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1/64スケールのミニカー市場がおもしろい!着せ替え可能から高級モデルまで各社の独自性が光る

メイクアップのシンガー911。本革風台座はそのまま飾っておきたくなる

1/64スケールのモデルが確実に日本の市場ではシェアを拡大

2025年で63回目を数える「静岡ホビーショー」が、模型の世界首都と称される静岡県静岡市のツインメッセで開催されました。自動車メディア業界のなかでも5本の指に入るほどホビー好きとして知られるモータージャーナリストの中村孝仁氏がレポートをお届けします。

価格帯はピンからキリまでの1/64スケール

今回のショーでは、各ブースの代表者の方からミニカーの最近の傾向や展開についていろいろとお話を伺った。面白いと思えたのはショーを毎年取材して感じたこちらの感想と、一方で実際に出展されているショップやメーカーの人とはその肌感がまるで違うということであった。

また、各出展者の方もその立場から独自の見解を持っていて、出展する側にも独自の戦略や考えがあり、ひとつの方向にまとまっているわけではないことを痛感した。

個人的な印象としては、1/64スケールのモデルが確実に日本の市場ではシェアを拡大していることだ。このサイズはトミカに代表される少しオモチャチックな表現のモデルが主流だったのに対し、1/43スケールと同じようにドアが開けられたり、あるいはルーフが取れたり、さらには着せ替えができるモデルまで登場して、市場の幅が広がっている。それに伴って、価格も下は2000円前後から上は1万円超えと、ひと口に1/64スケールと言ってもじつに範囲が広くなっている。

デカールを貼ってからクリア塗装

つねに究極のミニカーを作るメイクアップの代表取締役 植本秀行氏にお話を伺った。メイクアップは南青山に店舗を構え、ミニカー市場の頂点に君臨するショップでありブランド。最高のものを作るという信念を貫き通している。

「世界広しといえども、独自の生産工場を持っているのは私たちだけです」

植本社長の話を聞いて驚いた。ほかのブランドはすべて企画を自社で行うが、実際の生産はOEMで、あちら任せになる。同社があえて社員180人を抱える工場を自前で作った背景には、自分たちの思いどおりのモデルを作るためと、高い理想を持っているからだ。

クオリティの部分で話を伺ったが、メイクアップの場合は、デカールを貼ってからきちんとクリア塗装を施している。しかし、ほかブランドの場合はその逆となる。つまりクリアを吹いたのちにデカールを貼るそうだ。このため、デカールの上は艶がなく、場合によっては剥げる危険性もある。

また、サイズが1/64ともなると窓枠などがクルマとサイズ感が合わないことが多く、それゆえHOサイズ(3.5mmスケール)のモデルはオモチャっぽく見えてしまう。メイクアップではここでも拘って、きわめて細いエッチングパーツで仕上げているので、高い実車感を維持している。

メイクアップはまもなく50周年!

同社の創業は1978年、つまり間もなく50周年を迎えるが、クルマだけでなくそのディスプレイ台も革の風合いを出したものが採用されている。硬質プラスチックの上に置かれたモデルとは明確に一線を画している。もちろん価格は高い。

かつて、メイクアップではより安い商品をラインナップしたこともあるそうだが、一向に売れなかった。そもそもメイクアップというブランドが、高級品と言う認知を受けているためなのだろうが、その分メイクアップの商品なら大丈夫と言う安心感をユーザーに与えているのだと思う。Titan64と名付けられた1/64スケールの商品には、まさにそうした究極の拘りが詰まっている。

1/64スケールながらルーフの着せ替えもできる!

冒頭、1/64の市場が拡大して、モノによってはドアやボンネットが開閉できるものがあると話をしたが、フリースタイルが扱っているMotorherixブランドがその典型。撮影させていただいたのはホンダ「S2000」だが、ルーフやボンネットも脱着可能。そのルーフはハードトップとソフトトップが用意されていて着せ替えができる。

エンジンルームも細かく再現されていて、これで5000円なら気に留めていなかった車種でも思わず手を出してしまいそうである。ただ、これは限定50台という希少なものだった。

1/64が市場に多様性をもたらしていることはよくわかった。そしてここでも、金型を必要とするダイキャストモデルはその強みを生かして開閉式のモデルを製作。一方のレジンモデルでは小ロットゆえの高級感を出してくるなど、各ショップやメーカーがその独自性を活かした企画を押し出してきていることがよく分かった。

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