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BMWR53型「ミニクーパーS」が約93万円で落札!人気のカスタマイズアイテム満載が価格に影響!?

4725英ポンド(邦貨換算約93万円)で落札されたBMW「ミニクーパーS」(C)iconicauctioneers

そろそろコレクターズアイテムのステージへ?初代BMWミニ・クーパーS

日本国内でもCSディスカバリーチャンネル「名車再生!クラシックカー・ディーラーズ」の名でカーマニアから高い人気を博している英国のレストア番組「Wheeler Dealers」。2025年6月1日に、同番組は英国の新興オークションカンパニー「アイコニック・オークショネア」社をパートナーとして、これまで番組内やスピンオフ版「名車再生!ドリームカー大作戦」などで取り扱ったクルマたちの同型車を中心に販売するオークション「The Classic Sale at Wheeler Dealer Live 2025」を開催しました。今回はそのなかから「名車再生!クラシックカー・ディーラーズ」シーズン14(2017-18年)で、番組2代目のメカニック「アント」がレストアしたのと同じBMW「MINIクーパーS」を紹介します。

BMWの別ブランドとして誕生した新生MINI

独BMWの庇護のもと、かつての「モーリス」カウリー工場で生産される現代版MINI(ミニ)は、実質的な初代にあたるR50系が2001年5月にデビューして以来、間もなく四半世紀を迎えようとしている。

ボディタイプは3ドアハッチバックとコンバーチブルで、パワーユニットは、BMWとクライスラーとの合弁会社でブラジルに拠点を置く「トライテック」社が製造を担当した1.6Lの直列4気筒SOHCエンジンを搭載。グレードは基本となる「ONE」に、エンジン制御プログラムの変更により出力を高めた「クーパー」。そして、ターボではなく機械式スーパーチャージャーを装着した「クーパーS(R53)」の3タイプが設定されていた。

このR50系と2代目R56系は、それ以降のMINIよりもコンパクトかつ快活で、ユーズドカーとなった現在では、いわゆる「クラシック・ミニ」のファンにとっても好ましいキャラクターと認知されている。英国では、エンスージアストの趣味のためのクルマとしても認められ始めているようだ。

R56時代のコンバーチブル(R57)を数年間にわたって愛用し、現代版MINIには少なからず好感を抱いている筆者は寡聞にして知らなかったのだが、英本国ではR50系およびR56系MINIの中古車にレストアやモディファイを施して販売する専門業者も勃興してきている。

なかでも創業から120年を超える歴史を持ち、長年ディーラーおよびレーシングガレージとしてBMCミニやクラシック・ジャガーなどに携わってきた「HRRCC(Howard Road & Race Car Company)」は、近年になってR50系およびR56系に自社開発のパーツをふんだんに盛り込んだレストアを施しているほか、それらのパーツをアフターマーケットに向けても販売。英国内ではMINIに特化した新たなブランドとして、急速に成長を遂げているとのことなのだ。

走行距離17万km超ではあるがHRRCCのアイテムと整備を施す

今回、アイコニック「The Classic Sale at Wheeler Dealer Live 2025」オークションに出品されたR53系MINIクーパーSは、「HRRCC」から提供されるオリジナル仕様の個体である。

「チリレッド(Chilli Red)」のボディに「アスペンホワイト(Aspen White)」のルーフがアクセントとなる2トーンカラーのエクステリアは、往年のラリー競技で大活躍したBMCワークスカーをモチーフとした仕立て。豪華な本革レザー/ファブリックのコンビインテリアと組み合わされ、同じく工場出荷時と同じブラッシュドアロイ(アルミ磨き出し風)のダッシュボードとフェイシア、そして純正オプションの「クロームパック」によって、さらにフレッシュでゴージャスな印象が引き立てられている。

また、新品の17インチのクラシックスタイル8本スポークアロイホイールを装備するほか、フロントウインドスクリーンのヒーター、雨滴センサーつきオートワイパー、エアコンなど、新車当時の純正オプションも追加装備されているとのことであった。

オークションカタログ作成時点でオドメーターに刻まれていたマイレージは、10万6577マイル(約17万500km)。R53系クーパーSでは、一定の周期で交換ないしはオーバーホールが必須とされるスーパーチャージャーは、6万マイル(約9万6000km)を超えた際に新品に代えられたことが記録されている。

今回のオークション販売については、HRRCCのワークショップで一連の作業が完了したのち直接販売されることになっている。落札者は完全にリフレッシュされ、フルサービス済みの状態で、そのままお楽しみいただけるとの触れ込みであった。

リザーヴなしで出品!現実的な推定落札価格内におさまり落札

アイコニック・オークショネア社では自社の公式カタログで

「6速ギアボックスにより163bhp のパワーを発揮するこのクーパー Sは、再びその威力を発揮する準備が整っています」

とアピールしつつ4000ポンド~6000ポンド(邦貨換算約80万円〜120万円)という、かなり現実的なエスティメート(推定落札価格)を設定。さらにこの出品については、比較的安価なクルマ、あるいは相場価格の確定していないクルマでは定石となる「Offered Without Reserve(最低落札価格なし)」で行うことを決定した。

この「リザーヴ(Reserve)なし」という出品スタイルは、金額の多寡を問わず確実に落札されることから競売会場の雰囲気と購買意欲が盛り上がり、ビッド(入札)が進むこともあるのがメリット。しかしそのいっぽうで、たとえビッドが出品者の希望に達するまで伸びなくても、落札されてしまうリスクも不可避的についてくる。

ところが、迎えた6月1日の競売では順当にビッド(入札)が進んだようで、締め切りまでに4725英ポンド、現在のレートで日本円に換算すると約93万円まで上昇したところで競売人の掌中の小槌が鳴らされることになった。

このハンマープライス自体は、日本国内でコンディションの良いR53系クーパーSのユーズドカーを購入するのと大差ない、かなりリーズナブルな価格といえよう。しかし、英国内で「Prepared by HRRCC」のコンプリートカーを買うならば、もっと高価な出費が必須条件となっている。くわえて、英国内市場におけるこの時代のMINIは、すでにひと頃よりもかなり高価な相場観になっているようで、いずれはコレクターズアイテムになるという見方も、あながち間違いではないのかもしれないのである。

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