小野測器が愛知県に新たに技術開発と交流の場を建設
電気計測や音・振動の分野で知られる小野測器が、愛知県に新たな技術開発拠点「中部リンケージコモンズ(CLC)」の建設を進めています。自動車開発の最前線を見据えた設備に加え、人と技術が交わる“場”としての役割も担います。地鎮祭と同時に行われた取材会では、その狙いや将来像が語られました。次世代モビリティを支える拠点について紹介します。
横浜・宇都宮に続く第3の技術開発拠点として誕生
2027年9月に稼働予定の中部リンケージコモンズ(CLC)は、小野測器にとって神奈川県・横浜、栃木県・宇都宮に続く3カ所目の技術開発拠点となる。施設は鉄骨2階建ての本館と、平屋建ての実験棟で構成。本館は、現在豊田市にある中部営業所を移転・集約するだけでなく、共創パートナーが集うカフェエリアも設置される。
実験棟は「ATLab.c1」と名付けられ、計測室やプロジェクトルームに加え、車両整備場、充電ステーション、そして騒音レベルNC-30相当の車両ごと搬入可能な大型半無響室と、台上試験において路面状況を再現する「RC-S(リアルカーシミュレーションベンチ)」を組み合わせた最新のNV(ノイズ・バイブレーション)実験室を備える。敷地面積は4534.51平方メートル、建設費は総額23億円となる。
東京大学との共同研究で培ったEV振動制御技術を実装
実験棟に導入される自動車用試験設備には、東京大学大学院新領域創成科学研究科と共同で開設している「電気自動車の振動計測制御に関する社会連携講座」で得た、高度な制御技術を実装する予定という。
この社会連携講座は2022年10月に第1期目を開講し、オンボードモータ車やインホイールモータ車の振動計測制御技術を、小野測器の音・振動の計測技術や自動車用の低慣性ダイナモ台上試験装置を活用して研究開発してきた。そして2026年4月からは、その第2期目を開講予定だ。
同社はCLCを「成長し続ける事業所」とすることを目指している。2027年秋の稼働後、本館や実験棟とは別に「共創ヴィレッジ」と名付けたユニットハウス形式の施設を新設し、パートナーが広く交流できる場を設ける。オープンイノベーションを推進するコミュニティの形成を図るとしている。
