レースはもちろん新技術や新クラスなど進化し続けるスーパー耐久
カーライフエッセイスト吉田由美の「なんちゃってセレブなカーライフR」。毎日の暮らしのなかでクルマとともに過ごす時間を、少しだけセレブ風に彩ってお届けいたしますわ。今回はスーパー耐久(S耐)最終戦は、NASCARのデモランや最新テクノロジーが集結したST-Qクラスなど、見どころたっぷり。進化し続けるレースの魅力と、華やかなコンテンツの数々を満喫してまいりました。
「NASCAR」マシンが走れるST-USAクラスがS耐に新設
最近、思うことがありますわ。自動車業界も色々と「企業努力」をしていると感じておりますのよ。
自動車やバイクが趣味の主流だった時代はもはや過去のお話です。今やゲームやアウトドアなど、趣味が多様化したことで、レースもさまざまな魅力を発信し続けないと、顧客を獲得するのは難しい時代になってきたのかもしれませんわ。
そうしたなかで、「スーパー耐久」(S耐)レースも多種多様なコンテンツを用意し、自動車業界やレース業界の魅力を発信する大切な一角を担っておりますのよ。
今回のレースの目玉のひとつは、アメリカンモータースポーツの象徴とも言える「NASCAR」が日本にやってきたことですわ! しかもドライバーは、NASCARのスタードライバー、ジミー・ジョンソン選手や次世代ドライバーのジョン・ハンター選手に、日本を代表する小林可夢偉選手や大湯都史樹選手などが加わり、爆音を響かせながらデモランを披露しました。最後には富士のストレートで華麗なドーナツターンを見せ、会場は大盛り上がりでしたわ。
ちなみに今回、NASCARのマシンが走ったのは、S耐に新クラス「ST-USAクラス」が新設されたからでございますの。今回は試験的ではありますが、2台のGTマシンが初参戦いたしました。そして最終戦では、初参戦のST-USAクラスの9号車 BINGO RACING「キャラウェイ・コルベット C7 GT3-R」の武井真司/笹原右京組が総合でポールポジションを獲得し、大きな注目を集めておりましたのよ。
S耐レースは、市販車をベースにした車両で長時間戦う、日本発祥の耐久レース。プロ選手だけでなく、アマチュアドライバーもチームを組み、速さだけでなく、燃費、タイヤ戦略、チームワークまでもが勝敗を左右しますの。国内外のスーパーカーからコンパクトカーまで多種多様な車両が参加し、たくさんのクラスに分けられたマシンが同時走行するのも特徴でございますわ。
さらに近年では、メーカーも市販車の限界を探る場として参戦しており、新クラス「ST-Qクラス」では水素燃料やカーボンニュートラル燃料を使用する次世代車両の開発も進んでおりますのよ。
液体水素で走るトヨタやレース中にCO2を回収できるマツダなど新技術がいっぱい
そして今回の目玉その2。TOYOTA GAZOO Racing(TGR)がST-Qクラスに投入している水素エンジン車「GRカローラH2コンセプト」が、さらなる進化を遂げ、液体水素を燃料に使用しました。さらに京都大学と共同開発した「京大方式超伝導モーター」を採用したのですわ。モーターの小型化に加え、タンク容量は従来の1.3倍となり、航続距離は135kmで約30周走れるそうですの。
そして個人的にとくに気になったのがマツダ。「ジャパンモビリティショー2025」に展示されていた二酸化炭素回収装置を、「MAZDA SPIRIT RACING 3 Future concept」に搭載し、ST-Qクラスに参戦しました。装置には多孔質鉱物「ゼオライト」のCO2吸着剤が入っていて、4時間のレースで100gのCO2回収を想定しているそうですわ。S耐期間中は共挑ブースに実物が展示されており、今後の取り組みがとても楽しみですのよ。
そんなこんなで2025年のS耐最終戦は、お天気にも恵まれ、会場は本当に大盛況でしたわ〜。
そしてもちろん、S耐に出場するにはハードルが高いのですが、「出てみたい!」という方に朗報ですわ。 S耐のサポートレース「S耐チャレンジ」が2026年から本格始動するそうですわ。それに先立ち、今回のレースで初戦が開催され、想定を上まわる42台が参戦し、こちらも大盛り上がりでしたのよ。
進化し続けるS耐。レースそのものも楽しいけれど、それ以外の見どころも本当に盛りだくさん!
