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あなたは「モモ」派、「ナルディ」派? 昭和のクルマ好きが「ハンドル交換」したワケ

常に手が触れる部分だけにこだわりたかった

 モモ、ナルディ、パーソナル、モトリタ、イタルボランテ、アティベ、ライド、レーシングフォージ、ヘラ、スパルコ、OMP、アバルト……。筆者自身、ステアリングホイールのブランドは? と訊かれて空で言えるのはこの程度だが、かつては、自分のクルマのドレスアップを考えた時に、三種の神器、または真っ先に手を付ける箇所として、ステアリングホイールは外せなかった(“外して”交換したのだけれど)。 エアバッグを備えるようになってからは、一部の純正対応品以外、なかなか手を出しにくくなってしまった。というより、ヴィンテージなクルマのオーナーでもない限り、標準装着のステアリングホイールを市販品に交換するケースはごく稀かもしれない。

 筆者も最後にステアリングホイールを交換したのは、1990年に乗っていたNAロードスターが最後で、以降、大人しく(?)自分のクルマは標準のままで乗り、以前使っていたステアリングホイールは部屋のオブジェとして楽しんでいる次第。 とはいえ、昔は自分のクルマのステアリングホイールの交換はお約束だった。根拠は、標準のステアリングホイールよりも径を小さくしたい、グリップを太くしたい、レザー巻きやウッドにしたい、慣性モーメントを減らしてクイックに操作したい、カッコよくしたい……などなど。

 今は軽自動車でもレザーステアリングはつくが、昔は最上級モデルでなければウレタン、樹脂が普通。クルマ好きにはそれが我慢ならず、気に入ったステアリングホイールを手に入れ、十字レンチでエイヤッ! と標準のモノを自分で外して交換したものだ。?」それとも「ナルディ派?」-->

マニアから注目された「モモ」と「ナルディ」

 そんなステアリングホイールで人気を二分していたのが「モモ」と「ナルディ」。いずれもイタリアのブランドで、モモはF1を始めとしたモータースポーツシーンで広く名を知らしめたのに対し、ナルディはランチア、フェラーリといった名門自動車メーカーが採用することで、マニアから注目されるようになった。

 ちなみに“momo”の名はレーサーであり創業者のGianpiero MorettiとサーキットのMonzaに由来、ナルディのシンボルマーク“ND”は創設者Enrico NardiとそのビジネスパートナーRenato Daneseの名からとったものだ。

 ところで日本でも70年代に入った頃にはモモとナルディはマニアの間で“どちら派か”が話題になっていた。……そう書くといささか大袈裟だが、少なくとも筆者が運転免許を取った1977年頃、クルマ好きのまわりの友人はこぞって(競って?)自分のクルマのステアリングホイールをモモかナルディ(パーソナルという友人もいた)に替えていた。

 概ねスポーティで走りの指向が強い友人はモモ、雰囲気重視ならナルディといったところか。筆者は自分のクルマがいすゞ117クーペだったので、イタリアンクーペの雰囲気を楽しむためにナルディを合わせ、初代ピアッツァ・ネロや中古で買った初代シロッコではセンターパッド付きのmomoを付けたりした。

「ナルディ」は繊細なステアリングフィールが伝わるのが特徴

 ナルディは3本スポークのデザインがおなじみだが、サイズ(33、36、38cm)やウッドかレザーか(レザーもブラックのほかに確かキャメル色などあった)、スポークはどのタイプか(ポリッシュ、シルバー、ブラック)と、案外と選択肢は広かった。ナルディはリムがやや細身で、いかにも繊細なステアリングフィールが伝わるのが特徴。後にラインアップ、デザインを拡充させ、ジウジアーロデザインのモデルなどもあった。

「モモ」はドライビンググローブを嵌めてしっかり握りながらクルマを走らせる

 一方でモモは、モータースポーツ由来らしくリムはやや太めで断面形状もほぼ新円、しっかりしたステッチがレザーの表面からやや浮き上がっていて、どちらかというと素手よりドライビンググローブを嵌めてしっかり握りながらクルマを走らせる……そんなタイプが多かった。

 代表的なのは丸穴開きのT字型3本スポークや、センターパッド付きの“コブラ”などが人気モデル。ほかにポルシェデザイン、ピニンファリーナ、ベネトンなどのコラボモデルも。またシフトノブも多数のラインアップが用意され、今でも人気がある。

 よく言われるように、ステアリングホイールはクルマの運転中に常に触れているパーツ。だから機能的に重要だが、自分とクルマとの接点としても大事なもの。だからこそクルマ好きなら、自分と愛車の関係性をより深めたい思いから、好みのステアリングホイールを選ぶのかもしれない。

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