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第21戦「タラデガ」でHREは2台体制をしくもクラッシュに巻き込まれ…ナスカートラックシリーズもあと2戦

第2ステージで、マシンにダメージを負ってしまった16号車だったが、チームの素早い作業で周回遅れにならずにそこから追い上げを開始することができたが、この日2度目の多重クラッシュに巻き込まれリタイアに

ナスカートラックシリーズも残り2戦

アメリカでもっとも人気のあるカーレースである「NASCAR(ナスカー)」。その3大カテゴリーとなる「カップ」、「Xfinity(エクスフィニティ)」、「CRAFTSMAN Truck(トラック)」のトラックシリーズへ長年挑戦をしている「HATTORI RACING ENTERPRISES(HRE)」は、ナスカー界で唯一の日本人チームオーナーである服部茂章氏が率いるチームである。2018年にはこのシリーズのタイトルを獲得するなど、チームとしての存在を高めてきた。そして、2023シーズンもこのトラックシリーズに参戦を続けている。

シーズン後半になって敷いた2台体制もうまく機能せず

全23戦で争う2023年シーズンのトラックシリーズも残り3戦となり、第21戦タラデガを迎えた。アラバマ州にあるタラデガ・スーパースピードウェイで開催される「Love’s RV Stop 250(100周/250マイル)」である。

このトラックは1周2.66マイル(4.28km)のトライ・オーバルとなっており、そのバンク角33度はナスカー開催サーキットで最も深いバンクとなる。レース中はブレーキをほぼ使わない超接近戦で車両が連なる姿形からドラフティング・トレインと呼ばれる状況が続く、まさにドラフティング合戦が繰り広げられるコースである。

今回もHREは2台体制でこれに臨むこととなった。チーム在籍2年目となる若手ドライバー、テイラー・アンクラム選手が#16 LiUNA! TOYOTA TUNDRA。そして、#61 TOYOTA TSUSHO TOYOTA TUNDRAに、シーズン後半からHREチームに合流しHREから4戦目となるジェイク・ドリュー選手が乗り込む。

このタラデガ戦は事前の練習走行ナシ、走り出しが予選セッションというレーススケジュールとなっていた。アメリカ東部時間9月30日(土)午前8時30分から予選がスタートし、午後1時にはレースがスタートする。ちなみに決勝レースは3ステージ制を取っており、第1ステージが20周、第2ステージが40周でチェッカーが出され、全100周のレースとなる。

多重クラッシュに巻き込まれリタイアへ

ドリュー選手にとって初挑戦となるタラデガでの最初の走行からその速さを見せ、上位10台が進む予選ラウンド2にコマを進めることができた。ラウンド2では若干不利な状況の先頭からのタイムアタックで5列目アウト側の10番グリッドを獲得した。一方のアンクラム選手は、決勝に向けてのセッティングでこれに臨んだが、今一つスピードが伸びず、後方の22番手、11列目アウト側からスタートを切ることとなった。

タラデガのレースらしく、この日の決勝レースもスタート直後から各マシンは2ワイドから3ワイド、そして時には4ワイドになりながらレースは進行していく。61号車は序盤からトップ10圏内で走行を重ねたが第1ステージ終盤で他車のスピンがあり、その混乱で22位まで順位を落としステージチェッカーを受けた。

第2ステージでは、何度か出されたイエローコーションをうまく活用してポジションアップし、トップ10まで返り咲いたものの、やはりステージ終了間際で順位を落とすこととなり、25位で第2ステージを終えた。

しかし迎えた最終ステージでは、3番手までポジションをアップ。このポジションを維持しながら走行を続けた61号車だったが、残り20周を切りレースは荒れた展開となっていく。イエローコーションが連発されるだけでなく、2度も赤旗中断が出されるようになり、この状況下で、突然61号車のリアスポイラーを留めているステーが壊れるというアクシデントに見舞われてしまう。

このスポイラーブレースを修理するために残り15周というところで、61号車はピットインを余儀なくされる。トップと同一周回最後尾の27番手まで順位を落としたものの、その後毎周順位を上げてトップを猛追するが、残り8周で多重クラッシュに巻き込まれ、フロントエンドに大きなダメージを負ってしまう。チームは何とかマシンを走れる状態にまで補修し、61号車は20位でレースを終えた。

一方のアンクラム選手の16号車は第1ステージをドリュー選手の前の21位でフィニッシュ。続く第2ステージ終盤に多重クラッシュに巻き込まれ修理のためにピットインし、ステージを終えた。続く最終ステージでも51周目にまたしてもバックストレッチでの多重クラッシュに巻き込まれてしまい、マシンはダメージが非常に大きく修復が叶わずここでリタイアとなってしまった。

このタラデガ戦で勝ったのは、2018年にHREから参戦しシリーズチャンピオンを獲得したブレット・モフィット選手であった。今季のプレイオフレース全8戦の中で、プレイオフに進んでいないドライバーが勝利したのはこのレースが初めてであり、プレイオフに進出しているドライバーのうち、トップ10に入っていたのはわずか3名という厳しいレースであった。

NASCARクラフトマン・トラック・シリーズ、次戦は2023年10月21日(土)に、フロリダ州にあるホームステッド・マイアミ・スピードウェイで開催される。その「Baptist Health 200(134周/201マイル)」レースでの結果を踏まえ、プレイオフ・ランキング上位4名のドライバーが11月3日(金)のフェニックスでのシーズン最終戦「CRAFTSMAN 150(150周/150マイル)」を戦い、チャンピオンが決定することになる。

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