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地面に刺さる巨大な「2本の矢」はなぜ作られた? 忘れ去られたウィノナとグランドキャニオンで賑わうウィリアムズへ【ルート66旅_38】

ルート66の有名なアイコン「ツインアローズ・トレーディングポスト」

広大なアメリカを東西2347マイル(3755km)にわたって結ぶ旧国道「ルート66」をこれまで5回往復した経験をもつ筆者が、ルート66の魅力を紹介しながらバーチャル・トリップへご案内。イリノイ州シカゴから西に向かい、見どころの多いアリゾナ州も中間地点を抜けました。今回はグランドキャニオンに向かう道すがらの見どころスポットたちを紹介していきます。

廃墟と化した今も有志の手で整備され続けている

かつて大勢の旅人で賑わった「ツーガンズ」を後にして、再びルート66に重ねて作られたフリーウェイを走る。西へ30kmほど進んだ左手に出現するのは、「ツインアローズ・トレーディングポスト」だ。

1940年代の後半に「キャニオン・パドレ・トレーディングポスト」という名称で設立され、後にツーガンズの繁栄ぶりにあやかるべく似た名称のツインアローズに改名された。ガスステーションの他にカフェもあり一時は大いに繁盛したが、ルート66の廃線にともない訪れる人が激減し、オーナーも次々に交代。細々と続けたビジネスも1998年で終了し、廃墟と化したまま現在に至っている。

ルート66の有名なアイコンとしてさまざまな写真集に登場する2本の矢は、1950年代にさらなる集客を狙い電話用の柱を利用して作られたという。廃業後も有志の手で2本の矢は整備され続け、たまに羽の部分が脱落していたりはするが、今もここを訪れるルート66ファンは多い。

ヒット曲のおかげで忘れ去られずにすんだ町、ウィノナ

ツインアローズから西へ15kmほど進むと、ウィノナという小さな町にたどり着く。といっても行政区分としての町だったのは1950年代までで、現在はフラッグスタッフ郊外と言ったほうがわかりやすい。ルート66の旅人じゃなければ立ち寄る理由すらないと思われるが、ボビー・トゥループのヒット曲『ルート66』にウィノナの名が登場する。

歌詞で沿線の町を東から順番に羅列するパートがあって、そこで「Don’t forget Winona」と歌われるのだ。ほかに挙げられる町はセントルイスやオクラホマシティ、フラッグスタッフにバーストーなどそれなりの規模で、ウィノナだけがどうも的外れな気がしてならない。何かしらの思い入れがあったのか、単に語呂がよかったのだろうか。いずれにせよ彼がいなければウィノナは、歌詞のとおり忘れられていたと思われる。

さて、そのウィノナだが見どころといえるのは古い鉄橋ただひとつ。もっとも今はクルマで通行することができず、歩いて渡ったり撮影くらいしかできない。

グランドキャニオンのお膝元でにぎわうウィリアムズ

続いてアリゾナ州の北部でもっとも大きな町、フラッグスタッフを通過しウィリアムズを目指す。標高2000m以上に位置しており人口は約3000、決して大規模ではないがとにかく活気のある町。その理由は少し北にある世界的な観光地、グランドキャニオン国立公園の存在だ。年間で約450万もの観光客が訪れるのに対し宿が少なく、直前の予約どころか数カ月前でも難しいといわれている。

そこでクルマで1時間ほどのウィリアムズが観光の拠点として重宝されるようになり、多くの宿やレストランがオープンしグランドキャニオン行きの鉄道まで建設された。さらにルート66がウィリアムズを通っていることもあり、季節を問わず世界中からの観光客で賑わっている印象だ。

私のお気に入りはルート66沿いにある「レッド・レイヴン」という名のレストランで、ちょっと値は張るが料理だけじゃなくスタッフのサービスを含め本当に上質だと思う。とくにグランドキャニオンで早朝からトレッキングし、疲れ果てた夜に食べたリブアイステーキは最高だった。

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次回はまたまたルート66を外れて北へ向かってみよう。TVや雑誌などで見たことがある人も多く風景もイメージできるとはいえ、ここまで来てグランドキャニオンに行かないのはもったいない!

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