2021年12月に第1回「皆野サンデーラリー」が開催され、われらAMW編集部も1963年式フォルクスワーゲン「カルマンギア」で参加したものの、36台中19位と、なんともビミョーすぎる結果に終わっている。

 皆野サンデーラリーは好評に応えて2022年3月に第2回が行われ、続けて10月23日(日)に第3回が開催されることに。およそ3時間で60kmほどを走るお手軽なラリーイベントで、エントリー台数は60台だ。この第3回に、カルマンギアで1年ぶり2度目の参加を決めこみ、今度は経験値を活かしてもっと上位、あわよくば優勝を狙ってみることにした。

勝利のために1:コ・ドライバーとの信頼関係が肝

 ラリー競技では、ドライバーとコ・ドライバーの2名1チームで、「コマ図」と呼ばれるルートブックを見ながら走るのが基本スタイル。これには交差点など要所のみ抽象的な記号と合計距離が記されていて、コ・ドラが次に曲がるべきポイントなどをドライバーに指示するのだが、たまに間違ってルートを逸脱してしまう緊張感もある。

 そしてコースはいくつかのステージに区切られ、時間や速度などの課題が設定される。今回の皆野サンデーラリーでは、5つのステージが設定された。

【ステージ1】第1チェックポイント(CP)まで平均時速32.6km/hで走行。

【ステージ2】第1CPから第2CPまで31分で走行。第2CPはコンビニで、そこで買い物をしたレシートの時間がゴール&スタート時間となる。

【ステージ3】第2CPから第3CP(道の駅みなの)まで平均時速32.5km/hで走行。

【ステージ4】道の駅で買い物をして、レシートをもらう。買い物の内容によってポイントが加算(基準は秘密)。そこから20分でゴール地点へ。

【ステージ5】ゴール地点の皆野町役場でクイズに答える。クイズの内容はコースや休憩地点のどこかにヒントあり。

【スペシャルステージ】コマ図12~15のどこかでスピードガンで測定しているので45km/hで走行。

 平和にのんびりと秋の皆野を走るのが趣旨ゆえに、ステージ4と5はお遊び要素が強く、結果は運まかせとなる。それ以外の区間で人事を尽くして、あとは天命次第だ。

 ここまで読んでお察しのとおり、じつはコ・ドライバーのほうが頭を使う。コ・ドラを担当してもらったのは1年前と同じAMW編集部の米澤氏で、ヒストリックカーラリーに何度も参加しているので不安はない。2人の意思疎通がうまくいかないと車内が険悪になりかねないので、関係性は大事な要素だ。正直、ドライバーの筆者は言われるがまま走るだけで、じつはソロでドライブしているときよりラクなのだった。

勝利のために2:デジタルデバイスを活用する

 時間と速度をつねに把握してコントロールするのがラリー競技であり、熟練者やガチラリーでは競技用トリップメーターやラリコンをクルマに装着する人もいる。その一方、わがカルマンギアにはトリップメーターも無ければ、速度計はマイル表示(車検用に申しわけ程度のkm表示はあるが視認性は低い)。アナログ時計は1日に5分ほど遅れる、大らかな仕様だ。

 そこでありがたいのがスマホのラリータイマーアプリだ。トリップメーターを細かく使い分けられるだけでなく、GPSと連動してリアルタイムの速度と区間の平均速度も表示してくれる。どこまで厳密かは怪しげながら、カルマンギアの純正メーターよりは当てになる。ちなみにGPS頼りゆえ、長いトンネルがあるコースだとヒドい目にあうので要注意だ。

 アナログ感を楽しむヒストリックカーラリーでデジタル頼りというのも野暮な気がするが、勝つためには手段を選ばないのである。

勝利のために3:前後のクルマとの心理戦を制する

 こうして準備万端の気分でスタートした皆野サンデーラリー。秋の深まる秩父エリアの風景を眺めながらカルマンギアで快調に走る。コースミスもなく、ペース配分も順調だ。しかし、スタート地点では1分おきに感覚をあけて走り出したエントリー車たちも、信号やCPをはさむことで徐々に集団が形成されていく。

 自車の前を走っているクルマが、こちらの考えるベストなペースより速いとき追いかけるのか、または遅い場合には追い越してでも先に行くのか。さらに前のクルマが「あれ?」という場所で曲がっていったとき、コースミスだと思うけどひょっとしたら……と心に迷いが生じることもある。

 今回は、数台の集団をこちらが先導する形になる場面が多かった。そうなると「もしかして遅すぎる?」と不安になったりもする。つくづくどんな競技でも、平常心が大事だ。

競技終了! 結果は果たして……

 道の駅みなので地酒や「しゃくし菜」の漬物を買いこんで、ゴール地点の皆野町役場へ。最後に待ち受けるクイズは、1年前は「コマ図のAからBまでの間の信号の数は?」だったので、同じ問題は出ないだろうと思いつつ、信号の数はチェックしてある。ところがフタを開けてみると今回のクイズは……。

「コマ図16より“フルーツ街道”を通りましたが、秩父郡吉田町で有名な稲作農法は次のうち何番でしょうか? Aアイガモ農法 Bコイ農法 Cコフナ農法 Dカブトエビ農法 Eバイオセラミカ農法」

 と、カルトクイズのような内容で完全にお手上げ。5分の1の運に賭けるも外したのだった。正解はDのカブトエビ農法で、ごく少数ながら、道中の看板をヒントに正解した人もいるようだった。

 リザルトは、同点の場合はより年式の古いクルマが上位というルールで発表され、われらAMWチームは26点で60台中20位。健闘はしたけれど……というふがいない順位だ。

 なお同じ26点が5台、27点が3台、28点が6台、29点が3台とポイントが固まっていて、上位陣は優勝&2位が38点、3位が35点と、点数差の大きな分布となっている。最後のクイズが10点なので、その正否が勝負の決め手なのだった。

優勝者いわく勝利の秘訣は「応援したい気持ち」

 第3回皆野サンデーラリーで優勝したのは、1964年式オースティン「ヒーレー3000 Mk.3」の鈴木智博さん。ステージ5のクイズ「カブトエビ農法」は、勘ではなく正答できたというから驚いた。たまたま有機農業に興味があり、ある程度の知見があったので消去法で回答できたそうだ。また、ステージ4の「道の駅みなの」は買い物の金額に応じてポイントが加算され、こちらでも最高得点をマークしている。鈴木さんに勝利の秘訣を聞いてみた。

「今回でいうと、勝つ秘訣は、あきらめない心と応援したい気持ちですかね(笑)。ラリー3日前にヒーレー3000のダイナモが故障し、あわや参加見送りとなるところ、知人からオーバーホールしたヒーレースプライトのダイナモが届き、さらに所属しているクラブ“Evergreens”の先輩にご指導いただきながら問題を乗り越え、4時間にもおよぶ路上修理の末、エンジンが始動できました。そのような奇跡があり、クラシックカーを愛する諸兄に感謝をしながら、出場できただけでもありがたかったのです」

 そう謙虚に語る鈴木さんは、じつは地域活性化を軸にした仕事をされていて、まちづくりの観点からも皆野サンデーラリーを非常に良いイベントだと思っていたそうだ。

「当日は中学からの親友と、その場でコマ図を見ながら打ち合わせを行い、自分たちのベストを出そうとがんばり、結果的に総合得点で優勝をいただきました。お買い物ランキング1位というのは、単純に、地元に金を落としたかったという想いがありました。素晴らしい皆野、秩父の景色とおいしい特産品をたっぷりと買うこともでき、運営者の皆様には感謝しています。ぜひ来年も参加させていただければと思います」

* * *

 開催地の文化と風土をリスペクトしながら純粋にラリーを楽しみ、結果として優勝というオマケも手に入れることとなった鈴木さんのお話を聞いていると、目先のポイントで一喜一憂していたわが不明を恥じるばかりだった。

 自然の中でドライブするだけでも楽しいものだけれど、地元の人びとが地域の魅力的なスポットや名物をそろえて「おもてなし」してくれるヒストリックカーラリーなら、その土地をさらに深く味わうことができる。

 次回の皆野サンデーラリーは2023年4月9日(日)に開催が決定しているので、まだ体験していないクラシックカー乗りはFacebookで「皆野町地域おこし協力隊」をチェックしてみるといいだろう。

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