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ボルボ「EX30」が大刷新!スポーツカーを凌駕する0-100km加速5.3秒のツインモーターAWDが新登場

EX30 Ultra Twin Motor Performance

お買い得モデルと最上級ハイパフォーマンス仕様のEX30を試乗!

ボルボ史上最小のBセグメントSUV「EX30」のMY26(2026年モデル)が登場し、ラインアップを大幅に見直しました。なによりグレードを増やしたのがトピックス。駆動モーターは、シングルモーターが2タイプ、そしてツインモーターを設定しています。グレードは全部で4タイプをラインアップし、車両本体価格は479万円〜629万円となっています。EX30のお手頃価格なシングルモーターとハイパフォーマンス仕様のツインモーターの2台を試乗できたので、それぞれのロードインプレッションをお伝えします。

2026年モデルからEX30の選択肢が一気に広がった

ボルボ「EX30」は、これまでリア駆動のシングルモーター(559万円)のみというラインアップだった。結果としてライバルと見ているMINIエースマンやTeslaモデル3&Y、日産リーフ、アウディQ2、レクサスLBXは価格レンジや装備の幅広く、そこと勝負となると難しかった。日本市場も睨んでサイズを決定したという全長×全幅×全高4235×1835×1550mmは扱いやすいのだが……。

そこでMY26では従来からのリア駆動シングルモーターはパノラマルーフをはじめ豪華装備満載の状態で579万円に(事実上およそ20万円アップ)。そこから装備を簡素化したのが539万円だ。

LFP(リン酸鉄リチウムイオンバッテリー)に変更し、ヒートポンプなども省くことでリーズナブルに抑えたリアシングルモーター仕様が479万円と買いやすくなった。

逆にフロントにもモーターを与えて4WD化したツインモーター仕様は629万円、さらにそれをベースにしたクロスカントリーモデルが649万円と上級モデルも登場させたところが面白い。ワングレードから一気に5車種展開になりリローンチといったところだろうか?

ボルボ「EX30」MY26グレード展開

  • EX30 Plus Single Motor(479万円/航続距離390km/1モーター後輪駆動:リン酸鉄リチウムイオン電池)
  • EX30 Plus Single Motor Extended Range(539万円/航続距離560km/1モーター後輪駆動:リチウムイオン電池)
  • EX30 Ultra Single Motor Extended Range(579万円/航続距離560km/1モーター後輪駆動:リチウムイオン電池)
  • EX30 Ultra Twin Motor Performance(629万円/航続距離535km/前後2モーターAWD:リチウムイオン電池
  • EX30 Cross Country Ultra Twin Motor Performance(649万円/航続距離500km/前後2モーターAWD:リチウムイオン電池)

短距離移動がメインなら「Plus Single Motor」がリーズナブルで最適

今回の目玉のひとつであるもっとも車両本体価格が安いLFPバッテリーの「EX30 Plus Single Motor」から試乗してみる。リアに搭載されるモーターは他のものと同様に200kW/343Nmが奢られるが、バッテリー変更によって0-100km加速は5.3秒から5.7秒へ、航続可能距離も560kmから390kmへとダウン。逆にバッテリー重量は390kgから410kgへと増している。

しかし、街乗りするだけではその違いを見せつけられるようなことはない。動力性能としては十分すぎるし、18インチのホイール(タイヤサイズは225/55R18)が見た目ではチト寂しいけれど、路面からの突き上げも少なくユルフワな乗り味がかつてのボルボっぽいかな、という感覚が得られる。ヒートポンプまで省いた潔さは寒冷地では充電などが辛いかもしれないが、都市部で使うなら十分という割り切りなのだろう。コレはコレで賢い選択となるのかもしれない。

ハーネス長を短縮するなどリサイクル性を考慮した設計

続いて乗ったのは「EX30 Ultra Twin Motor Performance」。2025年から導入となった「クロスカントリー」のオンロード版といった立ち位置のクルマだ。

バッテリーは69kWhのNMC(ニッケルマンガンコバルトを組み合わせた三元系リチウムイオンバッテリー)を採用。フロントモーターは115kW/200Nm。リアは他と変わらず200kW(272hp)/343Nm。結果としてシリーズ最速の0-100km/h加速3.6秒というスポーツカーも顔負けの数値を叩き出す一方で、航続可能距離はシングルモーターの560kmから535kmへとダウンする。

エクステリアは245/40R20サイズのタイヤ&ホイールを装着し安定感のあるスタイルを実現。バンパー下部のブラックの樹脂は他と変わらずなので、上級グレードなのであればもう少しデコラティブでも良かったような気もするが、これは少しでも効率良くリサイクルするためなのだとか。このほかフロントドアスピーカー廃止やパワーウインドウスイッチなどをセンターコンソールに集約して、ハーネスなどを減らす努力も行われている。これらの努力でライフサイクルアセスメントは直近のEVであるC40よりも25%も軽減しているという。

とはいえ“ガマン”はない。ダッシュボードに備えられるハーマンカードンが生み出すサウンドは充実している(リアドアにスピーカー、ラゲッジにウーファーは存在する)。グラスルーフ(EX30 Plus Single Motorは未設定。他のグレードは標準)はBセグメントとは思えぬ開放感が得られ、とくにリアシートに乗った時であっても窮屈な感覚はないところが嬉しいところ。

そして何より動力性能がハンパじゃない。スタンディングスタートの俊足ぶりはEVらしさ全開といった感じで、一瞬で制限速度の上限までワープする勢い。街乗りではちょっとアクセルが敏感すぎて扱いづらいところもある。

ドライブモードはスタンダード/レンジ/パフォーマンスの3種類を選べるが、トルク特性が穏やかなレンジモード(エアコンや走行性能を制限するエコモード)で十分だ。MY26より回生レベルが3段階選べるようになり、回生ナシも選択可能になってコントロール性が増したところもポイントのひとつ。また、細かなところでは前席シートの座面が伸ばされ、前側が盛り上がり、サポート性が充実しているところも嬉しい。

低重心レイアウトと引き締められた足まわりに四輪駆動の安定感

ワインディングロードで走ると、このクルマの凄さが際立った。パフォーマンスモードにするとフロントモーターのクラッチが繋がりっぱなしになり常時AWDになるのだが、その状態で駐車場から勢いよく飛び出せば、フロントタイヤがわずかにスリップしながら、まさに飛び出していくのである。「こりゃやり過ぎだろ」なんて思わず笑みが浮かぶほど。

足まわりはきちんと引き締められているし、フロアにバッテリーを敷き詰めている低重心レイアウトのためにコーナーのマナーはなかなか。これまたスポーツカー顔負けの走りを展開してしまうのだ。以前乗ったクロスカントリーは同じパワーユニット(PU)でありながら、車高が高く足まわりはユルい仕上げだったため、フル加速をするようなシーンではピッチ変化が大きく、PUがオーバースペックに感じてしまった。だが、今回のオンロード仕様はすべてがバランスされた感覚がある。

それにしてもこれが600万円台前半でしかもエコだと!? これまであった価値観が一気に吹っ飛びそうな仕上がりに、ただ驚くばかりだった。このようにベーシックモデルからトップモデルまで充実のバリエーション展開が行われたEX30のMY26は、それぞれにしっかりとしたキャラクターが備わっていたところが面白かった。このカテゴリーが気になっているのであれば、ショッピングリストのひとつに加えてみても良さそうだ。

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