ラゲッジルームを学生たちの主張の場として演出
2026年2月13日から15日まで大阪市のインテックス大阪で開催されている「大阪オートメッセ2026」。6D号館でひときわ異彩を放つのが、近畿大学・寺本ゼミによる「デコプロジェクト」です。Z世代の学生たちはなぜ、あえて「デコる」というテーマを選んだのでしょうか? ID. Buzzやレヴォーグ レイバックを使った、トランクを「表現の場」へと変貌させた斬新なアイデアと、来場者を巻き込む仕掛けの裏側に迫ります。
実学の近畿大学が教室を飛び出し学びの集大成として展示
大阪オートメッセ2026では数多くのカスタムカーやカーカスタマイズの最新トレンドが集結するなか、ひときわ異彩を放ち、多くの来場者の足を止めたのが6D号館の「近大×OAMデコプロジェクト」だ。
プロジェクトを手がけたのは、“実学主義”を掲げ、近年では“マグロの近大”としても広く知られる近畿大学。高い研究力とブランド力を背景に、若者世代へ向けた新しいカーライフのあり方を提示するべく立ち上がった。そのテーマは、シンプルかつ大胆に――「デコる」である。
クルマをもっと自由に、もっと自分らしく楽しむ。その発想の源となったのは、近畿大学・寺本ゼミに所属する学生たちの感性だ。CMやキャンペーン企画など広告コミュニケーションを実践的に学ぶ同ゼミでは、机上の理論にとどまらず、アイデアを考え、形にし、社会に届けるところまでをリアルに体験する。その学びの集大成として生まれたのが、今回の展示企画である。
荷室を自分らしさの「表現空間」へ昇華させる
数あるアイデアのなかから最終的に実現したのは、「デコトランク」という発想。その名のとおり、ラゲッジルームを“荷物を運ぶ場所”から“自分らしさを表現する空間”へと昇華させる試みだ。今回は「女子会」と「縁日」という2種のテーマが採用され、それぞれ異なる世界観がトランクいっぱいに広がった。
「女子会」をテーマに選ばれたのは、フォルクスワーゲンの ID. Buzz。シートを取り外せる特徴を最大限に生かし、学生たちの“好き”を詰め込んだ空間は、まるでアフタヌーンティーを楽しむサロンのよう。カラーや小物のひとつひとつにまでこだわり、クルマのなかのとは思えない非日常感を演出していた。
一方、「縁日」をテーマにしたスバルのレヴォーグ レイバックは、同号館で開催されていた「こどもビリティPARK」との親和性を意識。視覚的なキャッチーさと、思わず足を止めたくなる親しみやすさで、子どもから大人まで幅広い層を惹きつけた。
来場者の反応や気づきで完成する「最後の1ピース」
寺本教授は今回の取り組みについて、こう語る。
「企画段階では、学生たちも完成形を明確にイメージできていたわけではありません。ただ、実車を前にサイズを測り、じっくり向き合うことで、徐々に自分たちなりの答えを見つけていきました。ラゲッジルームを“輸送のための空間”ではなく、“ライフスタイルを拡張する場所”として提案できたのは大きな成果です」
さらに印象的だったのが、「最後の1ピース」という考え方だ。
「企画は完成させすぎない。最後の1ピースは、実際にそれを見た来場者が持っています。その反応や気づきによって初めて企画は完成するんです」
仮説を立て、形にし、リアルな反応を受け取る。そのプロセスを体感できるのは、教室では得られない学びだろう。自分たちのアイデアで誰かを楽しませ、気づきを生み出す。学生たちにとって、この経験が何ものにも代えがたい財産になったことは間違いない。
クルマを「所有するもの」から「表現するもの」へ。近大×OAMデコプロジェクトは、Z世代ならではの感性で、カーライフの未来にささやかな、しかし確かな問いを投げかけていた。
