当時の「グラチャン」ファンが歓喜に湧いた
1970年代から1980年代にかけて、国内トップカテゴリーのスポーツカーレースとして非常に人気の高かった「富士グランチャンピオンレース」。その現存するマシンたちによるリバイバルイベント「MINI5 GC Returns 2025」が、2025年8月9日、富士スピードウェイ(FSW)で開催されました。そのレポートをお届けします。
マシンが並ぶピット前は早朝から大盛況!
イベント当日、FSWには多くのファンが駆けつけ、シェブロン、マーチ、マナ、MCS(ムーンクラフトスペシャル)、ローラといったグランチャンマシンが並ぶピットビルBは、早朝から黒山の人だかりとなった。
1970〜1980年当時の社会問題にもなったグラチャン族が、往時の再現よろしく西ゲート前にクルマを並べ、サーキット周辺を徘徊するなど、場外には当時と同じく招かれざる存在も出現。また、有料で用意されたホスピタリティールーム260席が事前販売で早々に売り切れたことからも、グラチャンは熱心なレースファンに惜しまれながら終了したレースシリーズだったことが感じられる。
さらに、18年の歴史を彩ったマシンたちを製作した模型製作者の有志による1/43スケールモデルが展示され、イベントに華を添えた。参加したレジェンドドライバーやレジェンドメカニックが、それらを手に懐かしがる光景が見られた。
レジェンドドライバーたちが魅せる熱き走り
世代ごとに3つのジェネレーション(Gen.)でクラス分けされたマシンたち。マツダロータリー、HART 420、コスワースBDG、BMW M12、コスワースDFV、無限MF308といった各世代ごとのエンジンが咆哮を上げ、ピットは慌ただしくなった。
20分間の予選が終了すると、当時実際にGCマシンを操った長谷見昌弘、見崎清志、寺田陽次郎、桑島正美、関谷正徳、藤井修二(文中敬称略)といったレジェンドドライバーによるデモランが行われ、この日のファン待望の1シーンとなった。
伝説のエンジンが咆哮を上げる決勝レース
2座席2リッター時代をGen.1、1座席2リッター時代をGen.2、1座席3リッター時代をGen.3と3つにクラス分けした混走での決勝は、予選順位でのグリッドスタートとなった。
それぞれのマシンのオーナーは、往年のフォーミュラFL500の元ワークスドライバーや、国内外のヒストリックカーレースにも参加経験豊富なドライバーだ。
そして当時デビューウィンを飾ったウルフMCSでデモランを走行した関谷正徳、耐久レースで活躍した藤井修二のレジェンド2名を加えた12台のGCマシンによる決勝レースが始まった。
パワーに勝る3リッターDFVのローラ(Gen.3)にストレートでパスされるも、ウルフMCS(Gen.2)の関谷が1コーナーでオーバーテイクを見せるなど、見せ場満載で観客を沸かせた。
10周のレースは、ローラT87/50/MCS8 コスワースDFVを駆る小嶋禎一がトップでチェッカー。ローラT87/50/MCS9 無限MF308の星野茂、そしてウルフMCS マツダRE13B(654ccx2)が上位3台という結果となった。
この模様はJ SPORTSでの放送も予定しているということなので、当日レースを見られなかった方はぜひそちらでチェックしていただきたい。
トークショーで語られた「グラチャン」の思い出
レース終了後には、この日「MINI5 GC Returns 2025」に参加したレジェンドに加え、長谷見昌弘さん、見崎清志さん、寺田陽次郎さん、関谷正徳さん、桑島正美さん(サイン会のみ参加)、藤井修二さん、津々見友彦さん、大会実行委員長の鮒子田寛さん、レーシングカーコンストラクターとして深くGCに関わった由良拓也さんによるトークショー&サイン会が、FSWに隣接する富士モータースポーツミュージアムで行われた。
こちらも予想を遥かに上まわる来場者が、「フットワークMCS 7 ヤマハ」が展示されている2階フロアに集合。レジェンドや“違いの分かる男”(由良拓也氏)のサインを求める長い列ができ、登壇者のGCの思い出話に耳を傾けた。
鮒子田実行委員長によると、2026年は年間3戦を予定しているとのこと。今から楽しみである。
