eスポーツは、年齢を重ねても気力がある限り戦える!
レーシングドライバーであり自動車評論家でもある木下隆之氏が、いま気になる「key word」から徒然なるままに語る「Key’s note」。今回のキーワードは「eスポーツ」。今後さらに評価されそうだと思う反面、心配事もあるようです。
世界大会は特定の場所に集まり対戦
2033年の世界の「eスポーツ」の市場規模は、現在の約6倍に成長すると予想している調査会社もあるようですね。世界的に見れば日本のeスポーツ人口は少ないそうですが、それでも今後ファンは増え続け、すでにJリーグと同じくらいの規模になっているとも言われています。リアルなモータースポーツの人口をはるかに上回っていることになるのです。
市場規模の拡大に比例して、賞金総額も急増しているそうです。プレーヤーの中には億単位で稼ぐ人もいるため、eスポーツはもはや立派なプロスポーツになっています。プレイステーションの『グランツーリスモ』でも世界大会が開催されており、ゲームでありながらオンラインで世界中のプレーヤーと対戦できますが、参加者はわざわざ特定の会場に集まって対戦するのだそうです。基本はバーチャルでも、やはりリアルの興奮は欠かせないのでしょう。
サーキットレースでは避けられない深刻な事故にありません。わずかなクラッシュで数十万円から、トップカテゴリーでは数億円が修理費に飛ぶ……といった浮世離れもありません。資金的に恵まれていなくとも、世界のトッププレイヤーになれる可能性があります。
eスポーツのメリットは、SDGsの観点とも親和性があります。オンラインで世界と繋がりアバターで戦えるため、リアルスポーツのように体力や筋力に左右されません。性別や年齢、あるいは障害の有無に関係なく参加できる点も魅力です。DNA的な体格差にも影響されません。
センスだけが求められる戦いだけに問題点も
たとえば、バスケットボールをリアルにプレイするには一定の身長やジャンプ力が必要ですが、eスポーツでは体格に恵まれなくても世界に挑戦できるのです。夢が広がりますね。細身でも横綱になれそうですし、メタボな体型でも世界陸上で金メダルを獲る可能性があります。ダイバーシティが注目されている今、さらにeスポーツが評価されそうな気がしますね。
もっとも、eスポーツの才能の面では身体的な能力も重要です。幼少期からeスポーツに親しんでいるほうが有利だと言われています。その意味ではリアルスポーツと大差ないようです。そのため、最近ではドーピング問題も浮上しているようです。鋭敏な反射神経が求められるので、何らかの薬物を使って身体的な能力を向上させるプレーヤーもいると噂されています。
オンラインでの対戦では問題がなくても、会場に集まっての戦いでは緊張感も伴うでしょう。心拍数を抑える薬を常用するプレイヤーも出現するかもしれません。緊張を和らげる薬物を頼りにするプレイヤーもいるのではないかとも言われています。なかには、身代わりがいるという話もあります。
とはいえ、eスポーツは年齢や筋力に無縁で、センスだけが求められる戦いであるため、この世界を推奨する仲間も多いのです。年齢を重ねても気力がある限り戦えるというわけですね。
リアルモータースポーツからバーチャル・モータースポーツへの移行期を迎えているのかもしれません。
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