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参加型レースの最高峰!スーパー耐久のマシンと市販車の違い検証してみました

セッション1と2で思うようにタイムが出ずに苦戦

耐久レースは「皆で速く安全に」が重要

2023年に「ロードスターカップ」で公式レースデビューを果たした20代自動車ジャーナリストの筆者。2025年5月30日~6月1日にかけて富士スピードウェイで開催されるENEOSスーパー耐久シリーズ2025Empowered by BRIDGESTONE 第3戦 富士24時間レースにスポットで参戦することになりました。これに先立ち、5月8日に開催された公式テストに参加。初スーパー耐久(S耐)マシンドライブの様子をレポートします。

参戦するS耐とチーム「OVER DRIVE」とは

スーパー耐久レース第3戦でドライブするのは、ST-5Rクラスに参戦しているチームOVER DRIVEの65号車odula TONE 制動屋ROADSTERだ。チームはマツダ車を得意とする大阪のチューニングショップ「OVER DRIVE」が母体。2024年のスーパー耐久レース富士24時間ではクラス2位を獲得。直近となる2025年の第2戦鈴鹿でも3位表彰台に輝いていてチームの戦闘力は高い。

スーパー耐久レースのマシンは基本的に市販車をベースとしている。プロドライバーやアマチュアドライバーなど、さまざまなドライバーが参戦するため「参加型レースの最高峰」ともいわれている。排気量や駆動方式でクラス分けがされていて、筆者が今回参戦するST-5Rクラスは1.5L以下の後輪駆動車で争われるが、実質的にはマツダ「ロードスター」オンリーとなっている。

本戦となる24時間レースでは、レギュラードライバーの外園選手、伊藤選手、丹羽選手に加え、平田選手と宮崎選手そして筆者の6名で参戦する。ドライバーが6名と聞くと多いと感じるかもしれないが、単純に均等に時間を割ると1人4時間ドライブすることとなる。こう考えると24時間レースの長さを感じる。

なんとか及第点タイムを記録

公式テストでは60分のセッションが3回、そして110分の夜間セッションがある。しかし、6名で1台のマシンをシェアするため、1人あたりの走行時間は短い。今回はレギュラードライバーの皆さんが新人組に走行時間を多めに割いてくれた。この配慮には感謝しかない。

筆者はセッション1で約10分、セッション2で約15分の走行となったが、この2回の走行で2分12秒台とタイムが伸び悩んでいた。単純にタイムを短縮しようと思えばそこまで難しいことではない。今回は各種をセーブした「耐久走り」でのタイム短縮が課題なのだ(耐久走りの詳細はチーム戦略なので秘密)。

そこで車載やデータロガーをレギュラードライバーの皆さんと比較。コカ・コーラコーナーから100Rの高速コーナー区間でのボトムスピードが遅いことが分かった。ここを重点的に意識してセッション3を走行した結果、2分9秒前半を連続周回で記録しなんとか“及第点”でセッション3を終えられた。

パーティレース仕様とS耐マシンの違いは?

普段ナンバー付き車両によるロードスターパーティレースにマイカーで参戦している筆者。初めてドライブしたS耐ロードスターはマイカーと比べて、コーナリングスピードとコーナリング時のタイヤの使い方が違うと感じた。

S耐マシンはサスペンションが硬く、リアウイングなどにはエアロパーツが装着され、スリックタイヤなのでグリップ力は高い。コーナリングスピードが高いのは当たり前なのだ。ただ、パーティレース仕様のロードスターに慣れてしまったせいか、最初は高速コーナーを高いスピードでコーナリングすることができなかった。これがセッション1と2でタイムが伸び悩んだ大きな理由だ。

そしてパーティレース仕様ではブレーキをクリッピングポイントまでわずかにフロント荷重を残しながらコーナーに進入する。一方でS耐マシンのスリックタイヤは早めにブレーキを完全にリリースして、ある程度空走で転がした方がクルマの向きを変えやすく、コーナーが曲がりやすいのを実感した。もちろん、細かくはほかにもあるが、走らせ方として大きな違いはこの2点であった。なお、スリックタイヤに関しては、ウォームアップや滑り出しのピーキーさなどの扱いの難しさは感じられなかった。

本戦は6名のドライバーでマシンというバトンを繋ぐ。耐久レースはよりチームスポーツ色の強いモータースポーツなのだ。アベレージを高くしながらも安全にクルマを運ぶことが求められる。「自分が速さを見せる」ことではなく「皆で速く安全に」が重要となる。今回のテストでは、タイム向上ももちろんだが、そういった耐久レースに挑むにあたって、あるべき姿もレギュラードライバーの皆さんから学ばせていただいた。

本戦では耐久レースドライバーとして良い仕事をして、24時間後にチーム皆で笑えるようにしたいと思う。

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