エストリル・サーキットにロータス「97T」が舞い戻る
アイルトン・セナがF1初優勝を果たした1985年ポルトガルGPから、2025年で40年の節目を迎えます。この40周年を記念し、2025年4月21日にポルトガルのエストリル・サーキットでロータス「97T」のトリビュート走行が行われました。このマシンをドライブしたのは、アイルトン・セナの甥であるブルーノ・セナです。
セナの甥・ブルーノが駆る97T
トリビュート走行でロータス「97T」のステアリングを握ったのは、アイルトン・セナの甥であるブルーノ・セナだ。このイベントは、F1設立75周年とロータスが築いた栄光の軌跡を祝う場でもある。それはアイルトン・セナのみならず、ロータスを偉大なレースチームへと押し上げたエンジニア、デザイナー、そしてすべてのドライバーたちへの賛辞でもある。
アイルトン・セナがエストリル・サーキットで見せたドライブは、ウェットコンディションにおける卓越したドライビング技術を際立たせるものであった。アイルトン・セナはほぼ全車を周回遅れにし、彼の41勝のうち記念すべき最初の1勝を手にした。アイルトン・セナ自身もこの勝利をキャリア最高のパフォーマンスであったと語り、後の1993年のドニントンでの勝利についてはこのように語っている。
「あのときはトラクションコントロールがあったからね。いい勝ち方だったけど、1985年ポルトガルGPと比べたら大したことないよ」
97Tは、前輪後方に縦型エアロデバイスを初めて搭載した革新的なマシンであり、この要素はやがて洗練されたバージボードへと進化し、現在のF1マシンにおいて不可欠な空力コンポーネントとなっている。
グッドウッドで幕を開けた記念イベント
クラシック・チーム・ロータスのマネージングディレクターであるクライヴ・チャップマン氏は、次のようにコメントしている。
「チーム・ロータスにとって、アイルトン・セナの加入は転機でした。彼の才能、技術理解力、そして情熱がチームを次のレベルへと導いてくれました。この記念日はその魔法のような時代を再び思い起こし、彼の遺産を称える機会です。ブルーノ・セナによるエステリル・サーキットでの走行は、感動的かつ歴史的な瞬間となりました。過去と現在が繋がり、アイルトン・セナのモータースポーツ界への不滅の影響が改めて証明されたのです」
エストリル・サーキットへの凱旋走行に先立ち、97Tは2025年4月12日〜13日に開催された「第82回グッドウッド・メンバーズ・ミーティング」にも登場した。ロータスは、エストリル・サーキットでのシーンを各種メディアによって発信していく予定だ。
AMWノミカタ
1985年にロータスが投入した97Tはアイルトン・セナがF1で初勝利を果たしたモデルであるが、このシーズンに97Tは3勝をあげ、ポールポジションも8回、ファステストラップも3回獲得した伝説的なレーシングカーである。ルノー製の1.5L V6ターボエンジンを搭載し、最高速度は352km/hに達したといわれている。
ロータスファンにとってもセナファンにとっても特別な1台であろう。今回、1984年から1996年までポルトガルGPで使用されたエストリル・サーキットで甥のブルーノ・セナによってこの97Tがドライブされたが、グッドウッド・メンバーズ・ミーティングでもこのマシンが披露された。ヒルクライムを駆け上がる姿はきっと多くのロータスファン、アイルトン・セナファンを喜ばせたことだろう。