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FR至上主義はなぜ存在? 一定の走り好きからFF&4WDが否定されるワケ

FRにしかない魅力やスキルはあるのか

 「ウデを磨くならFRに乗れ」。昔から決まり文句のように言われるけど、その理由とはいったい何なのだろうか。スポーツカー市場では今なおFRが注目を浴び、時にFFや4WDを否定する「FR至上主義者」まで生み出してしまう、FRの魅力と他の駆動方式では学べないスキルがあるのか考えてみよう。

FR以外には乗らない“信者”もいる

 クルマに興味がない人であれば、駆動方式なんて何でも構わないだろう。4WDくらいは聞いたことがあっていても、FFやFRの意味すら知らない人も多いかもしれない。

 しかしながらクルマ好きな層、特に走り重視なら無視できないどころか、駆動方式でクルマを選んでも不思議じゃない。なかでもFRを愛してやまない人たちは「信者」と呼ばれることもあり、クルマを乗り換える際の譲れない条件が「FRであること」だったりする。

FFや4WDではドラテクが磨けない?

 前輪で引っ張るFFに対し後輪で押し出すFRは、自然なフィーリングと評されることが多い。また意図的にテールスライドを誘発させやすく、カウンターステアでコントロールすることを、FRの魅力として挙げる人も少なくない。

 とはいえ後ろから押されるフィーリングはさておき、テールスライドはFRに限らず他の駆動方式でも起こり得るし、タイミングや細かい操作の違いこそあれどカウンターで制御するのも一緒だ。FFや4WDではウデを磨けないなんてのは間違った都市伝説みたいなものだし、走りに目覚めたからといってFRに乗り換えなければならないというワケではない。

かつては“手軽なFR”が多く存在した

 また近年は大半のクルマがFFになり、FRの選択肢が多いとはいえない状況である。ただし昔はドラテクを練習するのにピッタリな、手に入れやすく維持もさほど負担にならない“手軽なFR”が多くあった。

 代表的な車種はAE86。今でこそ程度の良い中古車は当時の新車価格を軽く超えるが、25~30年前であればごく常識的な価格で入手できたし、チューニング済みですぐに走れるタマも多かったのだ。

 ほかにもNA&NBロードスターや、少しサイズは大きいがS13系のシルビア&180SXなど、リーズナブルなFRでガンガン走り込んだ人たちにとっては、思い出の補正も含めFRこそウデを磨く最高の素材と考えるのも必然。

 また先ほど「FFや4WDもテールスライドとカウンターは体験できる」と書いたが、ドリフト状態に持ち込む難易度はFRのほうがはるかに低いのも事実だ。つまりFFや4WDに比べ低速域でドリフトさせやすいため、焦らずに落ち着いてカウンターステアを当て、アクセルで立て直したりスライドを維持する練習ができる。そういった意味では現在もFRは唯一無二の存在といって間違いない。

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