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ポルシェ「タイカン」で1000kmのラリーを走破! 充電担当の日報でわかったリアルな航続距離とは

ラリー運営スタッフの下調べ&タイカン充電担当者の日々の尽力によって電欠を回避することが可能となった

1日180km以上走るクラシックカーラリーの先導役として

 ポルシェ初の4ドア4シーターピュアEVスポーツサルーンとして2019年に発表された「タイカン」。2015年に発表されたコンセプトカー「ミッションE」を、市販車として限りなく再現したエクステリアデザインを採用している。これは911やパナメーラなどとは異なる新たなポルシェの顔だ。インテリアの意匠は初代911をモチーフとしたものでクラシカルだが、最新のデバイスによって現代的な解釈を加味している。

 ポルシェならではの妥協なきスペック、911に近いシートポジション、安価なベーシックグレードでも5.4秒という0-100km/h加速に230km/hというトップスピード(最上位モデルは260km/h)、航続距離が最長492kmという点がアピールポイントだ。

 ここ最近、街中で見かける機会が増えたが、先日タイカンの走りを4日間にわたって間近で拝見することができた。2022年11月24日~27日の日程で開催された「クラシックジャパンラリー2022 門司」の先導車として活躍したのだ。今回投入されたのは、ベーシックグレードの後輪駆動仕様で、結論を先に記してしまうと、連日の一般道で長距離(山坂道を含む4日間、計1000km)を走ることになったが、充電担当の努力の甲斐もあって、先導車としての役割を全うした。

電欠を回避するには入念な下調べが必要

 ただ、日本はまだまだ充電スポットが少ないので、事前に大容量バッテリーを短時間で満充電にできる施設を調べておく必要がある。「クラシックジャパンラリー2022 門司」は、都内よりもEV充電設備が明らかに少ない九州が舞台だったので、運営スタッフの下調べ&タイカン充電担当者の日々の尽力によって電欠を回避することができたと言っていいだろう。

 タイカン充電担当者によると、今回使用した充電器はチャデモ(CHAdeMO)と呼ばれている急速充電と200Vの普通充電の2種類。急速充電は一度に30分しか充電できないので、満充電までは3~4セット充電する必要があった。

 充電方法は、充電カード(e-Mobility Power)を機械にかざして決済したとのことで、まずタイカンにケーブルを挿し、カードをかざして充電スタートのスイッチを押す。これだけで充電は開始される。充電器によって異なるが、急速充電器はケーブルの長さが意外に短く、タイカンの置き方を工夫しなければならなかったという。

 ラリーの前日にあたる2022年11月23日から最終日となる27日まで、タイカン充電担当に“日報”を記してもらった。そのリアルなレポートをお届けしよう。

コーナーも直線も異次元の安心感があった

【ラリー前日:2022年11月23日】

 ラリーの受付場所である旧大連航路上屋でタイカンを預かり、ビジネスホテルの横にあるコンビニエンスストアのチャデモで2セット充電し、バッテリー残量が約80%まで回復。残りはビジネスホテルの200Vの普通充電を使用し、翌朝まで充電して100%にすることができた。

【Day1:2022年11月24日/走行距離186.2km】

 門司港駅を100%でスタート。この日のゴール地点(宿泊先)である別府温泉到着時のバッテリー残量は約40%(走行可能距離135km)だった。ゴール地点から3.4kmほど移動し、三菱自動車販売 別府店と日産プリンス大分販売 別府東店で1セットずつ急速充電。

 三菱は30kW 最大75Aだったが、日産は50kW 最大125Aだったので、やはり日産で充電したほうがアンペアが高いこともあり、早く充電できるように感じた。急速充電器で2セット充電し、約80%になったところでふたたびゴール地点へ戻り 200Vの充電器に接続し、100%を目指して朝まで充電した。

【Day2:2022年11月25日/走行距離233.8km】

 別府温泉を100%でスタート。ゴールの長崎県雲仙温泉到着時は17%(走行可能距離約40km)だった。雲仙温泉には充電スポットがないので、タイカンを30分ほど走らせて島原市まで下り、急速充電スポットまで移動。島原市内にある長崎日産自動車 島原営業所にて急速充電を3セット行い、100%まで充電。

 島原から雲仙温泉へ向かう30分の移動はすべて山道の上り坂なので、20km/h以下の徐行運転で節電しながら戻ることにした。平日深夜の峠道なのでほかのクルマと一台もすれ違うことなく無事に雲仙温泉に到着。節電運転の甲斐もあり、90%を確保したまま帰還することができた。

【Day3:2022年11月26日/走行距離207.6km】

 雲仙温泉を90%でスタート。Day3は207.6kmの長距離なので、133.9km地点にあるランチ会場のホテルにて充電を試みたが、形式が異なるトヨタウォレットでの決済だったので断念。この時点で45%以上残していたので、このままゴールを目指すことにした。ゴール地点の嬉野温泉に到着した時点でのバッテリー残量は25%だった。

 この日の充電は宿泊先から12.8km離れた鹿島市内の佐賀日産自動車 鹿島店の急速充電器で2セット行い、約65%まで回復。残りは宿泊先にある200Vの設備で朝まで充電し、100%を目指した。

【Day4:2022年11月27日/走行距離264.6km】

 翌朝、嬉野温泉の宿泊先を85%でスタート。200Vの充電器では満充電にできず、一晩=7時間ほどで20%しか充電できなかった。おそらく20Aに満たない設備での充電だったため、伸びなかったのではないかと思っている。最終日は257.1kmも走らなければならず、85%の充電では不安が大きいスタートとなった。しかし、ゴール地点の門司港駅に到着したタイカンのバッテリー残量を確認したら約20%ほど残っていた。

 長距離移動のため、電欠が懸念されたが、タイカンはなんとかクリア。道中のチェックポイントでは、クラシックカーに引けを取らない存在感もアピールしていた。参加していたクラシックカーオーナーも「やるじゃん、EV」と思ったに違いない。

 今回、タイカンの充電はロータスのオーナーでもあるスタッフが担当した。その“日報”の最後の締めくくりには、次のように記されていた。

「夜間、充電へ向かう道中でタイカンの実力を試してみたら、コーナーも直線も異次元の安心感があり、ポルシェであることを存分に体感することができました」

 生粋のクルマ好きが気になってしまうタイカンは、ドライビングを楽しむクルマとしては超アリ。あと問題は充電のインフラ整備のみである。

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