サイトアイコン AUTO MESSE WEB(オートメッセウェブ)

日産「スカイラインGT-R」のチューニングは、ハイパワーから長く乗れる仕様へと様変わり。最新トレンドをお教えします

ライトチューン志向へとオーナーの考え方が変わってきている

 2022年10月30日に富士スピードウェイでR’s Meeting2022が開催された。会場ではさまざまなパーツメーカーやショップが魅力的なデモカーやGT-Rに関するアイテムを多数出展。そこでAMW編集部が気になったGT-Rのチューニングやメンテナンスを紹介していきたい。

小倉クラッチ(ORC)

 クルマ好きにとっては強化クラッチのイメージが根強いORC。イベント当日は第2世代GT-Rを中心とした、RBエンジン搭載車向けのクラッチを展示。また、イベントならではのポイントとして、イベント限定特価のクラッチも販売されていた。

 ORCが感じているGT-Rユーザーのクラッチのトレンドとしては、ハイパワーに対応できる強化品を求めていた昔に比べると、扱いやすいクラッチを求める声が増えているとのこと。これはGT-Rチューニングのトレンドが大きく影響しているとORCは考えているそうだ。

 ハードチューンから大切に維持していけるよう、ライトチューン志向へとオーナーの考え方が変わってきていると同時に、オーナーの年齢層が上がったこともあり、乗りやすいクラッチが求められているそうだ。

 そんなトレンドの移り変わりの中、ORCのラインアップで第2世代GT-Rユーザーからもっとも多く選ばれているのが、メタルツインプレートでSE機構が搭載されているモデル。SE機構はメタルクラッチの高トルク&ハイパワーへの対応はそのままに、半クラッチ時の扱いやすさを実現する。

 1ピース構成の通常のメタルクラッチと違い、クッショニング機構を用いた3ピース構成にすることにより、扱いやすさを実現している。ライトチューンとは言え、500psは当たり前なGT-Rにとって最適なクラッチと言えるだろう。

OS技研

 無いものは造るの精神でものづくりを極め、自社開発のエンジンや強化駆動系パーツが有名なOS技研。今回のR‘sMeetingでは第2世代GT-R向けの開発中パーツ「EPC」を披露した。

 EPCは第2世代GT-Rのメカニズム的特徴のひとつである、「アテーサE-TS」のスイッチを圧力式から電子式に変えるシステム。チューニングショップ「Autobahn」と共同開発しているという。アテーサE-TSはR32を中心に経年劣化から油圧スイッチが壊れてしまう事例が近年増えており、壊れてしまった場合アテーサユニット丸ごと交換となるため、約34万円が必要となってしまう。しかし、このEPCは約15万円と半額程度に抑えられているのは魅力的だ。

 また、このEPCはアテーサE-TSユニットの保守パーツとしてだけではなく、好みの圧力に調整して装着することも可能。フロント駆動の効きを強くしたり弱くしたりといった、セッティングパーツとしての活用も可能となる予定だ(ただし設定は装着時に固定)。

フォルテック

 チューニングやモータースポーツなど、過酷な現場に対応できるオイルを開発しているフォルテック。イベント当日はフォルテック流の考えから提案するGT-R向けオイルと、そのオイル開発に使用されたR35を展示していた。

 今回展示されていたオイルに限らず、フォルテックのオイルを使用するユーザーから多く寄せられるのが「クーリング時の油温の下がりが早い」との声。それはフォルテックがオイルの流動性を大切にし、オイルによる熱交換に繋がっているからだ。

 それが結果的にパワーやフリクションに繋がり、いい結果(タイム)に表れるとのこと。今回新たに開発したオイルは20Lでの販売で、販売開始は2023年1月を予定している。

 展示されていたR35はタービン交換などハードな仕様ではなく、ブーストアップを中心とした比較的ライトな仕様。テストはセントラルサーキットや鈴鹿サーキットなどで行われており、このようなテスト環境からもフォルテックが実戦派であることが伝わってくる。

ハイパワーから快適に長く乗れる傾向に

 駆動系やオイルなどはGT-Rに限らず、愛車を長く快調に乗っていくならば大切なポイント。ほかのパーツもそうだが、今回紹介した駆動系やオイル関係でもハイパワーよりもライトチューンで快適に長く乗れる傾向を狙ったパーツが増えてきていると感じた。

 純正部品の高騰などもあるかもしれないが、GT-Rに対して各パーツメーカーはノウハウが豊富。今後はアフターパーツで補修+チューニングといったユーザーお助けパーツが増えていくかもしれない。

モバイルバージョンを終了