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110台のヒストリックカーが集合! 「フェラーリ」や「ポルシェ」など雨でも走った「コッパディ東京2022」の世界的名車とは?

神田明神でお祓いをうける1960年式BMWイセッタ

東京の今と昔を巡るヒストリックカーラリーが16回目

 東京の今と昔を巡るヒストリックカーラリー「コッパディ東京(COPPA DI TOKYO)」は毎年、勤労感謝の日に開催されていて、2022年11月23日(水・祝)の今回で16回目を迎えた。気軽に参加できる1デイ・イベントとしてベテランからビギナーまで人気の好例イベントとなっている。

スタート&ゴール地点はお洒落な汐留イタリア街

 この日は早朝より雨模様だったが、スタート&ゴール地点である汐留イタリア街の、雨に濡れた石畳のパルクフェルメには、いろとりどりのヒストリックカーが日本各地より集まってきた。

 華やかなイタリア車たちがエントリー車両の最大勢力で、それに続いてドイツ、イギリス、アメリカ、フランス、日本車たち。最古は戦前の車両から、サルーンにスポーツカー、そして小さなバブルカーまで、「走る博物館」とでも呼びたくなるほど多彩なクルマたちを都心部で見ることのできるまたとないチャンスだ。雨にもかかわらず、たくさんの見学客たちも集まりはじめ、スタートのゲート付近が慌ただしくなってきた。

 雨は激しさを増し降りやむ気配もないが、定刻となり、いよいよ最初の車両のスタートの時間だ。ラリーはまず「0号車」が競技車に先駆けて、コースの安全を確かめるためイタリア街を出発する。その役目を果たすのは、このコッパディ東京のオフィシャルパートナーであるゼネラルモータースから、シボレー「コルベット」の最新モデルだ。

江戸情緒の下町や築地を走って神宮外苑へ

 そしていよいよ、今回のエントリー車で最も旧い1号車、1928年式ランチア「ラムダ」からゲートをくぐる。見学者たちに囲まれたゲートを出るとすぐに「PC競技」(Prove Cronometrate、別名・線踏み競技)が始まる。スタート地点とゴール地点にセンサーを設置し、設定タイムにいかに近く正確に走るかを競う、ヒストリックカーラリーの本場であるイタリア、ミッレミリアでも採用されているゲームであり、今回は4連続で指示速度のある区間の正確さを競う。

 その後は谷中、今戸神社から隅田川と並走し、神田川沿いでこの日2回目のPC競技。それに続いてチェックポイントの小松屋で手渡される佃煮のお土産もうれしい。コッパディ東京は、東京の古今を巡るのがメインテーマのラリーであるが、16年目ともなるとそれにも変化がある。2021年までは豊洲新市場からのレインボーブリッジ経由というコースだったが、今年は築地場外市場内を走行し、いちょう並木もピークの神宮外苑へ。このいちょう並木も近い将来失われてしまう景色なのだ。

 こうして参加車両の一行は汐留イタリア街へと戻り、例年ならば表彰式となるのだが、そのままゴールで順位が告げられ、入賞者には景品の授与があり、流れ解散に。ヒストリックカー乗りにとっては16回目の忘年会ともいえるコッパディ東京は閉幕となった。

「メッサーシュミット」など4組の参加者に感想を聞いてみた

 大雨にもかかわらず、会場には楽しかった1日の余韻に浸っているエントリー車両が何台か残っていた。今回は「イセッタ」に「ハインケル」、3台の「メッサーシュミットKR200」といったバブルカーが参加していたが、その3台のKR200のなかの1台のオーナーさんに声をかけてみた。

 千葉県の加茂川正洋さんは、奥さまの恵子さんとエントリー。じつはこのメッサーシュミット、加茂川さんにとって初めてのヒストリックカーだそうだ。子どもの頃に飛行機のメッサーシュミットの存在を、そしてそのメッサーシュミットが作ったクルマがあると知り、KR200のの姿にひと目惚れしたという。

 レストアが済んだら譲ってもいいというメッサーシュミットのオーナーを紹介してもらい、約2年前に晴れて1960年式メッサーシュミットKR200のオーナーとなったばかりだ。通常のクルマと違い、前後にタンデム式で乗車するKR200だが、後部座席に乗る恵子さんの指示に従っての走行は、雨ながらも最高に楽しかったそうだ。

 また、これも希少な1964年式「ルネ・ボネ・ジェット」で参加した田中さん(ドライバー)と熊倉さん(コドライバー)は、「拭いても拭いても、窓は真っ白でした」と、ゴールして安堵の表情を浮かべていた。

 補助灯を装着しラリーモデファイを施したハードトップの1959年式「オースティン・ヒーレー3000」で参加した上野山さん(ドライバー)&松澤さん(コドライバー)組は、千葉県・成田での「ニューイヤーラリー」や埼玉県・皆野町の地域おこしイベント「皆野サンデーラリー」の運営にも携わるベテランだけあって、見事クラス優勝を獲得した。

 そしてイエローバルブもまばゆい「ルノー・ドーフィン」は紀伊さん(ドライバー)と篠田さん(コドライバー)。ツインキャブ化やハイカム、本来3速のところ4速のミッションを搭載するなど、ゴルディーニ・チューンに匹敵する内容のモデファイが施されていて、気持ちよい運転が楽しめるという。数年連続して、年末の忘年会ラリーを楽しんでいるそうだ。

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 2022年はあいにくの悪天候となったが、それでも参加者もギャラリーたちもヒストリックカーのお祭りを満喫していたコッパディ東京。2023年の勤労感謝の日も、カレンダーにチェックしておいた方がいいだろう。

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