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なんと「ジムカーナ」ブームがじわじわ来てる! ランエボ・WRX・アルトなど参加車9台の気になる中身

見てるとめちゃくちゃ速いのに それほどやってないのがジムカ仕様

 ミニサーキットや広場でのパイロンコースで華麗なターンを披露しつつ、ときには素早いハンドルさばきでリズミカルにスラロームを駆け抜けるジムカーナ。モータースポーツの登竜門として、比較的気軽に参加できる競技のひとつ。最近のスポーツカー人気を背景として、ジムカーナ競技が再燃しつつあるのをご存知だろうか。

 そんななか、これからジムカーナを始めたいという人にとって気になるのが、いわゆるジムカーナ仕様の中身。上級者ともなれば、いったいどうすればそうなるの? というようなドラテクを披露したり、白煙を上げながらのサイドターンを見せつけられると、物凄い改造が施されているように思っても不思議ではないだろう。

 しかし、そもそもがノーマル車両でも始められるのがジムカーナの本質。クラスによっては、規則で改造範囲が(かなり)制限されていて、車両製作コストを下げることで、初心者でも出場しやすいようにハードルが低く設定されているのだ。

 ベース車両によってもジムカーナ競技に“向き”“不向き”はあるものの、常に上位を獲得するような選手に聞いても「改造なんてみなさんと一緒ですよ。自慢するほどのことは何もやってません」という声が帰ってくるのも事実。

 ジムカーナ仕様に仕立てるには、足まわり、ブレーキ、L.S.Dが大きなポイントになってくるのだが、その3点+フルバケットシート+4点シートベルトがあれば十分という考え方が、じつはスタンダードなのである。最近では、純正のままでも、とてもスポーティでホールド性に優れているシートが装備された車両も少なくない。そうなると、フルバケットシートすら不要という参加者も多くなってきている。

 というワケで今回は、ジムカーナに出場している車両の中身はいったいどうなっているのか? をテーマに、その気になる仕様を実際の選手たちに聞いてみた。

あと10年はジムカーナを楽しみたいです

◆オーナー:リトナさん(兵庫県)
◆車両:GDB インプレッサ(WRX STI)/2004年式

 WRブルーをまとったリトナさんのWRX STIインプレッサは所有歴16年。趣味はクルマ以外にもスーパースポーツバイクも所有。「このクルマは、以前のクルマ(フォレスター)が故障気味になったのと、たまたま一時金が手に入ったので、人生で一度はスポーツカーに乗りたかったのがきっかけで購入しました」。

 インプレッサはラジアルタイヤ+ライトチューン仕様で、いまは街乗り中心で時々ジムカーナに出場する程度にとどまっているが、以前は、鈴鹿サーキットや岡山国際サーキット、筑波やセントラル、そしてミニサーキットまでタイムアタックによく出かけていたという。

「ライトチューン仕様としてはやり切っているので、ここ数年は現状維持やメンテが中心のクルマイジりになっています。あと10年はジムカーナができるようにしたいですね。今日は2年ぶりぐらいのジムカーナでクルマを振りまわして走らせたのも久しぶりです。機会があればJAFのミドル戦にも出れたらいいなと思っています」。

【主な改造ポイント】
◆エアロ:純正オプション
◆タイヤ:ポテンザRE-71R
◆ホイール:レイズ CE28N
◆足まわり:OHLINS FLAG-I(アジュール スーパーオーリンズ)
◆ブレーキ:(F)エンドレス MX72、(R)itzz R5/Side itzz RS2
◆エアクリ:HKS SUPER POWER FLOW
◆マフラー:フジツボ Legalis R type EVOLUTION
◆触媒:HKS メタルキャタライザー
◆ECU:HKS F-CON SZ
◆ブーストコントローラー:HKS EVC IV
◆ラジエーター:田畑ラヂエーター SS
◆オイルクーラー:HKSオイルクーラーキット
◆シート:スパルコ REV ZIPANG
◆ステアリング:スパルコ MONZA
◆メーター類:デフィ Link Meter BF・Defi-Link Display
◆ラップタイマー:HKSサーキットアタックカウンター

軽カークラスでトップを争った一台

◆オーナー:かがわひろあきさん(京都府)
◆車両:HA22S アルトワークス(4WD)/2000年式

 この日、ライバルのHA36SアルトターボRSと軽自動車クラスにおいてトップ争いを演じていた一台がこのかがわさんのアルトワークス。1本目のトライではクラス1位のタイムを叩き出していたが、2本めで惜しくも逆転され2位に。

 かがわさんは、JMRC近畿ジムカーナのミドル戦やG6ジムカーナに長年出場し続けている軽カージムカーナベテラン選手のひとり。じつはアルトワークス以外にも競技仕様のミラバンも所有。

 クルマの仕立ては普通車にも負けない競技車両がテーマ。「2年前に友達が結婚するために引き取って欲しいとのことで手に入れました。4WDのオープンデフです(笑)。アルトワークスなんですけど、バンの顔をしているところが可愛くて気に入っています。オサムファクトリーさんの練習会は初心者の方をメインにされていて、講師の方々も気さくで、分からないことも親切に教えてくれます。みなさんも一緒に広い場所で思いっきり楽しんで練習しましょう!!」。

【主な改造ポイント】
◆外観:ほとんどノーマル(バン顔)
◆タイヤ:ゼスティノ(165/55R14)
◆足まわり:車高調 KCテクニカ
◆吸気系:エアクリーナー KCテクニカ
◆排気系:エキマニ&マフラー KCテクニカ
◆駆動系:オープンデフ
◆シート:レカロ
◆ハーネス:プレジャーレーシングサービス製

令和元年にアルトからスイフトに乗り換え

◆オーナー:三木謙一さん(大阪府)
◆車両:ZC33S スイフトスポーツ/2019年式

 長い間、旧規格のアルトワークスでジムカーナ競技に出場していたが、令和元年にスイフトスポーツに乗り換えた三木さん。将来的には全日本ジムカーナにも出場できること、家族が乗れて使い勝手が優れていることが理由でスイフトスポーツを購入。

 現在はジムカーナ車両PNクラス仕様でいわゆるチューニングはできないレギュレーションだが、街乗り程度なら十分過ぎる速さが魅力だと話す。

「自慢は足まわりです。ITOというブランドなのですが、全日本ドライバーの方がやっているショップを先輩に紹介してもらいました。そもそもスイフトスポーツのデータを豊富に持っているショップの足なので、組んだ直後から余計なことをしなくても素直に走ります。今後はサイドターンの精度を上げて、雨対策をして行きたいと思っています」。

「ジムカーナは車両さえつくれば、まずクルマを壊すことも少ないと思います。私のように家族持ちのサラリーマンでもできるので長くモータースポーツをやりたい人にはお勧めできます。最近は公式戦でもATやレディースクラスもありますしハイブリッドのプリウスで出場されてる方もいらっしゃるので是非参加してみてください」。

【主な改造ポイント】
◆外観:ノーマル
◆タイヤ:ダンロップ ディレッツァZⅢ
◆ホイール:エンケイ
◆足まわり:ITO
◆ブレーキ:itzz(ウインマックス)
◆シート:レカロ製セミバケットシート

悲しいが、処分をそろそろ検討中!?

◆オーナー:中村裕二さん(大阪府)
◆車両:BD-5 レガシイ(RS)/1997年式

 地元大阪からエントリーとなる中村さんの愛車は平成9年式といういまから20年以上も前の車体。セダンタイプのBDレガシーのRS。BC/BF系の初代レガシーに続く、2代目のBD/BG系である。

 言うまでもなく愛車の好きなポイントは見た目(とパワー)。しかし、残念ながら近い内に、このクルマを手放すことを考えているのだとか。

「今後の予定は処分ですかね……。改造箇所を純正部品に交換していっています。ジムカーナはタイムこだわらず、楽しく遊び、また、クルマの危険な挙動に対してのよい練習になりますね」。

【主な改造ポイント】
◆足まわり:純正(処分するため)
◆ブレーキ:エンドレス6POTキャリパー
◆吸気系:ゼロスポーツ
◆駆動系:カーツ リアデフ
◆補強系:各種
◆ターボ:パワーエンタープライズシーケンシャル
◆コンピューター:加美タイヤオリジナル
◆冷却系:アルミ3層ラジエター、オイルクーラー
◆シート:レカロ
◆メーター:デフィ

母に影響されジムカーナを開始

◆オーナー:FKさん(兵庫県)
◆車両:DC5 インテグラ(タイプR)
 お母さん(下の藤井一代さん)と一緒に見学で行ったジムカーナ練習会で走っていたインテグラに一目惚れしたというFKさん。

「当時はまだ免許がなかったのですが、数年経って免許も取得し、いまやっと憧れのDC5に乗ることができました」と話すオーナー。インテグラにたどり着くまでは、CR-X、ワゴンR、ヴィッツと乗り継いできたという。今後は、ジムカーナで上位を目指すこととサイドターンを綺麗に決めることが目標。

「自分でジムカーナをするまでは分からなかったですが、初めて出場した日から、クルマを操る楽しさや喜びを知ることができました。実際の運転ではスピード感も違って、まだまだ余裕もなく1本走るだけですごく疲れます(笑)。思い通りに走れたときはすごく嬉しいです。今回の練習会では360度、180度のターンでロスが多かったと思います。いくつかアドバイスも貰えたのでそれを次に活かして良いタイムを出したいと思います!」。

【主な改造ポイント】
タイヤ:ダンロップ Z lll
ホイール:レイズTE37 タイムアタック
足まわり:車高調 テイン
吸気系:エアクリーナー 無限

ビッグパワーのWRX VABで師匠とWエントリー

◆オーナー:藤井一代さん(兵庫県)・北村 健さん(兵庫県/Wエントリー)
◆車両:VAB WRX STI(Type S)/2015年式

 イケメンな顔が大好きだという、VAB WRX STIオーナーの藤井さん。この日は藤井さんが師匠とあおぐ、凄腕ジムカーナ選手の北村さんとWエントリー。藤井一代さんはDC5インテグラのFKさんのお母さんでもあり、母&息子でジムカーナを楽しんでいる。

 オーナーの藤井さんは「目標は、公式戦での入賞ですね。ジムカーナは唯一飽きることなく熱くなれる趣味として続いています。クルマを通じての一期一会の出会いを大切にしていきたいですね。オサムファクトリージムカーナはたくさん走れて大満足です」と話す。

 Wエントリーのお相手である師匠の北村さんは「(ジムカーナ歴は長いですが)今年から公式戦に参戦します!! 無理せずできる範囲でジムカーナを楽しんでいます。会場で見かけたら気軽にお声がけいただけると嬉しく思います」と語っていた。

【主な改造ポイント】
◆タイヤ:ダンロップディレッツァZ lll(245/40)※この日は練習用
◆ホイール:レイズTE37 ※この日は練習用
◆足まわり:クスコ
◆ブレーキ:itzz
◆駆動系:前後クスコLSD
◆シート:ブリッド

同世代が多く乗ってる86に共感しました

◆オーナー:北條幸弘さん(大阪府)
◆車両:ZN6 86(GT Limited)/2019年式

 1年前にヴィッツから86に乗り換え、毎日ガンガン乗りまわしているという北條さん。「スポーツカーが好きだったということもあるのですが、同世代の若者が多く乗ってる86に興味があった」というのが86を手にした理由なのだとか。

 お気に入りは、リアウイングと低重音が好みでネットで探したHKSマフラーが自慢。外観のモディファイは「そこそこに羊の皮をかぶった狼」を目指すという。

「これからもいろいろなジムカーナやサーキット走行会などに参加して86を楽しんで行きたいと思います。今日は、コロナの影響で半年ぶりのジムカーナでしたが、サイドターンも少しできるようになり楽しむことができました。クローズドコースでの全開走行はめちゃくちゃ楽しいですネ」。

【主な改造ポイント】
◆タイヤ:フェデラル(215/45R17)
◆ホイール:エンケイ風不明(17インチ)
◆足まわり:Z.S.S車高調
◆ブレーキ:エンドレス
◆排気系:HKSマフラー
◆内装:4点シートベルト

妻や娘が街乗りできるジムカーナ車両

◆オーナー:父/本山泰久さん(兵庫県)・正悟さん(息子/Wエントリー)
◆車両:NCP13 ヴィッツ(RS)/2004年式

 父&息子で真っ向勝負を挑み、ジムカーナ競技を家族で楽しんでいる本山さんファミリー。

 父親の(最近、負けるようになったという)悩みであり、喜びでもあるのが、息子の成長ぶり。ヴィッツは父泰久さんの所有で、選んだ理由は、普段は妻や娘も買い物に使える車両としてコンパクトで使いやすく、ジムカーナも楽しめるところ。自慢は、DIYで組んだ足まわりなのだとか。

 父/本山泰久さんは「目標としては、JMRC近畿ミドルシリーズで息子に負けないことです。最近は父親としての威厳が保てなくなりつつありますが(笑)、負けないように頑張ります。オサムファクトリーさんのジムカーナ走行会は楽しく、今回も親子で参加させてもらいました。ジムカーナは、あまり車にコストを掛けなくても非日常が楽しめるモータースポーツです。ダブルエントリーできるイベントも多いので、親子で楽しめますよ」とコメント。

 息子/本山正悟さんは「今日の練習会では、慣熟歩行で立てた作戦通りほぼミスなくしっかり走れて(父親にも勝てて)結果も出たのですごく嬉しかったです。目標は、ミドルシリーズ上位入賞といつか全日本に出たいと思っています。最近、自分と近い世代の人が増えてきているのでもっと増えて欲しいですね。ジムカーナはサーキットトライアルとかに比べると低速域での競技のため車の性能やチューンよりも腕の良し悪しが出やすいため初心者でも入りやすいと思います」。

【主な改造ポイント】
◆外装:カーボンボンネット、プロμステッカー
◆タイヤ:ダンロップ ディレッツァZ lll
◆足まわり:車高調 クスコ
◆ブレーキ:プロジェクトμ
◆排気系:エキマニ TRD、マフラー フジツボ
◆駆動系:LSD クスコ
◆シート:レカロ セミバケットシート
◆その他:IGキャパシタ クスコ

下肢障がいでもアクティブクラッチ付MT車で競技に出場

◆オーナー:籠本健吾さん(大阪府)
◆車両:CZA4 ランサーエボリューション10/2007年式

 とにかくハデで目立つ“ザ・ラリーカー”のランエボ10を駆る籠本さん。じつは、もともとは全日本若狭ラリーで、この日の練習会主催者でもある福永 修選手が優勝したときのマシンだったりもするのだ。

「下肢に障害があっても、手動装置ダブルリング・アクティブクラッチで、MT車を運転できることが何よりのポイントです。ラリー装備も書ききれないほど満載なところも自慢です」。

「手動装置付きMT車でモータースポーツをすることは、(知らない方には)なかなか想像することが難しいかもしれません。ジムカーナはクルマの限界を安全に確かめることができますので、これからもジムカーナに参加して、手動装置で運転しているとは思えないような、かっこいい運転ができるよう頑張ります!!」。

【主な改造ポイント】
◆仕様:全日本ラリー優勝車両
◆カラー:オリジナルオレンジ
◆ホイール:エンケイ
◆排気系:柿本改
◆コンピューター:MoTeC アンチラグシステム
◆シート:レカロ
◆ボディ:ロールケージ
◆その他:オサムファクトリー アクティブクラッチ&ダブルリングステアリング(手動運転補助装置)

【取材協力】
オサムファクトリー 初心者ジムカーナ走行会

◆開催日:2020年6月21日
◆場所:舞洲スポーツアイランド
http://osamu-factory.jp/

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