3回目の開催となる絶景の沖縄を舞台にクラシックカーが駆け抜ける国内随一のラリーレポート
1927年にスタートしたイタリアの「ミッレ・ミリア」に端を発するクラシックカーラリーは、現在日本全国で開催されています。そのなかでも、こと美しさにおいて国内随一と言えるのが、沖縄を舞台とした「ジーロ・デッリゾラ沖縄」です。2026年3月に第3回を迎えた本大会には、多彩な名車と個性豊かなエントラントが集結しました。風光明媚なルートを駆け抜けた3日間の模様を、現地から詳しくレポートいたします。
多彩なエントリー車両と素晴らしきエントラントたちが日本中から「島巡り」のために沖縄に集結!
2027年には100周年を迎えるイタリアの「ミッレ・ミリア」。そのリバイバル版に端を発する「レギュラリティ・ラン(タイムラリー)」形式のクラシックカーラリーは、前世紀末から日本にも波及し、現在では国内の津々浦々で開催されている。
観光イベントや、時には町興しイベントとしても人気を博すこれらのラリー。美しい景観のなかを愛車であるクラシックカーとともに走ることが最高の醍醐味となっている。まだ歴史こそ浅いものの、こと美しさの面では国内随一と言えるイベントが、2023年3月にスタートした「Giro dell’Isola OKINAWA(ジーロ・デッリゾラ沖縄:沖縄島巡りの意味)」である。
この3月20日〜22日の3日間にわたり、沖縄本島中部から北部を舞台に開催された第3回大会の密着レポートをお届けしよう。
大会初日の朝、本島中部の恩納村にあるリゾートホテル「ハイアットリージェンシー瀬良垣アイランド沖縄」にエントリー車両が集結した。参加者(エントラント)の多くを占める首都圏や東海・関西圏の在住者にとって、沖縄は少々遠方ということもあってか、ゲスト参加組を含めて総計16台とやや少なめであった。しかしながら、集まった車両のユニークさは、ほかのクラシックカーラリーではなかなか見られない壮観なものだった。
古くは1960年式および1967年式のアウトビアンキ「ビアンキーナ」や、2台のポルシェ「356C/SC」にはじまり、ゲスト参加車両を除けばもっとも年式が新しいのは1989年型のポルシェ「911スピードスター」だ。そして今回とくに目を惹いたのは、沖縄の風景に驚くほどよく似合うアメリカンなクルマたちである。
1967年式ACシェルビー「コブラ427」に端を発し、同年式のフォード「マスタング ファストバック」、1970年型ダッジ「チャージャー」に1971年式シボレー「カマロ」。さらには驚くほど長く豪奢な1979年式リンカーン「タウンカー」、正真正銘の払い下げ軍用車である1985年式AMゼネラル「ハンヴィ(HMMWV)」など、現在の日本では超レアとなったクルマたちが続々とスタート。行く先々で遭遇した地元の方々やギャラリーから大きな歓声を受けることになった。
また、第1回からの常連である1988年式フェラーリ「テスタロッサ」や、若きオーナー夫妻が入手直後にラリー参加に挑戦したという1980年式モーガン「+8」など、国内のクラシックカーラリーで定番とも言える名車たちもエントリーし、イベントを大いに盛り上げていた。
これら名車にドライバーおよびコ・ドライバーとして乗り込む2人組のエントラントも、夫婦や親子など多種多様。いずれも個性的で素敵な方々ばかりで、沖縄という素晴らしいロケーションでのドライブを心から楽しみにされているご様子であった。
沖縄の自然と独自文化を3日間に渡り満喫できP.C.競技も楽しめる唯一無二のクラシックカーラリー
このクラシックカーラリーの起案者であり、初回から実行委員長を務める矢口可南子さんは
「沖縄の美しい海と豊かな自然、琉球王国の時代からアジアの中心として独自の歴史と文化を育んできた沖縄の魅力を、ラリーイベントというかたちを通じて伝えたいのです」
と、熱い思いを語ってくれた。この目的を満たすため、3日間ともに沖縄の風光明媚な景色を存分に楽しめる極上のロケーションが選りすぐられていた。
まず初日は、前泊および前夜祭の会場となった恩納村の瀬良垣から仮スタート。その直後にラリーの要である「P.C.競技(一定区間の通過タイムを0.1秒単位で競うもの)」が、恩納村内の大型スポーツ施設「赤間総合運動公園」で行われた。
その後、北谷の「ヒルトン北谷沖縄リゾート」に面した「北谷フィッシャリーナ中央広場」にて、観衆に見送られながら正式なスタートセレモニーを実施。続いて「読谷村立図書館」の芝生広場で車両展示が行われた。さらに沖縄古来の陶芸が行われている読谷村「やちむんの里」では、新造されたばかりの古代窯を見学するなど、魅力的な立ち寄りスポットも用意されていた。
二日目のあいにくの雨から一転…最終日は南国の日差しを浴び参加者は感動のゴールセレモニーへ
明けて2日目となる土曜日は、朝から時おり雨に見舞われるあいにくの天候となった。それでも随所でP.C.競技が行われたほか、近年人気の観光スポット「又吉コーヒー園」にてスタンプラリーとコーヒーの提供を実施。また、太古の自然を感じさせる「やんばる(山原)」地域を一望できる「アスムイハイクス」がランチ会場に選ばれた。
その後は大海を横目に走り、宿泊地であるヒルトン北谷沖縄リゾートへ帰着。この夜にはガラ・ディナーが開催され、沖縄料理をアレンジした美味しいビュッフェが提供された。北谷町の花火を間近で堪能したのち、沖縄民謡「エイサー」の迫力ある実演が行われ、最後はエントラントやスタッフ全員で民族舞踊「カチャーシー」を踊りながら夜が更けていった。
そして最終日となる3日目は、今回初の朝から快晴に恵まれ、南国の日差しが熱く感じられるほどだった。この日は北谷から沖縄半島を横断するかたちで東部海岸へ渡り、左右を海に挟まれた「海中道路」を経て、クルマで行ける離島である伊計島に到着。「AJリゾートアイランド伊計島」にてユニークなカートによるP.C.競技を展開したのち、再び北谷へと戻り、感動のゴールセレモニーを迎えた。
ヤンバルの森を駆け抜け、ちゅら海のシーサイドをドライブできるクラシックカーに最適ロケーション!
「ジーロ・デッリゾラ沖縄」で特筆すべきは、3日間ともに走行ルートの美しさが国内イベントのなかでも最高ランクに属することである。シーサイドコースが多くを占める沖縄の大動脈、国道58号線が今回の基幹ルートとなっていたが、内陸部に入っても遠目に大海が視界に飛び込んでくる。やんばるの森のなかを駆け抜けるなど、どのルートを走っても沖縄らしく美しいシーンが眼前に広がっていた。
くわえて、市街地以外では信号がきわめて少なく、渋滞とは無縁に近いコース設定が功を奏したのか、クラシックカーにとっても快適なドライブ環境であった。そのことも相まって、3日間のラリーでは大きなトラブルに見舞われることもなく、日曜日の午後には北谷フィッシャリーナ中央広場のゴールへ、全車が日焼けした笑顔いっぱいで戻ってきたのだ。
筆者は「ジーロ・デッリゾラ沖縄」を2023年の第1回から取材し、その楽しさを国内最上級のものと評価してきたが、その思いは3年目にしてさらに強まった。ホテルや食事などのホスピタリティがゴージャスかつ洗練されているだけでなく、さまざまな場面で主催チームの温かい心遣いが感じられる。この感想は、表彰式で屈託のない笑顔を見せていたエントラントたちとも間違いなく共有できていたはずだ。
イベント名として掲げられた「Giro dell’Isola(ジーロ・デッリゾラ)」とは、この種のラリーの本場であり聖地とも言うべきイタリアの言葉で「島巡り」を意味するという。「美ら(ちゅら)島」と呼ばれる沖縄での島巡りをクラシックカーラリーとしたこのイベントは、日本国内においても唯一無二の存在であると確信している。
