廃油再生ベースオイル「RRBO」の実力とは
西日本最大級のカスタマイズカーイベント「大阪オートメッセ2026」の会場で、潤滑油ブランド「Moty’s(モティーズ)」が、再精製基油(RRBO=Re-Refined Base Oil)を日本国内で展開することを発表しました。その詳細をお伝えします。
現場の声から生まれた「小ロット生産」の強み
Moty’sを展開するトライボジャパンは、1995年の創業以来、「日本国内で自分たちの手でオイルをつくる」という信念を貫いてきた。代表取締役会長の丸山秀一氏は、もともと産業機械用潤滑油の世界にいた人物だ。産業機械では汎用品で事足りるが、チューニングカーの世界は違う。パワーも使い方も千差万別であり、既製品では対応しきれない現実があった。
そこでMoty’sは、大手メーカーのような大量生産ではなく、小ロット生産を選択。技術顧問を迎え、現場で起きているトラブルや要望に対して、即座に処方を調整して製品化するスタイルを確立した。
「良いものを生み出すためならコストは度外視する」
丸山代表取締役会長が目指す徹底した現場主義が、スーパーGTやスーパー耐久、そしてGR86/BRZ Cupといった過酷なレースフィールドで「勝てるオイル」として信頼される理由である。
「原油はいずれ枯渇する」 オイルメーカーとしての責任
創業から30年以上、性能を追求し続けてきたMoty’sが、2026年に新たな一歩を踏み出した。それが「RRBO(再精製ベースオイル)」の採用だ。 RRBOとは、回収された使用済み潤滑油を、バージンオイル(原油から精製された新品)と同様の工程で蒸留・精製し、潤滑油に適した成分のみを抽出したものである。
導入の背景には、原油という限りある資源への危機感がある。電動化が進むなかで、将来的にバージンオイルの供給構造が変化することは避けられない。そこでMoty’sは、マレーシアの大手廃棄物管理企業「ペンタス・フローラ社」と協力し、高品質なRRBOの輸入を開始。主力製品である「M110」および「M110 LSPI」から、このRRBOベースへの切り替えをスタートさせた。
再生油でも「性能は一切変わらない」という事実
もっとも気になるのは性能だろう。一度使われたオイルを原料にすることに不安を抱くユーザーもいるかもしれない。しかし、Moty’sの見解は明確だ。
「ベースオイルとしての成分構成はバージンオイルと大きく変わりません。RRBOの特性を踏まえたうえで添加剤配合を最適化しており、従来品と同等の性能と耐久性を確保しています」
じつは、この事実はモータースポーツの現場ですでに証明されている。スーパー耐久に参戦した水素エンジンGRカローラや、ダカール・ラリー2026を完走した藤原慎也選手の二輪マシンにも、この技術が投入されていた。レーシングドライバーの佐々木雅弘選手も、「これまで使ってきたオイルとまったく変わらない性能。環境への配慮が実用性として成立している」と太鼓判を押す。
コスト増でも「価格据え置き」を決断した理由
現在、RRBOのコストはバージンオイルよりも割高だという。しかし、Moty’sは製品価格への転嫁をおこなわなかった。「価格を上げれば、RRBOという循環型素材の価値が広がらない」と考えたからだ。当面はメーカー側でコストを吸収し、普及を優先する。 製品のラベルには、緑色の「RRBO」ロゴが刻まれる。これは環境性能の証であると同時に、これからも内燃機関(エンジン)のクルマを楽しみ続けるための、Moty’sからのメッセージでもある。
「捨てればゴミ、分ければ資源。」。日本で回収されたオイルが再び高性能オイルとしてサーキットを走る。国内で廃油を回収し再生する循環型システムの構築を視野に入れた、Moty’sの新たなステージでの挑戦が始まった。
