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「ドライバーが運転中に意識不明なったらどうすべき?」 助手席からクルマを止める3つの対処法

エンジン・駆動・ブレーキを使った減速法

 ドライバーが急に意識を失って暴走するという事故は滅多に起きるものではないが、高齢ドライバーが増えてきている昨今は、そうした心配をしているパッセンジャーも多いのではないだろうか。高齢でなくとも、突然意識を失うことは誰にでも起こりうる。もし、自分が助手席に座っているとき、ドライバーが正常に運転できないようなシーンにおいて、どのような手段があるのか整理してみよう。

その1)エンジンを強制的に止める

 ドライバーがアクセルを踏んだまま意識を喪失してしまったら、クルマは暴走してしまう。まずは、エンジンを止めるのが基本だ。かつてはエンジンの始動や停止はステアリングコラムに刺さったキーで行なっていたため、助手席からは手が届かないとされていたが、最近はインパネの中央側やセンターコンソールなどにスタート/ストップスイッチが置かれていることが増え、助手席からも手が届きやすくなった。

 ただし、スタート/ストップスイッチは走行中に押しても反応しないようになっているが、数秒の長押しでエンジンを強制停止するモードを持つクルマが多い。焦っている状況のなかでボタンの長押しは難しいだろうが、なんとか挑戦してみてほしい。

 また、ハイブリッドカーや電気自動車でもボタンの長押しでシステムを終了させて、加速を止めることができるクルマが多い。エンジンを止めたからといって、ブレーキはかからないのですぐに止まるわけではないが、様々な抵抗によって速度を落としていくので、衝撃を小さくすることは期待できるだろう。

 

その2)駆動力の伝達を切る

 エンジンのスタート/ストップスイッチが見当たらないというケースで試してほしいのは駆動力(エンジンからタイヤへ伝わる力)をキャンセルすること。ここで操作するのは「トランスミッション」で、オートマであればN(ニュートラル)にすることで駆動力の伝達をカット。エンジンを止めたのと同様に徐々に速度を落とすことができる。D(ドライブ)からNに動かす場合はロックされないため、レバーを動かすだけでシフトできるはずだ。

 また、少々強引なやり方だが、P(パーキング)に無理やりシフトを押し込むという手もある。Pレンジはトランスミッション内の歯車に爪をはめ込むことでクルマを動かないようにするポジションだが、無理やり押し込むことで歯車を破損させ、そのエネルギーで減速するように設計されている。

 トランスミッションが壊れてしまうので禁じ手のように思えるが、事故で命を失うのに比べれば、修理のできる機械を壊してしまうくらい何でもないといえるだろう。

その3)サイドブレーキをかける

 エンジンを切ったり、トランスミッションをNにすることで加速を抑えることに成功したら、可能な限り減速させたい。その場合に使えるのがパーキングブレーキ。ATに多い足踏み式は助手席から届かないかもしれないが、センターコンソールにレバーのあるハンドタイプのサイドブレーキならば、助手席から力いっぱい引くことで減速させることができる。ただし、クルマの挙動が乱れやすいので徐々に力を入れるようにしたい。

 では、最近増えているEPB(電子パーキングブレーキ)は、どのようにすればいいのだろうか。この場合、スイッチを長押し(長引き)することで強制的にパーキングブレーキを作動し、減速させることができるよう設計されている。

 例えば、ボルボは助手席からEPBのスイッチを操作すれば、パーキングブレーキだけでなく四輪のブレーキが作動し、アクセル操作がキャンセルされるという緊急モードが備わっているのだ。

 こうした補助ブレーキとしての活用は、通常のブレーキ系になんらかのトラブルがあって効かなくなってしまったときに使えるので、ドライバーも覚えておきたいワザといえるだろう。

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