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【特別インタビュー】「ASEA基準」をクリアしたプレミアムパーツは安心! 柳田春人事業部長が語る「自動車業界全体が盛り上がる未来図」とは

ASEA事業部長の柳田春人氏にお話を伺った

ASEA基準は「登録制度」と「認定制度」のふたつから

 前回はASEA基準とはどのようなものなのかを説明させて頂いた。今回はまず、「登録制度」と「認定制度」の違いについて、まず解説していこう。

「登録制度」というのは、そのアイテムが法令をクリアしていることを前提とし、自社で定める基準や規格・品質を満たしているものとして、各ブランドがASEAに申請をし、仕様等の確認を経て登録される制度のこと。

 その登録基準の条件は、大きくわけて以下の3つとなっている。

(1)法令遵守とユーザーの安全確保がなされているもの
(2)ボルトオンで取り付け、交換が可能なもの
(3)保安基準に適合していること。また車検の際に必要な書類が添付されていること

 その上でそれぞれのパーツごとに、材質なども記された形状図や、純正パーツとの仕様・寸法比較表、製品ごとに定められたJIS・JASOなどの日本および海外の基準認証の提出が求められている。

 これらの審査を経てASEAに登録されたパーツには「ASEA基準登録証」というシールが貼付(※注)されている。つまり、このシールが貼られているアイテムは、ASEAの審査を受けた安心できるものということになるわけだ。

(※注)シールの貼付以外に保証書や取説、パッケージ等に印刷されている場合もあり

さらに厳しい試験と評価

 一方、「認定制度」というのは、ASEAが定めている、さらに厳しい試験や評価を義務付けられた「認定基準」を満たしていることが条件となる制度のこと。クリアしたアイテムを認定する制度のこと。サスペンション系でいうと、車高調整式やスタンダード形状のショックアブソーバーでは、ブラケット部に対するさまざまな強度試験や耐腐食性試験、スプリングもさまざまな強度試験や耐腐食性の試験をおこない、基準をクリアしていなければならない。

 そのほか、ブレーキパッドは性能試験や、有害ではない材質であることの確認、ブレーキローターは硬度やパーツの加工精度・強度等の試験、キャリパーはオイル漏れや高温作動耐久性などの試験をおこなっている。シートは衝撃耐久性、ステアリングは強度耐久性や溶接部強度、グリップ部のサーマルショック(温度変化)試験のほか、ホーン接点の耐久性試験もおこなっている。また、ステアリングボスは強度耐久性やボルト締め付け耐久性の試験が行われるといった具合だ。

 これらの審査基準を定め、試験を管理しているのが、ASEA基準委員会である。

さらにジャンルを広げていくASEA基準

 このように、品質認定を受けるのは厳しい試験と評価をパスしなければならないのだが、「登録証シール」と「認定証シール」が製品本体や外箱、取扱説明書などに貼付(※注)されているアイテムは、ユーザーが安心して愛車に使用しても大丈夫であることの証明でもある。ASEA事業部長の柳田春人氏に、今後、対象アイテムは増えていくのかを伺ってみた。

「ASEA基準の対象アイテムは、会員社の全アイテムをカバーできるように、順次拡大を図っています。この先、EVが増えていくことも念頭に、内燃機関だけではなくモーターに対するアフターパーツ、制御パーツの登場も考えられますので、基準作りも含めてまだまだやっていくことは多いと考えています」

(※注)シールの貼付以外に保証書や取説、パッケージ等に印刷されている場合もあり

「NAPACは自動車に係わる企業であれば、参加していただける団体です。ASEA事業部は、現状ではスポーツパーツやアフターパーツを開発している会社を中心に71社が正会員となっていますが、アフターマーケットの商品は、スポーツパーツだけではありません。たとえばワイパーやフロアマットなどもそうです。将来的には、すべてのアフターパーツに対してASEA基準を設けていくのと同時に、NAPAC会員企業を増やしていきたいと考えています」

モータースポーツにおけるASEAの活動

 この基準制度と同時に、ASEAではマーケティング委員会とモータースポーツ委員会が活動をすることで、健全なモータースポーツの発展にも寄与している。具体的にはどのような内容なのだろうか。

「モータースポーツという面では、スーパー耐久シリーズの富士24時間レースへの冠スポンサードは大きな活動であると思います。これは私が富士スピードウェイと交渉をすることではじまったものです。また、次回で36回目の開催を迎える、年2回春と秋に開催しているNAPAC走行会も、私が役員になってからはじめたものです。こういった活動を通して、アフターパーツだけではなく、自動車業界全体が盛り上がっていってほしいと思っています。

 最近では、日本国内はもとより、海外市場での国産パーツの人気が高まっています。現在のところ、海外市場への対応は会員企業がそれぞれにおこなっていますが、これもゆくゆくは、NAPACというブランドを認知していただけるような活動が必要となってくるでしょう。そのためには、まずNAPAC会員企業を増やすことが大切です。自動車のパーツをつくっている会社がすべてNAPACの会員となり、そこが製造しているパーツすべてを網羅した基準制度ができれば、日本のアフターパーツは信頼できるという認識が広がります。そのためのASEA基準登録証・ASEA基準認定証なのです。今後もこれが貼られている製品は安全・安心・信頼できるものであると認知していただけるように活動していきたいと思っています」

 現在NAPACはASEA事業部とJAWA事業部、JASMA事業部という3事業部制となっているが、NAPACであれば大丈夫という信頼度向上を目指すため、柳田春人氏は、3事業部間の連携をより深めるなどして認知活動に努めていくと語った。

 この先自動車業界は、ICEからEVへと進化をしていくことになるだろう。しかし原動機がどのようなものになっても、あるいは自動運転があたり前となっても、より走りが楽しいもの、あるいはより乗り心地がいいもの、悪路走破性が高いもの、よりスタイリングに個性があるものなど、さまざまなカスタマイズの需要は絶えることはないだろう。その時に使われるパーツは、耐久性や性能など、いまよりも高いレベルとなっていなければならないはず。NAPACの活動はそんな将来を考えてのものでもあるのだ。

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